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年金・社会保険
掲載:2021年3月15日

“目で見る”年金講座【第27回】
《新型コロナ関連臨時記事》新型コロナの影響で年金保険料を払うのが難しい場合

今回は、通常の制度解説ではなく、国民年金の被保険者が 新型コロナウイルス感染症の影響に より収入が下がって国民年金保険料の納付が困難になった場合の、臨時特例措置としての免除申請について説明します。

くらしすとEYE【第27回】本人申告の所得 額見込額を用いた簡易な手続きによる申請

通常の「免除」「猶予」は前年所得が基準となる

 最初に、通常の「保険料免除制度」と「保険料納付猶予制度」について簡単におさらいしておきます。
 20歳以上60歳未満の第1号被保険者学生は、学生納付特例制度があるため対象外)を対象として、経済的な理由などにより保険料を納めることが困難な人が市区町村に申請して認められると保険料の納付が免除されます。これを申請免除といいます。(生活保護法による生活扶助を受けている人や障害年金を受けている人などは、市区町村に届け出ることによって保険料の納付が免除されます。これを法定免除といいます。)
 また、20歳以上50歳未満の第1号被保険者(同様に、学生は対象外)を対象として、本人が申請することによって保険料の納付が全額猶予される制度があります。これを納付猶予といいます。
 「免除」と「猶予」では、所得審査の対象や年金額の反映の有無などに違いがあります。これらを整理すると、図表1のようになります。

【図表1】保険料免除制度と保険料納付猶予制度

  保険料免除制度(申請免除) 保険料納付猶予制度
対 象 者

20歳以上 60歳未満の任意加入でない
第1号被保険者


※学生は、学生納付特例制度があるため対象外

20歳以上50歳未満の任意加入でない
第1号被保険者


※学生は、学生納付特例制度があるため対象外

申請の条件

次のいずれかに該当すること
①所得が一定以下である(下記参照)
②障害者または寡婦であって、所得が125万円以下である
③生活保護法による、生活扶助以外の扶助を受けている
④次の事由などによって保険料納付が著しく困難になっている

●震災、風水害、火災などの災害によって、財産の価値の概ね2分の1以上の損害を受けた場合

●失業

所得の基準

前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)が、それぞれ以下の計算式で計算した金額の範囲内であること


●全額免除
(扶養親族等の数+1)×35万円
+22万円

●4分の3免除
78万円+扶養親族等控除額
+社会保険料控除額

●半額免除
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額

●4分の1免除
158万円+扶養親族等控除
額+社会保険料控除額

前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)が、以下の計算式で
計算した金額の範囲内であること
 
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

所得審査の対象

本人・世帯主・配偶者

本人・配偶者

年金額への反映

年金額に反映される

年金額に反映されない

 大きな違いは、「免除」の審査では世帯主の所得も審査対象になるということです。そのため、世帯主の親と同居している場合、親の収入があるために「免除」が認められないというケースが多くあります。
 また、「免除」では、保険料の全部または一部を納めなくても老齢基礎年金額の計算に反映されるが、「猶予」では、老齢基礎年金額が増えることはない、そこが大きな違いと言えます。
(なお、「猶予」の制度が実施されるのは2025年6月までです。)
 
 ここで確認しておきたいのは、「免除」・「猶予」が認められる基準となる所得は、「前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)」であるというところです(図表1の青字参照)

令和2年2月以降の状況をみる

 それでは、今回の臨時特例措置について見ていきます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、収入源となる業務の喪失や売り上げの減少などが生じたことによって所得が相当程度まで下がって、国民年金の保険料の納付が困難になっている人がいます。

 しかし、経済的な理由で保険料の納付が困難な場合は、「免除」を申請するのが通常ですが、前項の最後に確認したとおり、「免除」・「猶予」が認められる基準となる所得は、「前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)」になります。逆に言うと、現在どんなに経済的にひっ迫していても、前年の所得が相当程度あれば「免除」「猶予」は認められないということになります。
  そうした状況に鑑み、臨時特例措置が設けられました。この措置の対象になる人と対象となる期間は次のとおりです。

【図表2】保険料の免除申請の臨時特例の対象

 次の①②のいずれにも該当する人が対象

① 新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少

令和2年2月以降に、新型コロナウイルス感染症の影響で業務が失われた等により収入が減少している

② 所得の相当程度までの低下見込み

令和2年2月以降の所得の状況からみて、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれる

【図表3】保険料の免除申請の臨時特例の対象期間

令和元年度分

令和2年2月分~令和2年6月分

令和2年度分

令和2年7月分~令和3年6月分

 簡単に言うと、令和2年2月以降に収入が大幅に減った人について、令和2年2月以降の国民年金保険料が免除・猶予の対象となります。

簡易な所得見込額の申し立て

 この臨時特例の申請に必要なものは、次の2点です。

国民年金保険料免除・納付猶予申請書
簡易な所得見込額の申立書(臨時特例用)

 これらは、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
 提出先は、住所地の市区町村の国民年金担当窓口、または年金事務所ですが、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、郵送による提出が勧められています。
 「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」は、通常の免除・猶予の申請書と同じもので、「⑫特例認定区分」欄の「3.その他」に○をし、「臨時特例」と記入します。

【図表4】免除・猶予申請書の「特例認定区分」欄への記入

【図表4】免除・猶予申請書の「特例認定区分」欄への記入

 「簡易な所得見込額の申立書(臨時特例用)」には、収入が減少した後の所得見込額(簡易な所得見込額)を記入します。

【図表5】所得の申立書の「所得見込額」の記入

【図表5】所得の申立書の「所得見込額」の記入

 図表 5 では、「所得見込額」を 250,000円と記入していますが、当年中の所得の見込みをどのように求めるのでしょうか。その計算の手順は次のとおりです。

【事例】簡易な所得見込額の算出方法

●給与収入のみ(事業収入・不動産収入・公的年金等収入なし)の Y さんの例


A.1か月の収入 ➡ 75,000円

  ※令和3年2月(令和2年2月以降の任意の1か月)の収入を 75,000円とした場合

B.1年間の収入見込み(A×12か月) ➡ 900,000円

C.Bの収入のうち、事業収入、不動産収入に係る必要経費の見込額(12か月分)
0円

D.Bの収入のうち、給与収入、公的年金等収入に係る給与所得控除、公的年金等控除の見込額(12か月分)

  ◎給与収入のみ:B×40%(※65万円に満たない場合は「65万円」)
650,000 円

E.各控除等の控除後の所得見込額:B-(C+D) ➡ 250,000円

 事例のYさんの場合、令和3年2月の収入(75,000円)から、当年中の所得の見込みが 250,000円となり、全額免除に該当します(図表1参照)。

厚生年金保険料の標準報酬月額の改定についても特例措置

 以上は、国民年金保険料についての特例措置ですが、厚生年金保険料の標準報酬月額の改定についても特例措置が講じられています。
 令和2年4月から7月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく下がった人について、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定を可能とされていましたが、この期間が延長され、令和2年8月から令和3年3月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した人や、令和2年4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている人についても、特例措置が講じられています。
 この届出は事業主が行いますが、この特例措置による改定内容に本人が書面により同意していることが条件とされています。

point

1.通常の国民年金保険料の「免除」「猶予」は前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)が基準となる

2.新型コロナウイルス感染症の影響により収入が下がって国民年金保険料の納付が困難になった人に対しては、当年中の所得見込額によって免除申請が可能となる臨時特例措置が設けられている

3.厚生年金保険料についても、新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく下がった人について、標準報酬月額を、通常の随時改定によらず、特例により翌月から改定を可能とする特例措置が講じられている

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