HOME ≫ くらしすとEYE ≫ 年金・社会保険 ≫ “目で見る”年金講座【第22回】厚生年金保険の保険料の額はどうやって決まる? ≫ ② 定年退職のあと継続して再雇用されると保険料額はどうなる?
くらしすとEYE
年金・社会保険
掲載:2020年10月15日

“目で見る”年金講座【第22回】
厚生年金保険の保険料の額はどうやって決まる?

くらしすとEYE 定年退職のあと継続して再雇用されると保険料額はどうなる?

「同日得喪」で再雇用された月から標準報酬月額を決め直せる

 前項で、固定賃金の変動などで報酬が大幅に変わったときには、毎年1回の定期決定を待たずに、随時改定で標準報酬月額が見直されることを説明しました。
 図表3事例3で示したとおり、随時改定は、報酬の大幅な変動が生じてから引き続く3ヵ月間の平均月収に基づきますので、変動月から4ヵ月目にならないと標準報酬月額は改定されません。
そうすると、次のような場合はどうなるでしょうか。

【事例4】定年退職のあと継続して再雇用されるCさんの標準報酬月額①(随時改定)

【事例4】定年退職のあと継続して再雇用されるCさんの標準報酬月額①(随時改定)

 事例4(随時改定)によると、Cさんは、11月~翌1月の3ヵ月間は、標準報酬月額が440,000円(25等級)のままですので、給与が200,000円であるにもかかわらず、40,260円の保険料を負担することになってしまいます。
 その不利益を解消するために、60歳以上で、退職して、1日も空くことなく同じ会社に再雇用される人については、再雇用された月から標準報酬月額を決め直すことができる手続きがあります。任意の手続きですが、事業主を通じて厚生年金保険被保険者の「資格喪失届」と「資格取得届」を同時に年金事務所に提出することによって、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額を決定することができます。これを「同日得喪」といいます。(厚生年金基金および健康保険組合に加入している事業所の場合は、当該基金および健康保険組合にも同様の届出が必要です。)

【事例5】定年退職のあと継続して再雇用されるCさんの標準報酬月額②(同日得喪)

【事例5】定年退職のあと継続して再雇用されるCさんの標準報酬月額②(同日得喪)

 事例5のとおり、同日得喪の手続きによって、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた保険料額とすることができるわけです。随時改定は、2等級以上の差が生じた場合に限りますが、同日得喪では1等級の差でも標準報酬月額が決め直されます。
 なお、同日得喪の手続きでは、「就業規則や退職辞令の写しなど退職したことがわかる書類および継続して再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」を添付する必要がありますが、事業所の定年制の定めの有無による相違はありません。60歳以後に退職した後、継続して再雇用された場合であれば対象となります。
 また、正社員に限定されるものではなく、厚生年金保険の被保険者に対する取り扱いとなりますので、パートタイマーやアルバイトなどで被保険者となっている人も対象となります。

育児休業等や産前産後休業が終了したときは

 育児をしている被保険者の経済的負担の軽減が図るために、随時改定に該当していなくても、育児休業等または産前産後休業を終了した際に標準報酬月額が改定される仕組みが設けられています。

●育児休業等終了時改定

 育児休業等を終了した被保険者が、3歳未満の子を養育している場合には、厚生労働大臣に申出を行えば、育児休業等の終了日の翌日の属する月以後3ヵ月間の報酬月額をもとに標準報酬月額が改定されます。

●産前産後休業終了時改定

 産前産後休業が終了した後に、育児等を理由に報酬が低下した場合には、産前産後休業終了後の3ヵ月間の報酬月額をもとに標準報酬月額が改定されます。
※「産前産後休業期間」とは、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)・産後8週間のうちの就労しなかった期間のことをいいます。

育児休業等や産前産後休業期間中の保険料は免除される

 出産・育児等については、上記の標準報酬月額改定の仕組みとは別に、保険料の納付などに関する優遇措置が設けられているので、最後に付記しておきます。
 法律による育児休業等をしている被保険者について、事業主が年金事務所に申し出ることで、最長で子が3歳になるまで、被保険者本人負担分・事業主負担分ともに保険料が免除されます。産前産後休業をしている被保険者についても同様に、事業主が年金事務所に申し出ることで、被保険者および事業主の保険料が免除されます。これらの免除期間は、年金額の計算では、保険料を納めた期間として扱われます。
 また、法律による育児休業等または産前産後休業をしたかしないかにかかわらず、子を養育している被保険者の標準報酬月額が養育前の標準報酬月額より低い場合子が3歳になるまでの期間について、年金額の計算では、養育前の標準報酬月額が保障されます。これを「養育期間標準報酬月額特例」といいます。
 この特例を受けるためには、被保険者が年金事務所に申出書を提出する必要があります。この申出書は、配偶者が専業主婦(夫)であっても、条件を満たしている被保険者であれば男女を問わず提出することができます。

point

1.60歳以上で、退職して、1日も空くことなく同じ会社に再雇用される人は、随時改定ではなく、「同日得喪」によって、再雇用された月から標準報酬月額を決め直すことができる

2.育児をしている被保険者の経済的負担の軽減が図るために、育児休業等または産前産後休業を終了した際に標準報酬月額が改定される仕組みが設けられている

【おすすめ関連記事】

◎ねんきんAtoZ『給料に対して厚生年金保険料はどのように計算されますか?』

◎ねんきんAtoZ『厚生年金保険料はどのように改定されてきましたか?』

◎ねんきんAtoZ『給料に変動があった場合は、厚生年金保険料もそれに伴って変動しますか?』

◎“目で見る” 年金講座【第11回】『老齢厚生年金額の計算にはなぜ2つの計算式があるの?』

【お知らせ】

「くらしすと」では、記事に対する質問や年金制度に関する質問にメールで応える【年金WEB質問箱】を開設しています。ぜひご利用ください。

この記事はいかがでしたか?
ボタンを押して評価してください。
この記事の感想をお寄せ下さい。
bottom_maincontent

“目で見る”年金講座【第22回】
厚生年金保険の保険料の額はどうやって決まる?

bottom_sidecontent
住環境整備促進
一般財団法人 年金住宅福祉協会
年金WEB質問箱
一般財団法人 年金住宅福祉協会
このページのトップへ