2自分のロコモ度を知る
ロコモ度診断
前ページの判定法からわかるロコモの進行状況を、「ロコモ度1」、「ロコモ度2」と判定します。先ごろ発表されたこの「ロコモ度」の臨床判断値は以下の通りです。現状を知り、適切な対応を始めましょう。
「ロコモ度1」
移動機能の低下が始まっている状態。筋力やバランス力が落ち始めています。
<以下のどれか1つでも該当すれば、ロコモ度1と判断されます>
①立ち上がりテスト:どちらか一方でも、片脚で40cmの高さから立ち上がれない
※軽い運動が難しい筋力になっていると考えられます。
②2ステップテスト:2ステップ値が1.3未満
※腰を曲げ、膝を沈めながらの大股歩行が難しくなり始めています。
③ロコモ25:合計ポイントが7点以上
※移動機能低下が始まっていて、対策が必要な段階です。
「ロコモ度2」
移動機能の低下が進行している状態。現在は生活に支障を感じていなくても、生活に支障が出てくる可能性が高くなっています。特に、痛みがある場合は運動器疾患が発症していることも考えられます。
<以下のどれか1つでも該当すれば、ロコモ度2と判断されます>
①立ち上がりテスト:両脚で20cmの高さから立ち上がれない
※日常生活の歩行にも困難が生じ始める恐れがあります。
②2ステップテスト:2ステップ値が1.1未満
※足でけり出しながら大股で歩くことが困難になっていると考えられます。
③ロコモ25:合計ポイントが16点以上
※生活は自立していますが、移動機能低下が進んでいる段階です。
女性は50歳を過ぎたら骨密度検査を
骨粗鬆症がロコモの大きな要因だということは『今こそ"ロコモチャレンジ!"その①』でも説明した通りです。女性は閉経の頃から、女性ホルモンの量が急減することで急激に骨の強度が落ちてしまいます。骨の強度を推定する指標になる「骨密度」が、閉経後から10年ほどで10%以上も落ちる人もいるといいます。成人※1の骨密度の平均値(約1.0g/㎠)を基準とし、その80%を下回ると骨折しやすくなるため、ロコモ度チェックと並んで、骨密度検査で自身の骨密度を知っておくことも大切です。
「ホルモンの変化により、女性は75歳を過ぎると半分以上の人が骨粗鬆症になってしまいます。そのため、できるだけ若いうちから骨密度を高くしておかなくてはなりません。骨粗鬆症は知らないうちに進行してしまうので、女性の方皆さんは、50歳を過ぎたら骨密度を調べることをお勧めします。骨脆弱性骨折※2を防ぐためには、最低でも基準値の70%以上を維持する必要があります。骨粗鬆症は、投薬で治療が可能です。骨密度検査を受けて、骨が弱っている場合は治療をして治しましょう。検査も治療も、整形外科で相談できます」。(大江先生)
※1腰椎の場合は20〜44歳、大腿骨の場合は20〜29歳。
※2骨脆弱性骨折:骨密度が低いため、骨の強度が弱くなり軽い衝撃でも起こる骨折。
ロコモになりやすい!?タイプ
筋肉や骨の量は30歳代をピークに減少していくため、ロコモは加齢と切り離せない関係にあります。誰しもロコモのリスクを負っているわけですが、次のタイプに当てはまれば、リスクが高まっているかも知れません。自身のコンディションチェックに役立ててください。
痩せている人
骨は身体と筋肉を支えているため、体重と運動の量によって骨の強さが決まります。太ったことがない人は、骨は負担を受けたことがなく楽をしている状態。骨が強くなる必要がないわけです。さらに、運動量も少ない場合は筋肉からの刺激もないため、骨はさらに弱くなってしまいます。
太っている人
骨と同じく、軟骨や椎間板にも適度な負荷は必要ですが、負担をかけすぎると傷めてしまう恐れがあります。身体が重すぎると軟骨・椎間板に過度な負荷がかかるため、肥満はロコモを招く要因になります。過度な運動も同様に負荷をかけるため、激しいスポーツ経験のある方も注意してください。
親が太ももを骨折したことがある
骨粗鬆症を予防の指標として、骨密度検査のほか、WHOが開発した骨折リスク測定ツール「FRAX®」も利用できます。骨折のしやすさをセルフチェックするための12の質問票です。この質問項目のひとつに「両親の大腿骨近位部骨折歴の有無」があり、子の骨粗鬆症リスクとの関連が指摘されています。
※骨折リスクを調べてみましょう
WHO骨折リスク評価ツール「FRAX®」
→http://www.shef.ac.uk/FRAX/tool.aspx?country=3
こんな兆候も要注意!
○身長が縮んだ
背骨のどこかで軟骨が減っている、あるいは骨の高さが減っていることが考えられます。知らない間に骨がつぶれていることもあるため、背骨にこういった事態が起きている疑いがあります。
○関節の痛み・腫れ
椎間板や軟骨など、関節の継ぎ目が傷んでくると、痛みが出てきます。
腰やひざなどの関節の痛みを「歳のせい」と思ってはいけません。痛いのは病気のせいであり、歳のせいで痛いわけではないのだと意識を変えましょう。
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② 自分のロコモ度を知る