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くらしすとEYE
介護
掲載:2017年12月15日

最期までわが家で暮らしたい①
~在宅医療ができること~

納得のいく最期、何をすればいい?

意思を明確にし、表明する

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 前のページでは、自宅で最期を迎えるために大切なのは「受容」と「納得」だということをご紹介しました。どのような人生の締めくくりでも、自分が納得できればそれがベストです。でも、その実現のためには、自分の意思を明確にし、家族や医師など周りの人に伝えなくてはなりません。最期を考えるきっかけには、「エンディングノート」が便利です。でも、「エンディングノートはあくまでも考えるきっかけ」と佐々木先生は話します。

 「元気なときにはノートに模範解答しか書けず、いざとなると気が変わるかもしれません。また、希望は家族や医師に理解されなければ叶いません。大事なのは、自分が納得のいくやり方を考えること、そして、周囲と共有することです。書いたものは何度も見直して、気持ちが変わったり、病気になったときにも話し合う。医師にも見てもらうとよいでしょう。多くの人が、実際に療養する中で『自分にとってよりよい選択は何か』ということに気づいていきます。」(佐々木先生)

 病気になった場合は、この先、起こり得ること、見込みを医師にはっきり尋ねて判断材料を得ることが肝要です。また、「つらい」とか、「嫌だ」といった自分の正直な気持ちを率直に話し、意思が伝わるようにすること。治療は決断の連続。後戻りはできないのです。

死を受け入れると生き方が変わる

 治療が難しいことがわかり、死を受け入れられるようになると、人生の優先順位が変わります。患者に求められる「健康」や「長生き」の順位は下がり、「自分らしく生きること」が最優先事項になります。可能な範囲で、我慢していたお酒やたばこをたしなみ、大好きな甘いものや塩辛いものも食べるのもよいでしょう。医師の判断に応じて、副作用の強い薬の服用をやめたり、世界旅行の夢を実現するといったことも可能になるかもしれません。自分らしくやりたいことをすることが、納得して人生を締めくくることにつながります。

 それと同時に、自分の家で穏やかな最期を迎えるためには以下のような注意も必要です。

◎訪問診療医とのつながりをつくる

 「訪問診療」とは、通院が難しい場合、計画に基づいて医師が定期的に患者の自宅を訪ねて診療を行うもので、公的医療保険の対象になります(必要になったときだけ医師が訪れる「往診」とは異なります)。自宅で死亡した場合、訪問診療を行っている主治医がいれば、家族だけで看取ったときや一人で亡くなったときでも、これまでの経緯から判断して、通常の死として死亡診断書を作成してもらうことができます。一方、主治医がいない場合、いわゆる「異状死」の扱いになり、警察の捜査が入ることがあります。自宅で最期を迎えたいと考えているのであれば、まずは訪問診療を依頼できる医師や医療機関を探します。

◎家族は死の兆候を知っておく

 死期が近づくと、人間には次のような兆候が現れます。

  • ・食事が取れなくなる。
  • ・眠っている時間が長くなり、反応が少なくなる。
  • ・水分が取れなくなり、尿が出なくなる。
  • ・肩で息をするような大きな呼吸をする。
  • ・時々、呼吸が止まる。
  • ・喉の奥で「コロコロ」というような音がする。

 例えば、死が近づいたときの反応として、下顎を動かしてあえぐような呼吸(下顎呼吸)があります。死を前にした自然な反応で、実際に苦しいわけではありません。このような兆候は、死を迎えるまでの時間の目安になるでしょう。特に自宅で家族が看取る場合、その場に医療者がいないことが普通です。慌てず静かにその時を迎えるための予備知識を持ち、心の準備をすることが必要です。

サポートを受けるには?

 高齢化が進む一方で、人口減少が始まった日本では、将来的に自分の家で亡くなる人が増えていくことが見込まれています。在宅医療や看取りについて、よくある疑問を佐々木先生にお聞きしました。

Q.在宅医療について、どこに相談すればいい?

A.介護保険のサービスを利用している場合は、サービスを受けている介護事業所、所属するケアマネジャーに尋ねてください。訪問診療を行う医師・医療機関や訪問看護ステーションを紹介してくれます。介護保険を利用していない場合は、市区町村に複数ある「地域包括支援センター」でもいいでしょう。また、市区町村によっては、在宅医療の相談を受け付ける窓口もあるので、直接聞いてみましょう。

Q.看取りを行う家族の介護負担は?

A.終末期に近づくにつれ、ベッドの上での生活になっていくので、体力があって目が離せない認知症の介護などとはイメージが異なります。食事や排泄もベッドの上になっていくので、定期的なケアがメインになります。例えば、マッサージをしてあげるとか、身辺の快適さを保つために家族としてできるケアを行うような感じです。おむつ交換などが大変であれば、ヘルパーなどのサービスが利用できますし、負担は心配するほど大きくはないと思います。

Q.医師を選ぶコツは?

A.訪問診療を行う医師にはそれぞれのスタンスとやり方があり、患者さんそれぞれにマッチする医師が違います。究極的には相性です。やはり自分の最期を診てもらうのに“納得できる”医師であることが大切です。
 私たち悠翔会は、複数の診療領域にまたがった在宅総合診療を行っており、チームとして24時間対応を行っています。地域の開業医は物理的に一人で24時間対応をすることは不可能です。開業医も、グループをつくって当番制で夜間をカバーするなどシステムを工夫していますし、悠翔会も夜間だけ開業医をカバーするということもしています。

Q.一人暮らしの場合は?

A.今はさまざまなサービスがあります。ご本人さえ覚悟を決めていれば、訪問診療、訪問看護、訪問介護を組み合わせて、自宅で最期を迎えることもできます。おむつ交換や食事も、ヘルパーを利用できるので心配ありません。お一人のときに亡くなるのが一般的ですが、ご家族が看取る場合も、ご家族が居眠りしていたり、トイレに立ったりしている間に逝ってしまうことが少なくありません。ご家族にも、それが普通のことだと伝えています。

 誤解しないようにしたいのは、「自宅で最期を迎える」と決めたからといって、「絶対に救急車を呼んではいけない」というわけではないことです。人間の心は揺れ動きます。最後に病院に行って安心し、本人や家族が納得できるのであれば、それでいいと佐々木先生は言います。

 「治らないことは不幸ではありません。一番よくないのは、何も考えることができずに、最期まで不安にさいなまれて人生を終えることです。人間はいずれ弱って亡くなっていくものです。治らない状態になったとき、それを受け止め、自分が納得のいく暮らしを継続できるよう主体的に考えてほしいと思います。そのために必要な方法は、私たち専門家が考え、お手伝いすることができます。」

◎医療法人社団 悠翔会 公式ウェブサイト

http://yushoukai.jp/

 日本では、死について語ろうとすると「縁起でもない」と言われてしまいがちです。でも、よりよい人生を全うするために、「人間はいつか死んでいく」という当たり前のことをもう一度頭に入れる必要があるのかもしれません。“納得のいく”最期を主体的に選ぶ心の準備をしておきたいものです。

【関連記事】

最期までわが家で暮らしたい② ~訪問看護が支える終末期の暮らし~

① 自分の意思で決める自分の暮らし

② こんなとき、どうなる? どうする?

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