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介護
掲載:2018年1月15日

最期までわが家で暮らしたい②
~訪問看護が支える終末期の暮らし~

こんなとき、どうなる? どうする?

 では、実際に自宅で最期を迎えるとは、どのようなことなのでしょう。また、それに備えてどんな準備が必要になるのでしょうか。引き続き、「在宅療養支援 楓の風」副代表の野島あけみさんに伺います。

Q.終末期にはどのような介護が必要になる?

A.最期が近くなって、体が弱ったときに必要になる介護は、主に、①食事、②排泄、③保清(体を拭く、歯みがき、洗髪など)の3つです。訪問介護(介護保険)や訪問看護(介護保険、医療保険)のサービスもあるので、負担が大きいと感じたときは利用するといいでしょう。

 例えば、食事の場合、まず食事動作の介助が必要になります。さらに、食品が飲み込みにくくなったら離乳食のような飲み込みやすい形に調理したり(既製品もあります)、一度に量を取ることができなくなったら何回かに分けて食事を介助したりします。排泄ならば、トイレまで歩くのが大変になったときに歩行を助けたり、ベッドの近くにポータブルトイレを置いて排泄を介助したりします。それも難しくなった場合はおむつを使用し、交換することが必要になります。

Q.訪問看護とは?

A.訪問看護は、医師の指示を受けて、病院で看護師が行っているケアを自宅で行うもので、対象は通院が難しい方です。介護福祉士やホームヘルパーによる訪問介護と重なる部分もありますが、看護師は医学的な観点からケアを行う点が違います。患者さんの身体状況を把握し、今後の状態を予測して予防します。病状の変化は早期発見し、適切な対応を行います。病状に応じて家族やヘルパーさんに対応を伝えたり、医師に報告して適切な薬を処方してもらったりすることもあります。

Q.亡くなる瞬間はどのような状況?

A.最期の瞬間には、その場に医療職や介護職がいないことが普通です。「さっきはテレビを見ていると思ったのに、気がついたら呼吸をしていなかった」というような感じで亡くなることが多いです。また、家族がトイレに行っているときや、ウトウトしている間に亡くなることもあります。でも、「死の瞬間にその場にいなければ」と、常に気を張り詰めている必要はありません。大切なのは、「瞬間」ではなく、最期を迎えるまでのプロセスをご本人と家族が共有してきたこと。それができれば、看取りの役割を十分果たしたといえます。

 家で最期を迎えたいと思ったときは、医師が定期的に訪ねて診療を行う「訪問診療」をお願いしてください。日頃から訪問診療を行っている「かかりつけ医」が死の瞬間に立ち会っていなくても、亡くなったことを連絡すれば、訪ねて死亡を確認し、死亡診断書を作成してくれます。

Q.家族が判断に迷ったときは?

A.ご本人の状態が大きく変化したときに、家族では判断がつかないことがあるかもしれません。例えば、終末期にゆっくり衰弱していくときは、この先の変化について話は聞いているはずです。でも、出血があったらどうでしょう。判断に迷ったときは、訪問看護ステーションに連絡してください。訪問看護を利用していれば、緊急時にいつでも連絡でき、必要があれば看護師が駆けつけることもできます。看護師は日頃から、ご本人がどのように最期を迎えたいのか(どのような治療を望み、望まないのか)を聞いています。その選択を実現できるよう判断し、対処するのが私たちの仕事です。

Q.一人暮らしのときは?

A.ご自分の意思が明確であれば、独居であっても自宅で最期を迎えることは可能です。家族がいない場合、反対する人がいませんし、介護負担が一人に集中して疲弊してしまうこともないので、ご本人の意思で決めることができます。まずは、信頼できるケアマネジャーを見つけてください。医療職、介護職がチームをつくり、希望を実現できるよう支えてくれます。場合によっては、成年後見人(任意後見人)をつけて「家で最期を迎えたい」という意思を伝え、諸手続きを任せることもできます。

 食事、排泄、保清については、介護保険で介護福祉士やホームヘルパーの手を借りることができるので心配いりません。ただ、排泄は訪問介護の時間に合わせてできることではないので、トイレやポータブルトイレが使えずおむつが必要な場合、不快な時間を我慢しなければいけないことがあるかもしれません(なお、排泄については、終末期よりも、寝たきりの期間が長い慢性疾患の場合に問題とされることが多いと思います。終末期には食事や水分を取れなくなるので、回数も減少します)。  
 独居の場合は、お一人のときに息を引き取り、医療職、介護職が発見するケースが多くなります。一人で死を迎えることの不安や痛みは大きなものです。心の支えとなる友達や、1日1回、声を掛けてくれるご近所さんがいれば、心強いと思います。

Q.医療機関との費用の違いは?

A.病気や予後、希望する治療に応じて変わってきますが、総額としては、在宅のほうが入院よりも費用は低くなるのが一般的です。例えば、医療費については、在宅医療ではケアを選択して行うため、入院よりも低くなります。また、終末期の方は病院で個室を使うことが多く追加費用がかかりますが、自宅なら不要です。その一方で、訪問介護や福祉用具(介護用ベッドの貸与やポータブルトイレの購入など)といった介護保険サービスの負担が別に生じたり、家族が介護休暇(介護休業)を取った場合、給与収入が下がってしまうといったことも考えられます。

Q.サポート先はどのように探す?

A.65歳以上であれば、なるべく早く市区町村に申請して、要介護認定を受けてください。ケアマネジャーがついて必要なサービスの調整をしてくれます。「家で最期を迎えたい」という希望を伝え、理解のある医師や訪問看護ステーションを紹介してもらいます。

 紹介先の中から実際に決めるときは、ウェブサイトを見るといいでしょう。在宅医療に熱心なところでは、年間の「看取り」件数を掲載するなどしているので参考になります。また、決める前に医師や看護師と顔合わせをすることもできます。まずは、実際に会って話をしてみましょう。そのためにも、要介護認定の申請はお早めに。  
 なお、40~64歳の方も、末期のがんの場合などは介護保険の対象になります。また、40歳未満の方であれば、病院の退院調整室(地域医療連携室などという場合もあります)で相談に応じてくれます。

Q.思ったことを伝えにくい場合は?

A.「医師を前にすると言いたいことが言えない」という方がいるかもしれません。「こうしてほしい」とか、「ここが不満」などと思っていても、伝える前からあきらめてしまっていることもあるでしょう。でも、実際に話してみれば、しっかり聞いて対処してくれるはずです。自宅ではご本人が「城の主(あるじ)」。在宅医療に関わる医師や看護師、また介護職は、ご希望を聞いて、それを実現するのが仕事です。私たちは皆、「言ってもらわなければわからないこともあります。何でも言ってください」と考えています。

 口下手だという方は、あらかじめ家族と話し合って伝えたいことをメモしてください。それでも話せなかったときは、メモを手渡してもいいと思います。  
 死ぬことも人生の一部です。「明日はどう生きたいか」「1週間後、1年後はどうしたいか」、生き方を決めるのはご自身です。自分で決め、周囲の人にもはっきり意思を伝えられるようになることが理想的です。

◎在宅療養支援 楓の風 公式ウェブサイト

http://www.kaedenokaze.com/

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