2受給資格期間を満たすまでは70歳を過ぎても加入できる

受給資格期間を満たしていない場合は任意に加入できる

 前項で解説したとおり、厚生年金保険に加入できるのは70歳になるまでです。しかし、70歳を過ぎても加入できる例外があります。

 老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を受けるには、国民年金あるいは厚生年金保険への加入実績が最低限の期間を満たしていることが必要です。
これを「受給資格期間」といいます。

 受給資格期間は、かつては「25年」、2017年8月からは「10年」に短縮されています。

 会社に勤めている人が、この「10年」の受給資格期間を満たしていない場合(※)には、70歳を過ぎても厚生年金保険に任意に加入できる仕組みがあります。
これを「高齢任意加入」といいます。高齢任意加入の場合、保険料は全額が本人負担で、納付するのも本人になります。ただし、事業主の同意が得られる場合は、一般保険料と同様に事業主と本人との折半となり、納付するのも事業主となります。

※受給資格期間が「25年」であったときと比べ、70歳到達時点で「10年」の受給資格期間を満たしていないケースは大幅に減少していると思われます。

【図表4】70歳以降も厚生年金保険に任意加入できるケース(例)

【図表4】70歳以降も厚生年金保険に任意加入できるケース(例)

【図表5】高齢任意加入の概要

加入要件 老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない人が、70歳以降も会社に勤める場合
※受給資格期間を満たした以降は、加入を継続することはできない。
手続き 本人が、事業所の所在地を管轄する年金事務所に
「高齢任意加入被保険者資格取得申出/申請書」を提出
保険料 ●事業主の同意が得られる場合
 事業主と本人との折半(納付義務者は事業主)

●事業主の同意が得られない場合
 本人が全額負担(納付義務者は本人)
 ※本人が督促指定期限までに保険料を納付しない場合は資格喪失となる。

国民年金の高齢任意加入は原則65歳になるまで

 国民年金では、20歳から60歳に達するまでが強制加入期間となっていますが、60歳以上65歳未満の期間において任意加入できる仕組みがあります。
 国民年金の高齢任意加入には、大きく次の2つのパターンがあります。

①老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たすために、任意に加入する
②老齢基礎年金の額を満額(40年加入)に近づけるために、任意に加入する

 なお、40年(480月)を超えて保険料が納付されることを防止するために、任意加入被保険者については、480月に達した時点で、強制的に任意加入被保険者の資格を喪失することとなります。

 さらに、1965年4月1日(昭和40)以前に生まれで、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人に限って、65歳以上70歳未満の期間においても任意加入できる道が開かれています。

【図表5】国民の高齢任意加入のパターン(例))(年金額は2020年度価格)

A.受給資格期間が不足している場合①(受給資格期間だけを満たす)

【図表5】国民の高齢任意加入のパターン(例))(年金額は2020年度価格)A.受給資格期間が不足している場合①(受給資格期間だけを満たす)

B.受給資格期間が不足している場合②(受給資格期間を満たし、さらに年金額を増やす)

【図表5】国民の高齢任意加入のパターン(例))(年金額は2020年度価格)B.受給資格期間が不足している場合②(受給資格期間を満たし、さらに年金額を増やす)

C.受給資格期間は満たしているが年金額を増やす場合

【図表5】国民の高齢任意加入のパターン(例))(年金額は2020年度価格)C.受給資格期間は満たしているが年金額を増やす場合

D. 65歳に達しても受給資格期間が不足している場合(1965年4月1日以前生まれに限る

【図表5】国民の高齢任意加入のパターン(例))(年金額は2020年度価格)D. 65歳に達しても受給資格期間が不足している場合(1965年4月1日以前生まれに限る)
point

1.会社に勤めている人が、受給資格期間を満たしていない場合には、70歳を過ぎても厚生年金保険に任意に加入できる

2.国民年金については、受給資格期間を満たしていない場合、または老齢基礎年金額を増やすために、60歳以上65歳未満の期間において任意に加入できる

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