220歳前の傷病による障害基礎年金には収入による支給制限がある
前年の所得が限度額を超えると全額または2分の1が支給停止
図表2で示したとおり、障害基礎年金を受給するには保険料を納付していることが条件となります。しかし、20歳前の傷病による障害基礎年金は、保険料を納めていなくても受給できるものであることから、一定以上の所得がある場合に所得制限を設けることで公平性が図られています。
具体的には、障害基礎年金の受給権者の前年の所得が政令で定める限度額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月までの全額または2分の1が支給停止となります。この限度額は、扶養親族がいる場合には1人につき加算されます。2019年度の限度額は、図表5のとおりです。
※この支給停止期間は、2020年度については2020年8月から2021年9月までとなっています。
【図表5】20歳前の傷病による障害基礎年金の受給権者の所得制限2019年度)
前年の所得状況を本人が届け出る必要はない
見てきたとおり、「障害年金に該当する障害をもっていても、収入によって、障害年金はもらえなかったり減額されたりするのか」という問いへの答えは、「20歳に達する前に初診日がある病気やケガが原因の障害に対する障害基礎年金は、収入(所得)によって全額または2分の1が支給停止となることがある」ということになります。(厳密に言えば、国民年金任意加入対象者であった人が受給する特別障害給付金や、障害福祉年金から移行した障害基礎年金に対しても所得制限がありますが、ここでは説明を割愛します。)
障害厚生年金も含めて、障害年金が支給されるパターンをフローチャートにすると、図表6のとおりとなります。
【図表6】障害年金の支給パターン(それぞれの受給要件を満たしている場合)
前年の所得の状況については、日本年金機構が市区町村から所得情報の提供を受けるため、受給権者本人が届け出る必要はありません。ただし、日本年金機構が市区町村から所得情報の提供を受けられないときは、本人からの所得状況届の提出が必要となりますので、対象となる方に日本年金機構から提出に関する案内が送付されます。
障害の状態は毎年の誕生月の月までに届出が必要
20歳前の傷病による障害基礎年金をもらえる人は、引き続き受給する権利があるかどうか、障害の状態を確認するために「障害状態確認届(診断書)」を毎年提出する必要があります。障害状態確認届は、誕生月の3ヵ月前の月末に日本年金機構から送付されます。
障害状態確認届が届きましたら、「診断書」欄を医師に記載してもらい、提出期限(誕生月の末日)までに日本年金機構に到着するよう提出する必要があります。
障害状態確認届には、提出期限前3ヵ月以内の障害の状態が記入されている必要があります。また、障害状態確認届の提出が遅れたり、記載内容に不備がある場合は、年金の支払いが一時止まることがありますので注意してください。
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、提出期限が2020年2月末日以降である「障害状態確認届」については、提出期限までに提出されなかった場合でも、当面の間、年金の支払いを止めないことになっています。
1.20歳前の傷病による障害基礎年金には所得制限があり、前年の所得が政令で定める限度額を超えるときは、全額または2分の1が支給停止となる
2.前年の所得状況を受給権者本人が届け出る必要はない
3.障害の状態を確認するための障害状態確認届(診断書)は毎年提出する必要がある
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② 20歳前の傷病による障害基礎年金には収入による支給制限がある