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年金・社会保険
掲載:2020年2月14日

“目で見る”年金講座【第17回】
在職老齢年金、退職した後の年金は?

「高齢で働くと年金が減るのでソン」とは言えない

現時点の制度を前提にすれば、
働けるのであれば働いたほうがいいのでは?

 公的年金制度のあり方については、さまざまな考えがあります。在職老齢年金の仕組みに対しても、いろいろな意見があるでしょう。「年金は保険料を納めたことの対価としてもらえるもの。働いて収入があるからといって減らされたりするのはおかしい」という考え方もあれば、「厚生年金はもともと退職して収入が亡くなった後の所得を保障するために作られた制度なのだから、世代間のバランスも考慮して、収入がある人への支給は調整されるのもしかたがない」という考え方もあります。いずれにしても、現行の在職老齢年金の仕組みには見直しが求められています。次期年金制度改正でも課題の一つとなっていますので、議論が大いに盛り上がることを期待したいと思います。
 しかしながら、現行の在職老齢年金の仕組みにおいて、「年金が減らされるのなら働かないほうがトクではないか?」と聞かれると、いかがなものかと感じます。図表6を見て、60歳で退職するパターンAと75歳まで働くパターンDのどちらがトクで、どちらがソンと言えるでしょうか?

【図表6】Aさんのパターン別の受給年金額(再掲)

 60歳台前半の在職老齢年金は、支給停止の基準額が28万円と低いので、「働かなければ144万円もらえるが、働くと48万円しかもらえないからソンだ」と見えるかもしれません。しかし、働いているということは給与収入があるということです。Aさんの場合、年金と給与収入を合わせると432万円になります。家計における収入面で大きなメリットであることは間違いありません。もちろん、どんな仕事で、どんな負担があるのか、その仕事に給料が見合っているのか、などは個々それぞれなのでわかりません。つまり、単純にソン・トクでは論じられないのです。
 60歳台後半の在職老齢年金になると、支給停止の基準額が47万円になり、支給停止の割合がぐっと低くなります。そのうえに給与収入が入るわけですから、収入面でのメリットはさらに大きくなります。パターンB・Cで見たように、厚生年金保険に加入して働いていた分は、後の年金額に加算もされます。
 現行の在職老齢年金の仕組みは「高齢者の就業意欲を削いでいる」という批判があり、そうした一面があることは否めません。が、まだまだ元気で、働きたいという気持ちがあるのであれば(そして働く職場があるのであれば)、働いて収入を得るにこしたことはないように思われます。もちろん、仕事を離れ、趣味や地域活動に取り組むなどの選択肢もあります。そうした選択は、単純なソン・トク勘定ではなく、「やりたいことをやる」という視点によって判断することも、高齢期の生活を豊かに送ることにつながるように思うのですが、いかがでしょうか。

point

1.在職老齢年金の仕組みによる支給停止をもって、高齢期の就業のソン・トクを一概に論じることはできない

2.ソン・トクだけではなく、「やりたいことをやる」という視点によって老後の生活設計を立てるという考え方も必要である

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