これまで2回にわたり新NISAの仕組みや特徴についてお話ししました。
仕組みと特徴は理解した、口座も開設した、ではいよいよ「投資」となるとどういう商品を選択すればよいか、戸惑う方が多いかと思います。
今回は、投資に際して最低限知っておいていただきたいことを簡潔に説明いたします。
投資についての基礎知識
投資信託
新NISAで選択できる金融商品のほとんどは『投資信託』です。
『投資信託』とは、多くの人から集めたお金を運用の専門家が、株式や債券など様々な資産に分散投資する金融商品です。
少額でも分散投資の効果を期待できるのが、『投資信託』の特徴です。
リスクとリターン
投資を行なう際には、まず『リスク』と『リターン』の関係について理解することが大切です。
『リターン』とは預金の利息や株式・投資信託の値上がり益・配当などの「収益」を指します。
『リスク』とは普通は「危険」といった意味合いで使われますが、投資におけるリスクとは、「収益のブレ」を意味します。
3%の収益を期待していたのに▲2%になったなどのケースはリスクとして理解しやすいですが、反対に3%の収益を期待していたのに+6%になったケースもリスクと言います。
リスクとリターンの関係
誰もが、下振れするリスクがほとんどなく大きなリターンが得られる投資商品を望んでいるかと思いますが、残念なことに上の図の方程式が崩れることはありません。
期待リターンが大きいほどそれに応じて同じような幅でマイナスとなってしまう可能性があることをご理解ください。
株式と債券
新NISAで選択できる投資商品は、ほとんどが『株式』と『債券』に分類されます。
では、『株式』と『債券』の違いはなんでしょう?
『株式』は企業への出資を意味します。
配当や値上がり益が期待できる反面、企業の業績や景気次第で大きく変動することがあります。
一般的に企業業績が良かったり、世の中の景気がよくなったりすれば値上がりが期待できますが、企業業績や景気が悪化すれば反対に値下がりします。企業業績や景気は上がり下がりを繰り返しますので、株式が一方的に「上がり続ける」ことや「下がり続ける」ことはありません。
一方、『債券』は国や企業へお金を貸すという借用証書のようなものを意味します。
『債券』も値上がり益が期待できますが、予め満期と金利が決まっているので、値動きは小さくなります。一般的に『債券』は『株式』とは反対に景気が良くなると値下がりし、景気が悪くなると値上がりします。
これは景気と金利に密接な関係があるためです。
例えば、下の図のように金利2%の債券があるとします。
この債券を100円分買えば、1年間で2円を受け取ることができますが、債券の金利が3%に上昇した場合金利3%の債券を100円分購入すれば、1年間で3円を受け取ることができます。
そうなると金利2%の債券よりも、金利3%の債券のほうが魅力的、ということになりますので金利2%の債券は魅力が減って価格は下落します。
おわかりのとおり『株式』と『債券』は一般的に景気によって反対の動きをします。
また、リスクとリターンについて、『株式』はリスクも大きいが大きなリターンを期待でき、リスクの小さい『債券』は大きなリターンは期待できないと理解すれば良いでしょう。
投資をする際にはこうした『株式』、『債券』の特性を生かして、双方バランスよく資産を振り分けることで、安定した収益を得ることが可能になります。
国内と外国
前述の『投資信託』は、大きく株式型と債券型、国内型と外国型に分類されます。
『株式』と『債券』の特徴については、すでにお話した通りですが、外国型に投資する際には注意しなければならないことがあります。
一部商品を除いて外国の商品は為替の影響を受けるということです。株式や債券価格自体の変動もありますが、為替変動が資産価格に大きな影響を及ぼします。
ご覧のとおり、円高が進めば商品価格は下落します。
反対に円安が進めば商品価格は上昇します。
為替や円相場については、毎日のニュース等で頻繁に取り上げられていますので、こまめにご確認いただくことをお勧めいたします。
基本的なポイントを押さえていれば投資は難しくはない
前回、解説した新NISAも含みますが、投資の世界では専門用語が多く、初心者の方は戸惑う方も多いかもしれません。
また、投資はその商品数が多く存在し、それぞれリスク等の特徴などが違うことから、より一層、複雑に感じるのかもしれません。
しかしながら、一つ一つの仕組みを理解し、慣れていけば特に難しいことはありません。
また、投資は自分にあった商品を選ぶことが一番大切です。
次回は新NISA解説の最終回として、ご自身が実際に商品を選定するにあたり注意すべき事項を解説していきます。
次回もぜひ、ご覧ください。
執筆者プロフィール
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社会保険労務士
原田 英太郎(はらだ えいたろう)
大手生命保険会社勤務を経て2019年社会保険労務士資格を取得。翌年、事務所開業と同時に人材育成会社・(有)グッドフォーチューンの運営にあたる。現在、労務問題を中心としたコンサルティング活動に従事。仁と義を尊ぶ。
- 次回予告 -
新NISAにおける投資のステップ
~投資を始める前に~
次回、くらしすとEYEの年金とお金シリーズ【第4回】では、
"新NISAにおける投資のステップ ~投資を始める前に~"
を更新予定でございます。
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