第57回 全国都市国民年金協議会総会及び研修会が仙台市で開催
松山市総合コミュニティセンター

 第57回全国都市国民年金協議会総会及び研修会が、8月22日、23日、宮城県仙台市の仙台国際センターにおいて開催された。1日目の22日は分科会、2日目の23日は総会、基調講演、分科会報告が行われ、国民年金事業に取り組む全国の都市国民年金担当職員、厚生労働省、日本年金機構が一堂に会し、都市間・国・機構の連携強化を図るとともに、制度改善の要望や意見交換を行った。

基調講演「公的年金をめぐる動向について」
古賀紳介・厚生労働省年金局事業管理課課長補佐

講演する古賀氏

 総会終了後、厚生労働省年金局の古賀紳介・事業管理課課長補佐が「公的年金をめぐる動向について」と題して基調講演を行った。
 古賀氏は、「今日は日本がどこに向かっていて、年金はどういう役割を果たすべきなのかということを話したい」として、①日本の「今」の姿と「未来」の姿、②公的年金制度改正の大きな流れ、③公的年金制度における市区町村の役割――をテーマに講演した。
 古賀氏は、日本の人口は近年、減少局面を迎え、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されていると、日本の人口の推移を説明。そこで、社会全体の支え合い構造の見直しが必要だとして、高齢者が社会の支え手になっていく必要があると論じた。
 こうした社会全体の支え合い構造の見直しに沿った対応として、古賀氏は年金制度の平成16(2004)年改正と平成24(2012)年の社会保障・税の一体改革を位置づける。平成16年の年金改正では、保険料率を、厚生年金では18.3%で固定。そのうえで基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げ、積立金を活用。その財源の範囲内で給付水準を自動調整するマクロ経済スライドを導入して、現役世代の人口減少とともに年金の給付水準を調整することにした。
 国庫負担割合の2分の1への引き上げが年金制度を安定させるために必要な財源だったが、消費税率5%では国庫負担割合2分の1の財源を確保することができないことから、平成24(2012)年に社会保障・税一体改革が当時の民主党政権のもとで行われ、税財源も基礎年金の国庫負担割合2分の1の財源に充てる改革がなされた、と古賀氏は説明する。
 だが、消費税は逆進性が強いと言われ、所得が低い層がより負担が大きくなるという仕組みであることから、低所得者に対して、消費税を財源とした給付金を支給する制度を創設。年金生活者支援給付金を消費税率引き上げ年度から実施することとなった。
 年金は地域経済を支え、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療の保険料や住民税は、年金から特別徴収されていることから市区町村の基幹行政を支え、一人ひとりの住民の生活を支えている。また、年金は市町村行政とも深い関わりがあると古賀氏は言う。
 そして、古賀氏は、アメリカへの留学経験から、アメリカと日本の違いは、日本は公務員制度に対して信頼感が高いことだと話す。このことが日本の強み、日本の宝だとして、年金制度を軸にして、年金生活者支援給付金やマイナンバー制度に市町村職員が取り組んでいることが日本の年金制度には必要なことだと、会場の都市職員にエールを送った。そして、世界中が、日本がこの少子高齢社会を乗り越えるかどうか注目している。そうしたなかで日本の強みである市町村職員にご指導ご鞭撻をいただきたいと思っている、と講演を結んだ。

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