現役世代が急減する2040年に向けて総就業者数の増加が課題
~第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部
日本では、2040年になると高齢者の人口の伸びは落ち着くが、一方で現役世代が急減すると言われている。そのため、多様な就労・社会参加が可能となる環境を整備して総就業者数を増加することが求められる。厚生労働省では2019年5月29日、「第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を開催し、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめについて」を審議した。
2040年頃を展望すると、2025年を境に人口構造は「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に変化しはじめる(図1)。そこで、社会の活力を維持・向上するためには、高齢者をはじめとして多様な就労・社会参加を促進することが政策課題となる。具体的には、〇70歳までの就業機会を確保すること 〇就職氷河期世代の人たちが活躍できる場を更に拡大するための支援を行うこと(厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン) 〇中途採用を拡大し、副業・兼業を促進すること 〇地域共生を目指し地域で支え合うこと 〇人生100年時代に向けた年金制度改革を行うことを主な取組に挙げる(表1)。
2040年の高齢化社会を見据えた社会保障改革を進めるに当たっては、これまでの厚生労働行政の枠組
みにとらわれず、様々な分野を視点を取り込むことが重要とされる。そのためには、厚生労働大臣が各業界関係者と直に意見交換する「社会保障制度の新たな展開を図る政策対話」を開催し、医療、介護、福祉、年金、雇用保険といった社会保障の枠内で考えるだけではなく、農業、金融、住宅、健康的な食事、創薬といった分野にも視野を拡げて、連携する中で新たな展開を図っていく。
図1 2040年までの人口構造の変化
<資料>総務省「国勢調査」「人口推計」(2045年まで/国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口 2017年推計」(出生中位・死亡中位推計(2016年以降)>
表1 多様な就労・社会参加のための主な取組