高知東年金事務所(高知県高知市)
強制徴収は制度理解を通じて納期内に納付してもらうことが目的
――小原 泰寛 国民年金課長
小原泰寛国民年金課長は、2014年10月高知西年金事務所国民年金課、2016年4月徳島県の阿波半田年金事務所国民年金課長に赴任、そして2018年10月現職に就任した。国民年金課は小原課長を含め9名である。
20歳の職権適用では、適用前に必ず加入勧奨するようにしている。まずは案内状を送付。そのうえで戸別訪問を行い、国民年金制度や保険料納付について説明する。国民年金の保険料は自主納付が原則である。本人が制度を理解したうえで加入しないと、そのあとの保険料納付につながらないからだ。そこで、案内状や戸別訪問したあと、自主的に加入しなかった20歳到達者が職権適用の対象となるわけだ。
「適用された翌々月に保険料納付書を送付していますが、この段階で納付しない方には、すぐに特別催告状を送り、未納期間が長期間に及ぶことがないよう、対策をとっています」と小原課長は話す。
収納対策では、特別催告状がメインの取り組みになるが、高知東年金事務所では、免除制度の該当者も多いことから、ターンアラウンドの国民年金保険料免除申請書による免除勧奨にも取り組んでいる。
また、国民年金保険料の強制徴収にも力を入れている。しかし、強制徴収は差押えを目的とするものではない、と小原課長はきっぱりと言う。だから、まずは強制徴収にまで至らないよう、事前に説明の機会を設けるため、来所通知を送ったり、職員が訪問したりを繰り返し、どうしても納付しない滞納者に対して差押えを行うことになる。そこで、小原課長は、「国民年金課の課員には、強制徴収は保険料の徴収が目的ではなく、今後は納期内納付をしていただく人になってもらうことが目的だと言っています」と言う。
国民年金事業では、市町村との協力・連携が重要となるが、高知市では異動届を出した住民に口座振替や前納制度を勧奨するなど、積極的に国民年金事業に取り組んでいる。
「免除対象者が多いことから、今後免除制度の勧奨について、協力・連携できることがないか、話し合っていきたいと考えています」と話す小原課長は市町村との連携・協力について積極的に取り組んでいる。
市場化テストでは、高知市の場合、戸別訪問による接触率が悪く効果も伸び悩む。そこで、業者には月ごとに成果を報告してもらい、毎月効果を上げる対策について話し合っている。また、約束不履行者に対しては、事務所からも勧奨するなどして、市場化テストの効果が上がるよう、年金事務所としても業務を支援している。