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日本年金機構の業務委託のあり方について業務改善命令
〜第37回年金事業管理部会で諮問書

平成30年6月29日、厚生労働省は社会保障審議会の第37回年金事業管理部会を開催した。その中で、厚生労働省は日本年金機構における「扶養親族等申告書」に係る一連の業務の事務処理を取り上げ、「日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会」による報告を踏まえたうえで、業務の大幅な改善を求めて「業務改善命令書」を作成し、社会保障審議会の会長(西村周三氏)に宛てて諮問書(平成30年6月29日付)を提出した。
この「業務改善命令書」は、日本年金機構が自らの使命を改めて認識し、組織改革を進め、被保険者、適用事業所の事業主、年金受給者等利用者の立場に立って、正しく確実に業務を行うことを徹底するとともに、業務の運営の改善に関して必要な措置をとることを命ずるものである。
具体的には案として下記の5項目が挙げられている。

日本年金機構に対する厚生労働省の業務改善命令の内容(案)

1 日本年金機構の業務委託について、総合評価落札方式の適用の原則化や全省庁統一資格の本来等級の適用の原則化、インハウス型委託※※の推進等、「日本年金機構における業務委託のあり方等に関する調査委員会」の報告書で提言された対応策に着実に取り組むこと。

2 次の各事項について、今後調達手続を開始するものから直ちに実施すること。

(1)年金個人情報を取り扱う業務のうち、委託に当たり業務品質を確保するために業者の業務の履行能力を見極める必要があるもの(届書の処理、データ入力、年金相談及び訪問勧奨)について、総合評価落札方式の適用を原則化

 (2)年金個人情報を取り扱う業務委託の調達について、全省庁統一資格の本来等級の適用を原則化

 (3)調達単位の適切な分割等、調達手続について直ちに改善が可能な事項を措置

3 業務委託に係る調達、委託管理及び監査について、諸規程、マニュアル及びチェックリストの所要の改正等を平成30年7月末までに実施し、それらを日本年金機構内で周知・徹底すること。
あわせて、日本年金機構の組織について所要の見直しを行うこと。

4 届書の処理、データ入力及び年金相談の業務委託について、日本年金機構における作業場所の確保等の準備を進め、準備が整ったものからインハウス型委託※※を実施すること。


5 次の各事項に係る取組を進めること。

 (1)複数年契約や業務の包括的な委託の積極的な活用

 (2)IT化・システム化の推進による入力業務等の削減

 (3)人材の育成及び職員の意識改革

※全省庁統一資格とは、全ての省庁に共通する競争入札参加資格(A〜Dの等級)を指す。
※※インハウス型委託とは、日本年金機構が準備した場所で業務を行うよう委託すること。

【平成31年分扶養親族等申告書に係る外部委託業務について】

日本年金機構では「扶養親族等申告書」について、申告書の送付、受付、内容審査、データ作成、照会対応といった業務を行っており、短期間に大量の業務が発生するため外部委託を実施している。平成31年分の申告書については、平成30年9月に約800万件の申告書を送付する。利用者から提出のあったものについてデータ化する必要があるが、前年から変更がない人は簡易申告が可能となることから、多くの人のデータ作成が不要となる。今回は調査委員会報告書における提言を受け、申告書の受付からデータ入力及び画像化までの業務について、インハウス型委託により業務を実施する。
この業務において、主な変更点は、申告書の記載内容を簡素化したため用紙のサイズがA3からA4に変更になったことと、データ入力件数が大幅に減少したことである(図1・2)。これは前年から変更がないデータは入力不要としたことで実現した。
委託については「全体計画」、「コンティンジェンシープラン(非常事態の対応)の作成」、「RFI(情報提供依頼書)の充実」、「入札方法」、「参加資格」など全11項目について、それぞれ提言に沿った対応を策定した。

図版見出し図1 平成30年分の「扶養親族等申告書」(A3版)

図1 平成30年分の「扶養親族等申告書」(A3版)

図版見出し図2 平成31年分の「扶養親族等申告書」(A4版)

図2 平成31年分の「扶養親族等申告書」(A4版)算
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