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日本年金機構平成29年度上半期の取組状況を報告~年金事業管理部会

平成29年12月20日、厚生労働省は社会保障審議会の年金事業管理部会(第33回)を開催し、日本年金機構における平成29年度上半期の取組状況等を報告した。日本年金機構からは水島藤一郎理事長、清水美智夫副理事長、木谷豊理事、日原知己理事の4名が出席し報告にあたった。

【再生プロジェクトの実施状況】

「自ら考え、自ら改革」「現場重点主義」をコンセプトに、平成28年度からの3年間を集中取組期間として改革を推進してきた。平成29年10月に折り返し地点を迎えたが、改革は概ね計画通りの進展とみている。今後は新たな課題として、「年金給付業務の役割見直し」「事務センター業務 のビジネスモデルの見直し」「お客様チャネルのグランドデザイン策定」「現場機能の充実と職員の働き方改革を促進するための更なる人事改革」を挙げ、プロジェクトチームを設置するなど組織横断的な検討を進めている。

再生プロジェクトにおける平成29年度計画(概要と取組状況)

〇組織改革

縦割りを排除し、本部と現場が一体となった意思決定システムを確立するとともに、お客様のニーズを効率的・機能的に執行することを目的としている。現場支援・管理機能を本部に完全統合し現場を強化するため現場に職員をシフトした。さらに地域部の実施状況をフォローするために、地域部の職員との意見交換会を行い、地域部及び地域代表年金事務所をより機能させる方策を検討している。

〇業務改革

業務の効率化・合理化(人員配置の適正化)、現場実態に沿ったルール設定・遵守の仕組みを確立して、お客様対応に注力できる体制をつくることを目的としている。事業実績の向上及び業務の効率化を図るため、11月に5カ所の厚生年金保険の適用・徴収業務を近隣年金事務所への機能集約を実施した。平成30年2月にさらに6カ所の機能集約を予定している。また、事務の効率化・合理化及び標準化を図るため、事務センターの広域集約化を促進している。さらに障害年金センターの設置、予約相談の拡充、指示文書の発出件数の削減、ルール徹底の取組、業務削減の推進などに取り組んできた。

〇人事改革

職員が高いモチベーションを保ち、組織一体となって業務に取り組める人事を実現し、国民の年金を確実に守る人材を育成することを目的としている。役職と資格の見直しや専門職の設置、課長代理及び主任の設置、人事評価制度の見直しを推進してきた。また、女性や非正規職員も活躍できる場を提供するなど人材の育成に取り組んできた。

〇情報開示・共有の促進

透明性を確保し国民に安心してもらえる組織づくりのため、情報開示体制を見直し、組織内同士や厚生労働省との間の情報共有を強化することを目的としている。情報共有ツールとしてテレビ会議システムや常勤役員会の導入に取り組み、本部と現場間の情報共有、本部内の情報共有を促進してきた。

【情報セキュリティ対策の実施状況】

インターネットからの攻撃等、情報セキュリティ上の脅威に対して強固な情報セキュリティシステムを構築し、個人情報の保護を確実に行うため、組織面、技術面、業務運営面の3つの観点から対策を強化してきた。対策は概ね計画通り進展している。

情報セキュリティ対策における平成29年度計画(概要と取組状況)

〇組織の一体性の確保

 実効性のある情報セキュリティ対策を実現することを目的としている。情報管理対策本部を開催し、最高情報セキュリティアドバイザーを設置し、業務支援体制を強化してきた。

〇システム上の対策

年金個人情報に対して攻撃が及ばないシステムづくりを目的としている。自動暗号化等の実行により年金個人情報等専用共有フォルダのセキュリティを強化するとともに、ウィルス検知機能を強化することで電子媒体のセキュリティ対策を構築してきた。

〇業務運営上の対策

情報セキュリティに関する役割・責任・権限を明確にするとともに、役職員の危機意識の向上、運用ルールやインシデント発生時の対処手順の徹底管理を目的としている。情報セキュリティポリシー等の整備 ・政府統一基準改定等により情報セキュリティポリシー等を改正し、教育・訓練を強化した。また、外部委託実施要領を改正し、専門家による監査を実行してきた。

【社会保険オンラインシステム】

「公的年金業務の業務・システム最適化計画」の 基本的な理念に沿って、社会保険オンラインシステムの見直しに取り組んできた。取組を「フェーズ1」(経過管理・電子決裁システムについて、マイナンバーによる情報連携)と「フェーズ2」(適用・徴収等の業務機能に係る刷新)に分けて見直しを行った。

【情報処理の正確性の確保】

事務処理誤りの未然防止及び再発防止に取り組んできた。特に未然防止については、重点三事案(事務処理遅延、書類の紛失、誤送付・誤交付・誤送信)に組織一丸となって根絶を図ったことで、全体的に事務処理誤りの発生件数を減少できた。

職務と責任に応じた能力や専門性を向上させるため、本部主導で階層別研修、業務別研修、通信研修を本部主導で実施してきた。さらに、外部機関や民間企業における多様な研修を実施してきた。

【国民年金適用・収納業務】

未納者の年金受給権を確保するため、納付月数の確保と国民年金の納付率の向上に向けて機構全体及び年金事務所ごとに平成 29年度行動計画を策定し、収納対策を効果的・効率的に推進してきた。収納対策については、年齢や所得など属性に応じた対策を講じるとともに、強制徴収を着実に実施してきた。

平成29年度の目標納付率と上半期の結果(結果は平成29年度9月末時点による)

〇平成29年度分保険料の現年度納付率の目標
:平成28年度未納付率から1.0ポイント以上の伸び

  ⇒結果 1.7ポイントの伸び

〇平成28年度分保険料の納付率の目標(過年度1年目の目標)
 :平成28年度末から4.0ポイント以上の伸び

  ⇒結果 3.4ポイントの伸び

〇平成27年度分保険料の納付率の目標(最終納付率の目標)
 :平成27年度現年度納付率から7.0ポイント以上の伸び

  ⇒結果 8.4ポイントの伸び

【厚生年金保険適用・徴収対策】

 平成29年度の数値目標やスケジュール等の行動計画を機構全体及び年金事務所ごとに策定し、効率的・効果的に推進することを目的とした。

平成29年度の目標納付率と上半期結果(結果は平成29年度9月末時点による)

〇適用目標事業所数(機構全体):148,000事業所

 ⇒結果 93,007事業所

〇適用目標被保険者巣(機構全体):383,000人

 ⇒結果 308,384人

〇収納率・収納未納額の圧縮(前年度実績以上を目標)

 ⇒収納率 97.7%(前年度97.4%)、収納未納額 3,558億円(前年度3,804億円)

その他、年金給付について各サービススタンダードの9%以上の維持、障害年金にしてニーズに応じたわかりやすい対応、窓口相談体制の見直し、制度改正(受給資格期間の短縮)への対応、年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止に取り組んできた。

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