長野北年金事務所(長野県長野市)
「牛にひかれて善光寺参り」の言葉で知られる善光寺(長野市)。長野五輪の開会式では「平和の鐘」として善光寺の鐘が開会の合図を告げた。
北陸新幹線開業に伴い、善光寺の門前町をイメージする駅舎にリニューアルされた長野駅。
栗の産地であり、葛飾北斎が過ごした小布施町。道は花や緑でいろどられ、趣のある街並みに整備されている。
岩松院(小布施町)には、葛飾北斎の晩年の傑作といわれる天井画「八方睨み鳳凰図」や、小林一茶が「痩せかえる 負けるな一茶 これにあり」と詠んだといわれる「蛙合戦の池」がある。
建立600年以上になる浄光寺(小布施町)。自然石の石段に圧倒される。
毎週木曜日の「お客様目線5分作業」で事務所内を一斉チェック
長野北年金事務所は、国民年金では須坂市、中野市、飯山市、上高井郡(小布施町、高山村)、下高井郡(山ノ内町、木島平村、野沢温泉村)、上水内郡(信濃町、飯綱町)、下水内郡(栄村)の11市町村を管轄し、厚生年金ではこれに長野市の北部地域を加えた13市町村を管轄する。
職員数は全32名。内訳は、総務課2名、厚生年金適用調査課9名、厚生年金徴収課4名、国民年金課7名、お客様相談室9名となっている。
上田里恵所長は、石川事務センターの管理厚生年金グループ長、三重県の松阪年金事務所の副所長を経て、平成28年4月に長野北年金事務所所長の任に就いた。自身にとっては初の所長職。「職員から大きなことも小さなことも報告や相談してもらえるように、話しやすい雰囲気づくりを心がけています」と話す。
最近の機構の状況については、一昨年の不正アクセス事件を踏まえ、皆「同じことを繰り返したら次はない」という危機感を持って対応していると見ている。セキュリティ対策も厳しくなってきたが、そのルールを職員1人ひとりが理解するように周知を図っている。また、年金機構の理念にある「公平」「公正」についても、両言葉の意味の違いを職員がきちんと理解したうえで仕事に取り組むことが大事だと上田所長は考えている。
「ただ、こちらが一生懸命職員に説明したつもりでも、相手が必ずしもそれを正しく理解しているとは限らない。違って解釈されることもあるし、言われたことを重く受けとめるかどうかも人によって違う。言葉の難しさ、日本語の難しさを痛感しています」(上田所長)。
長野北年金事務所は窓口に
来所するお客様の数が少なく、1日あたり40~50件ほど。そのため待ち時間もほとんどない。長野市内には、同年金事務所のほかに長野南年金事務所、街角の年金相談センターがあり、この3カ所が同じ10キロ圏内に固まって存在しているため、お客様が分散されているのかもしれない。
予約相談PR用の手作りのうちわ。
待ち時間が少ないため、お客様が不便を感じないというのはいいことなのだが、一方では「わざわざ予約しなくても、いつ来てもすぐに相談してもらえるよね」とお客様は考えるため、予約件数の伸びが遅い。そこで、同事務所では予約の周知に力を入れているところ。そろそろ暑いシーズンになってきたので、お客様に使っていただくうちわも同事務所では用意しているが、そのうちわにも、所長自らが描いたイラスト入りで「予約相談始めました」とPRしている。
サービスの向上に向けては、若手プロジェクトチーム(PT)中心に、お客様目線でカウンターの外の環境を整えることに努めている。備え付けの老眼鏡に手垢がついていないか、窓の桟に埃がたまっていないか、観葉植物の葉が伸びすぎてポスターが見えなくなっていないか等をこまめにチェックし掃除するなど、カウンターの外にいるお客様の「目線」に注意しながら環境整備に努めている。
「職員はいつもカウンターの中で仕事しているので、外に出て中の様子を見る機会が少ない。そこで、毎週木曜日の朝に5分ほど、『お客様目線5分作業』と称して、全職員がカウンターの外に出て事務所内を一斉にチェックしています。私も日ごろから、窓に埃がないか指でスーっとなぞってチェックして、埃があると『ほら』と職員に見せたり(笑)。でも、女性だからそれができて、細かいところに気が付くというのもあるといえます。そうした『女性目線』も生かしていけたらと。最近は職員のほうからいろいろ気付いてくれて、業務が終了したら老眼鏡を拭いてくれたり、『眼鏡ふきも買おうか』などと提案してくれるようになりました」(上田所長)。