HOME ≫ 年金広報 ≫ 実務担当者のための年金講座 ≫ ① 共済組合の任意継続、標準報酬月額の3割落とし廃止へ!平均標準報酬月額は、組合により、44万円または41万円など 〜共済組合により、平成28年7月または平成29年4月より実施〜
年金広報タイトル

︱2016.8.15 8月号 (通巻686号) Vol.41

掲載:2016年8月15日
年金講座

地方公務員共済組合の、
任意継続の制度が変わりました
3割落としが廃止になりました

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

浦和大学総合福祉学部客員教授。志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員を歴任する。社会保険労務士の資格も有する。2007年4月から1年間、明治大学経営学部特別招聘教授に就任。2014年4月より、現職。主な著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(2015年、日本法令)

 先月号でお伝えした東京都職員共済組合の在職年金の支給停止額の誤りについて、全国市町村職員共済組合連合会についても、同様の誤りがあったことが、同じ平成28年6月7日に公表されています。発表のフォーマットも全く同じでした。

 「全国市町村職員共済組合連合会から日本年金機構及び日本私立学校振興・共済事業団に対し、年金受給者の方の情報の提供もれがあり、日本年金機構及び日本私立学校振興・共済事業団が支給する年金について、在職老齢年金支給停止額の計算に誤りが生じていた」ということです。影響した受給者数および金額は、未払いが24人で総額380,330円、過払いが13人で総額114,609円とのことです。

 東京都職員共済組合および全国市町村職員共済組合連合会の発表で気になるのは、日本年金機構と私学事業団が受給権者に与えた影響額を記しているのみで、在職年金の支給停止額の関係による支給の誤りであれば、按分処理の関係から、共済組合側にも未払い・過払いが生じていたと思われるのですが、その影響額には一切触れられていないことです。共済組合側には支給額の誤りがないから公表していないのか、他の実施機関に与えたご迷惑についてのみ、公表の対象にしているのかは、ホームページ上では不明です。

 いずれも、「3.対応」として、「今回の事象を分析して、事故防止策として確認作業等をさらに徹底していく」と記してありますので、その分析した結果の公表を待ちたいと思います。

 あわせて、これまで、その支給額に誤りがあったと公表されているのは、在職年金の支給停止についてですが、実は、遺族年金の支給停止額の按分についても、年金証書に印字された年金額が計算した金額と合わないという声が聞かれます。複数の実施機関に加入し、按分計算を行い年金額を算出する場合には、誤りがないかどうか、しっかりと確認し、検証していただきたいと望んでいます。

 お互い、年金相談に携わるものとして、十分に注意していかなければならない事項だと認識しています。

 さて、今月は、年金相談に関連して、質問を受けることのある退職後に加入する医療保険について情報を提供します。実は地方公務員共済組合の任意継続組合員制度が"激変"しています。

 また、先月号・先々月号で報告した、地方公務員共済組合の新しい3階部分である退職等年金給付の「基準利率」「終身年金現価率」「有期年金現価率」の平成28年10月から適用される新数値が公表されていますので、あわせてご報告します。

共済組合の任意継続、標準報酬月額の3割落とし廃止へ!
平均標準報酬月額は、組合により、44万円または41万円など
〜共済組合により、平成28年7月または平成29年4月より実施〜

(1)共済組合の任継制度、大幅に変更!

 共済組合の医療保険である、退職後の任意継続組合員制度が大幅に変更になります。いや、なりました。

 知事部局の職員が加入している地方職員共済組合や市町村の職員が加入している全国の市町村職員組合では、平成28年7月からすでに実施されています。

 公立学校の教職員等が加入する公立学校共済組合は、平成29年4月から実施される予定ということです。

 定年退職する地方公務員にとっては大きな変革であり、退職後に加入する医療保険の保険料が大幅に増額になりますので、年金相談の際には、頭の中にインプットしておきたい情報です。

(2)共済組合の任継では、退職時に、標準報酬月額の「3割落とし」を行う!

 いままで、共済組合の任意継続組合員については、組合員期間が15年以上あり、かつ、55歳以上で、はじめて退職している場合については、退職時の標準報酬月額を「3割落とし」(一部の共済組合では2割落とし)する特例が設けられていました(【図表Ⅰ】任意継続組合員の標準報酬月額 参照)。

 ①②③を比べ、一番低い標準報酬月額を、その任意継続組合員の標準報酬月額としていました。

【図表Ⅰ】任意継続組合員の標準報酬月額

① 退職時の標準報酬月額

② その共済組合の全組合員の平均標準報酬月額

③ 特例による標準報酬月額(共済組合により①の3割落としまたは2割落とし)

 たとえば、平成28年3月31日に定年退職し、標準報酬月額が50万円だった組合員の場合、50万円×0.7=35万円、これを標準報酬月額の等級表に当てはめ、36万円の標準報酬月額で、退職後も、任意で共済組合の医療保険に、最長2年間加入できるという特例制度です。もちろん、短期給付の掛金(医療保険料・介護保険料)は、任意継続組合員本人が全額負担します。
 各共済組合によって、平均標準報酬月額や任意継続掛金率は異なりますので、A共済組合とB共済組合の事例を【図表Ⅱ】に記します。
 【図表Ⅱ】各共済組合等の平均標準報酬月額と医療保険料(介護分を含む)をご覧ください。

【図表Ⅱ】各共済組合等の平均標準報酬月額と医療保険料(介護分を含む)ー平成28年4月現在ー

図表② 各共済組合等の平均標準報酬月額と医療保険料(介護分を含む)ー平成28年4月現在ー

 もし、この標準報酬月額が50万円で定年退職した共済組合員が、B共済組合に属していたとしますと、

 ① 50万円  ② 41万円(平均標準報酬月額)  ③ 36万円(退職時50万円の3割落とし)

  の3つを比較し、一番低い標準報酬月額である36万円が、その組合員の任意継続組合員としての標準報酬月額になります。

 市役所に勤務していて、平成28年3月31日に定年退職した組合員は、この特例措置による軽減措置を受けることができましたが、来年3月に定年退職する市職員は、たとえば、定年退職時の標準報酬月額が50万円とすると、③が廃止されるため、②の平均標準報酬月額が任意継続組合員としての標準報酬月額になるということになります。

 仮に、41万円の平均標準報酬月額で、任意継続組合員の掛金率が同じだと仮定して掛金(保険料)の金額を算出すると、

  410,000円×100.96/1,000×12月=41,393円(円未満切捨)×12月=496,716円(年額)

 B共済組合の場合だと、年額約50万円となります。

(3)

国保と比較して、単純に任継のほうが安いといえるのか?
平成30年4月には、国民健康保険の都道府県単位化も予定!

 いままでは、一般的に、退職した1年目は、任意継続組合員を選択したほうが、3割の割落としもあるので、医療保険料(介護分を含む)は、市町村の国民健康保険税(料)よりも、任継のほうが安いと言われてきました(国民健康保険と比較した詳細な計算式は、長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(日本法令)308頁〜315頁。)。

 しかしながら、任継の掛金(保険料)が年額50万円近くになってくると、自治体の国民健康保険によっては、微妙になっていきます。

 平均標準報酬月額が44万円の共済組合だとどうなるのか、また、任継の掛金率はどうなるのか、などの情報の収集確認も必要です。

 それから、平成30年4月には、市町村単位であった国民健康保険が、広域化され、都道府県単位になります。

 行政に携わっていたものの反省のひとつとして、後期高齢者医療制度を導入した際の混乱の要因として、国民健康保険税よりも後期高齢者医療保険料のほうが、保険料が高く設定されていた自治体があったということがあります。75歳以上の高齢者が加入するのに、なぜ、従来の国民健康保険税よりも高くなるのか、批判の声は強くなりました(その後、さまざまな軽減措置が図られる)。

 国民健康保険の都道府県単位の広域化をスムーズに移行させるためには、保険税を上げない、場合によっては下げる、ということも考えられなくはありません。

 そういった意味で、共済組合の任意継続組合員制度の大幅見直しと国民健康保険の都道府県化の動向は、目が離せないと筆者は認識しています。

(4)

共済組合の医療保険も、民間レベルに統一! 県庁や市役所に勤務していても、短時間勤務(週30時間等)の再任用なら、年金請求書は日本年金機構から送付!

 昨年の10月には、被用者年金制度一元化の名のもと、共済年金は厚生年金保険に統一されました。

 そして、今年の7月には、地方職員共済組合や市町村職員共済組合などの共済組合で、民間の事業所で加入する健康保険制度には、3割落としの制度がないということから、この特例措置制度が廃止になりました。公立学校共済組合でも、来年の4月1日以後に退職する教職員等からは廃止になります(平成29年3月31日の退職は特例措置が適用されます)。

 公務員と民間の垣根はドンドンなくなっていっています。年金相談の場においても、公務員が年金事務所や金融機関に足を運ぶことが多くなると見込まれます。

 来年3月に定年退職する地方公務員というのは、昭和31年4月2日生まれ〜昭和32年4月1日生まれで、年金の支給開始年齢は62歳からです。再任用を希望する人も多くなってきており、週の所定労働時間が30時間等の短時間勤務の再任用を選択すると、第1号厚生年金被保険者ということになります。ということは、市役所や県庁に勤めているといっても、年金請求書(ターンアラウンド)は日本年金機構から送付されるということになります。

 公務員が年金相談にみえたときに、共済組合の制度に関する情報が求められるゆえんです。

 本稿は関根先生の本を参考に執筆しました。深く感謝し、厚く御礼を申し上げます。

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