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年金広報タイトル

︱2016.7.15 7月号 (通巻685号) Vol.40

掲載:2016年7月15日
年金講座

地方公務員共済組合の、新3階部分・退職等年金給付の給付算定基礎額残高通知書はこんなイメージです

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

浦和大学総合福祉学部客員教授。志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員を歴任する。社会保険労務士の資格も有する。2007年4月から1年間、明治大学経営学部特別招聘教授に就任。2014年4月より、現職。主な著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(2015年、日本法令)

 東京都職員共済組合で在職年金の支給停止額に誤りがあったことが公表されました(平成28年6月7日)。

 「東京都職員共済組合から日本年金機構に対し、年金受給者の方の情報の提供もれがあり、日本年金機構が支給する年金について、在職老齢年金支給停止額の計算に誤りが生じていた」ということです。影響した受給者数および金額は、未払いが56人で総額759,063円、過払いが71人で総額419,415円とのことです。

 年金相談に携わるものとして、十分に注意していきたいと思います。

 さて、今月は、先月報告した、地方公務員共済組合の新しい3階部分である退職等年金給付の「給付算定基礎額残高通知書」について、6月から順次、送付されてきている、とのことですので、そのサンプルをご紹介するとともに、その見方を簡単にご説明します。

 金融機関の年金相談の窓口に、お客様が「こんなものが共済組合から届いた」ともってこられても、一度みておけば、冷静に対応することができると思います。

 なお、退職等年金給付の請求は、ワンストップサービスの対象外ですので、手続きについては、各共済組合をご案内ください。年金事務所では対応できません。

 あわせて、年金額(終身退職年金等)は少額ですが、地方公務員共済組合においては、老齢厚生年金や退職共済年金と別口座に振り込むことが可能となっています。

共済組合の新3階部分である「給付算定基礎額残高通知書」のサンプル表示 〜6月に圧着ハガキで郵送される〜

(1)共済組合の新3階部分である退職等年金給付に関するご相談

【年金次郎さんの相談事例】

  • 昭和30年7月22日生まれの男性。
  • 大学卒業後、市役所に勤める。
  • 平成27年7月21日に60歳となり、平成28年3月31日定年退職。
  • 再任用は希望しなかった。

  • 平成28年7月21日に61歳となる。特別支給の老齢厚生年金および経過的職域加算額(退職共済年金)の受給権発生は、62歳(平成29年7月21日)の時点となる。
  • 退職等年金給付の請求は、原則として、65歳(平成32年7月21日)からとなる。
 

■ 平成28年6月下旬に退職等年金給付の圧着ハガキが郵送される。

■ 退職等年金給付の圧着ハガキの見方がわからない、仮に、繰上げ受給したらいくらぐらいもらえるのか、概算でいいから試算してほしい、というご相談です。

(2)共済組合から新3階部分である退職等年金給付の圧着ハガキが届く

 年金次郞さんのところに届いた圧着ハガキをみせてもらいました。

 圧着ハガキを見開いた、まん中が図表①、一番右が図表②となります。一番左は郵送される宛名書きの部分ですので、ここでは掲載していません。

 今回、送付された「給付算定基礎額残高通知書」では、平成28年3月までに積み立てられた給付算定基礎額等の情報が記されています。

 送付対象者になっている人は、先月号で述べたとおり、現役の組合員については毎年1回、組合員であった人(平成 27 年10 月以後の組合員期間がある場合)については、退職および節目年齢(35歳・45歳・59歳・63 歳)の翌年度に送付されるとのことです。

 年金次郎さんの場合、平成28年3月31日に退職しましたので、翌年度である平成28年度の6月に送付されてきたものと思います。

 <詳しくは、【年金講座】平成28年6月号をご参照ください>

 -(4)組合員には毎年通知、組合員だった人には、退職時・35歳時・45歳時・59歳時・63歳時に通知-

 ▶ http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/vol39/pro-lecture/pro-lecture-01.html

【図表①】 【給付算定基礎額残高通知書】

図表① 給付算定基礎額残高通知書

【図表②】 【退職等年金給付に係る算定基礎額残高通知書について】

図表② 退職等年金給付に係る算定基礎額残高通知書について

(3)【給付算定基礎額残高通知書】に記載されている各項目の見方

 【図表①】の【給付算定基礎額残高通知書】をもとに、【図表③】で【給付算定基礎額残高通知書】に記載されている各項目の見方を記しました。

 横に置いて対比させながら、ご覧いただくとわかりやすいかと思います。

【図表③】 【給付算定基礎額残高通知書】に記載されている各項目の見方

【給付算定基礎額残高通知書】に記載されている各項目の見方

① 標準報酬月額

 平成27年10月から地方公務員共済組合の組合員に導入された標準報酬の月額(原則として、地方公務員の場合、9月から翌年8月までは変わりません)。厚生年金保険の保険料(平成28年8月までは、本人負担分86.39/1000)はもとより、退職等年金給付の掛金(7.5/1000)・付与額の基礎となる。

 12月に受けた期末手当等の額は標準報酬月額と合算して表示される(6月の期末手当等も同様)。

 事例は、毎月の標準報酬月額が53万円であり、12月に支給された期末勤勉手当の金額は、106万円の例である。合算して表示され、159万円となっている。

② 付与額

 標準報酬月額に付与率1.5%を乗じて得た額。

 事例の10月分の付与額は、530,000円×1.5/100=7,950円により算定。

 12月分の付与額は、(530,000円+1,060,000円)×1.5/100=23,850円により算定。

③ 利息

 前月末の給付算定基礎額残高と当月の付与額に基準利率(年率0.48%を1ヶ月単位に換算した率)を乗じて得た当月の利息です。

 あくまでも、概算で計算しますと(以下同じ)、
 事例の10月分の利息3円は、7,950円×0.0048×1/12≒3円により算定。

 1月分の利息19円は、(39,774円+7,950円)×0.0048×1/12≒19円により算定。

④ 給付算定基礎額残高

 前月の給付算定基礎額残高ならびに当月の付与額および利息の合計額。

 退職等年金給付の年金額の算定の基礎となる。

 事例の3月分の給付算定基礎額残高63,690円は、前月・2月の給付算定基礎額残高55,715円ならびに当月・3月の付与額7,950円および利息25円の合計額である。

 55,715円+7,950円+25円=63,690円により算定。

⑤ 前回通知

 前回お知らせした金額。  

 今回、はじめて通知したので、空欄となっている。  

⑥ 付与額累計

 各月の付与額を累計した金額。

 7,950円×5+23,850円=63,600円により算定。

⑦ 利息額

 各月の利息を累計した金額。

 3円+6円+15円+19円+22円+25円=90円により算定。

⑧ 今回通知

 前年度末における付与額と利息を累計した金額。

 平成27年度末における付与額と利息を累計した金額は、63,690円。

⑨ 給付算定基礎額等合計

 今回お知らせした給付算定基礎額残高。

⑩ 年金払い退職給付加入期間

 平成27年10月以降の組合員期間の年月数。

 平成27年10月から平成28年3月までの「0年6月」。

⑪ 付与率

 付与額を算定するために標準報酬月額・標準期末手当等に乗じる率。

 付与率は、現在、退職等年金給付の保険料率と同じ1.5/100。つまり、1.5%。おおむね5年ごとに行われる財政再計算の際に、率の見直しが行われる。

⑫ 基準利率

 利息を求めるための年率。

 基準利率は、現在(平成27年10月から平成28年9月まで)、0.48%。

 10年国債利回りを基礎として、毎年10月に見直しする。下限は0%。平成28年10月から平成29年9月までの期間は、現在の0.48%よりも基準利率は下がる見通し。

 <有期退職年金算定基礎額と終身退職年金算定基礎額は、今回は空欄です>

【出典】全国市町村職員共済組合連合会・地方職員共済組合等のHPを参考に、筆者が一部加工して作成する。ピンク字は筆者の解説である。

(4)給付算定基礎額63,690円を繰り上げて受給した場合どうなるのか?

 年金次郞さんの場合、繰上げて受給すると、概算で計算すると、退職等年金給付は次のようになります。なお、算定の過程がこのようになるということで、イメージ的に説明していますので、端数処理等については、厳密ではありません。

 あわせて、退職等年金給付の基礎的な情報については、6月号をご一読ください。

【退職等年金給付を繰上受給した場合の算定のイメージ】

(1)平成28年7月21日に61歳になって請求

この場合、給付事由の生じた月が7月ですので、<初回決定時>の年金次郞さんの年齢区分は、前年の3月31日現在の年齢(59歳)に1歳を加算した年齢区分の【終身年金現価率】を適用します。

すなわち、【終身年金現価率表】の「60歳の年齢区分」の【終身年金現価率】『25.482034』を適用します。

(【終身年金現価率表】については、前月号をご参照ください)

(2)いつから受給できるのか?

平成28年7月に請求しますので、給付事由の生じた翌月分からの支給となります。

つまり、平成28年8月分からの受給となります。

なお、年金次郞さんの場合、平成28年9月分までで、平成28年10月分以後は見直しとなります(ただし、そんなに年金額は変わらないものと思われます)。

(3)給付算定基礎額の残高はどう算定するのか?

給付算定基礎額は、給付事由が生じた日の前日の属する月までの期間に応じて計算するということですので、平成28年7月まで基準利率(0.48%)で、複利で計算すると理解されます。

(平成28年4月)63,690円+
(平成28年5月)63,715円+
(平成28年6月)63,740円+
(平成28年7月)63,765円+
63,690円×0.0048×1/12≒63,715円
63,715円×0.0048×1/12≒63,740円
63,740円×0.0048×1/12≒63,765円
63,765円×0.0048×1/12≒63,790円

当月末の給付算定基礎額については、正確には、以下の算式で表されると、筆者は認識しています。

当月末の
給付算定基礎額

前月末の給付算定基礎額×(1+基準利率)1/12
当月の標準報酬月額・標準期末手当等額×付与率×1+基準利率)1/12

しかしながら、計算が複雑になりますので、本稿では、あくまでも、概算で計算しています。

(4)終身退職年金額はどう算定するのか?

終身退職年金算定基礎額は、給付算定基礎額の2分の1となりますので、年金次郞さんの場合は、
63,790円÷2=31,895円となります。

終身退職年金額の<初回決定時>は、次の算定式で表されます。

(長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識 』日本法令刊 269ページ参照)

終身退職年金額

=終身退職年金算定基礎額÷受給権者の年齢区分に応じた終身年金現価率
=31,895円÷25.482034
=1,251.66≒1,300円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

筆者の試算では、年額1,300円支給されるということになります。

支給されるのは、偶数月の15日ですので、1回に振り込まれる金額は、この事例の次郞さんの場合、216円ということになります。

なお、退職等年金給付の支給期間の単位は、その年の9月までとなっています。

平成28年10月から平成29年9月の支給期間には、年金の支給額は見直しされます。

(5)2年目以後の終身退職年金額はどう算定するのか?

終身退職年金額の<10月1日改定>は、次の算定式で表されます。

(長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識 』日本法令刊 269ページ参照)

終身退職年金額

=9月30日における終身退職年金額
×受給権者の年齢区分に応じた終身年金現価率
÷10月1日における受給権者の年齢区分に応じた終身年金現価率

なお、<10月1日改定>における受給権者の年齢区分とは、その年の3月31日現在の年齢に1歳を加算した年齢区分をいいます。

したがって、10月1日に終身年金現価率表の数値が見直しされなければ、分子と分母の終身年金現価率の値が同じになりますので、10月以後も同じ金額の終身退職年金額が支給されることになります。

<年金次郞さんの10月1日改定の場合>

終身退職年金額

=9月30日における終身退職年金額(1,251円)×受給権者の年齢区分(60歳+1歳)に応じた終身年金現価率(24.708706)

÷10月1日における受給権者の年齢区分(60歳+1歳)に応じた 終身年金現価率(24.708706

=1,251≒1,300円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

ただし、平成28年10月1日において、新しい終身年金現価率表が示されれば、それに基づき、下線を引いた終身年金現価率(24.708706が見直しをされ、平成28年10月から平成29年9月まで、新しい終身退職年金額が算定されることになります。

退職等年金給付は、新しく創設された制度であり、まだなじみがありませんが、このように算定していくと筆者は理解しています。

したがって、相談者から説明を求められたときは、制度の概要を説明するとともに、試算を依頼されたときは、ハガキに印字されている給付算定基礎額の金額を基礎に、受給権者の年齢区分の終身年金現価率を適用して、あくまでも、概算による計算ということを前提に、お示しするのがいいのではないか、と考えています。

(6)有期退職年金はどう算定するのか?

有期退職年金算定基礎額は、給付算定基礎額の2分の1となりますので、年金次郞さんの場合は、
63,790円÷2=31,895円となります。

有期退職年金額の<初回決定時>は、次の算定式で表されます。

(長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識 』日本法令刊 269ページ参照)

有期退職年金額=有期退職年金算定基礎額÷支給残月数の区分に応じた有期年金現価率

<原則通り、20年の有期年金>

有期退職年金額

=31,895円÷19.064542
=1,673.00≒1,700円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

10年の有期を選択>

有期退職年金額

=31,895円÷9.760455
=3,267.77≒3,300円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

<一時金を選択>

一時金=31,895円≒31,900円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

なお、注意点があります。

<10年の有期退職年金>または<一時金>の選択を申し出る場合は、給付事由が生じてから、6月以内に退職年金の請求と同時に行うことが必要です。

(7)2年目以後の有期退職年金額はどう算定するのか?

終身退職年金額の<10月1日改定>は、次の算定式で表されます。

(長沼明著『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識 』日本法令刊 269ページ参照)

有期退職年金額

=9月30日における有期退職年金額
×支給残月数の区分に応じた有期年金現価率)
÷10月1日における支給残月数の区分に応じた有期年金現価率

したがって、10月1日に有期年金現価率表の数値が見直しされなければ、分子と分母の有期年金現価率の値が同じになりますので、10月以後も同じ金額の有期退職年金額が支給されることになります。

<年金次郞さんの10月1日改定の場合><原則通り、20年の有期年金で算定>

年金次郞さんの場合、平成28年8月分と9月分の2か月が支給されていますので、平成28年10月1日現在の支給残月数は240ー2=238月になります。

有期退職年金額

=9月30日における有期退職年金額(1,673円)×
 支給残月数(240月-2月=238月)の区分に応じた有期年金現価率(18.913097)
÷10月1日における支給残月数(240月-2月=238月)の区分に応じた
 有期年金現価率(18.913097
=1,673≒1,700円(退職等年金給付100円単位で端数処理します

ただし、平成28年10月1日において、新しい有期年金現価率表が示されれば、それに基づき、下線を引いた有期年金現価率(18.913097が見直しをされ、平成28年10月から平成29年9月まで、新しい有期退職年金額が算定されることになります。

 なお、有期年金現価率の表などについては、『新しい退職等年金給付のしくみ―公務員の旧3階部分と新3階部分―』(年友企画)をご覧ください。

 本稿は執筆にあたり、先月号と同様、関根繁雄先生の『よくわかる国家公務員の医療・年金ガイドブック−平成28年度版−』(一般社団法人 共済組合連盟)を参考とさせていただきました。

(5)

退職等年金給付を繰上げ受給すると、
特別支給の老齢厚生年金・経過的職域加算額(退職共済年金)についても、同時に繰上げしなければいけないのですか?

 退職等年金給付を繰上げ受給したからといって、特別支給の老齢厚生年金や経過的職域加算額(退職共済年金)についても、同時に繰上げしなければいかないということはありません。老齢基礎年金も同時に繰上げしなければならないということはありません。

 ただし、年金次郎さんのように、62歳が特別支給の老齢厚生年金の支給開始の年齢の人が、61歳で特別支給の老齢厚生年金を繰上げ受給をすれば、経過的職域加算額(退職共済年金)についても、老齢基礎年金についても、同時に繰上げなければなりません。

 ところで、共済年金の旧3階部分と新しい3階部分については、年友企画株式会社から刊行された『新しい退職等年金給付のしくみ―公務員の旧3階部分と新3階部分』が一番平易でわかりやすく読めると思います。

 なお、お問い合わせは、直接、年友企画株式会社(http://www.nen-yu.co.jp/)までご連絡ください。

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