HOME ≫ 年金広報 ≫ 実務担当者のための年金講座 ≫ ③ 障がい者特例の激変緩和措置について 〜障がい者特例にも激変緩和措置の適用はありますか〜
年金広報タイトル

︱2015.12.15 12月号 (通巻678号) Vol.33

掲載:2015年12月15日
年金講座

皆様の疑問に回答!
退職共済年金における障がい者特例は?

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

浦和大学総合福祉学部客員教授。志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員を歴任する。社会保険労務士の資格も有する。2007年4月から1年間、明治大学経営学部特別招聘教授に就任。2014年4月より、現職。主な著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(2015年、日本法令)

 12月15日(火)は、一元化後の年金、10月分と11月分が支給されます。
 在職年金の支給停止など、厚生年金と共済年金を受給している人の激変緩和措置などが制度設計したとおりの年金額が振り込まれ、大きなトラブルが発生することなくこの日を迎えられるのかどうか、実施機関の関係者はここを確認しないと安堵できないと思います。
 今月は、読者のみなさんからいただいた質問から、筆者のほうで回答が用意できたものについて記します。引き続き、みなさんの疑問、質問をお寄せいただければと存じます(質問につきましては、ホームページ右上の「お問い合わせ」をご利用ください )。質問はなるべく具体的に記述していただき、法律上の解釈についてのお問い合わせは、ご遠慮ください。
 回答はすべてホームページ上からとさせていただきます。なお、すべての質問に回答することはできませんが、紙面づくりの参考にさせていただきます。

障がい者特例の激変緩和措置について
〜障がい者特例にも激変緩和措置の適用はありますか〜

(1)障がい者特例の激変緩和措置について

 一元化法施行前に、障がい者特例に該当している特別支給の退職共済年金の受給権者で、施行前から引き続き厚生年金保険の被保険者である場合の、政令の適用ですが、この政令の解釈も難解です。
 筆者は、定額部分は支給され(加給年金額が支給されている場合には、加給年金額も支給)、厚生年金相当部分(厚生年金の報酬比例部分)のみが在職年金の支給停止対象になると解釈しています。
 なお、一元化後ですので、支給停止ラインは高在老の47万円から低在老の28万円になります。
 具体的な事例で見ていきましょう。【事例2】をご覧ください。

(2)障がい者特例の激変緩和措置の具体的な事例について

ケーススタディ

昭和28年5月10日生まれ。男性。
厚生年金(一般厚年)に30年、その後、私学事業団に2年加入したときに、平成26年5月9日に61歳で受給権発生。
引き続き、私学共済に加入している。障がい者特例を請求。障がい等級3級に該当。62歳のときに、一元化を迎える。

【年金データ】

  • 厚生年金
    障がい者特例に該当する(厚生年金保険の被保険者ではない)ので、報酬比例部分・定額部分・配偶者加給年金額(一定の要件を満たす配偶者あり)が支給。
    報酬比例部分/月額6万4千円、定額部分/月額5万円、加給年金額/月額32,508円
  • 共済年金
    在職中(私学に加入中)なので、障がい者特例は該当せず、厚生年金相当部分のみ支給。
    厚生年金相当部分/月額3,300円。職域年金相当部分/月額330円。
  • 総報酬月額相当額
    30万円(私学事業団に加入)

 一元化前と一元化後の支給停止額(激変緩和措置の適用)について、筆者は次のようになると認識しています。
 なお、激変緩和措置の適用要件および算定式の詳細については、『年金広報』9月号をご参照ください。

【一元化前】

  • 厚生年金: 私学事業団(共済)に加入しているので、支給停止なし。 全額支給される。
  • 共済年金:(300,000円+3,300円−280,000円)÷2=11,650円 > 3,300円 全額支給停止
  • 一元化前の支給停止額:0+3,300円=3,300円

【一元化後】

本来の支給停止額 {(300,000円+(64,000円+3,300円)−280,000円}÷2=43,650円

(1)上限1割

{(300,000円+(64,000円+3,300円)−3,300円}×1/10+3,300円=39,700円

(2)35万円保障

{(300,000円+(64,000円+3,300円)−3,300円−350,000円}+3,300円=17,300円

(3)本来の支給停止額(原則)

{(300,000円+(64,000円+3,300円)−280,000円}÷2=43,650円

(1)(2)(3)を比較し、一番少ない支給停止額(2)35万円保障が適用される。
17,300円が一元化後の支給停止額となる。
一元化前の支給停止額が3,300円だったので、支給停止額は14,000円増額したことになります。

[厚生年金の支給停止額]

17,300円×(64,000円/67,300円)=16,452円(円未満は四捨五入して処理した。
実際は年額単位で行うので端数処理は正確ではありません。以下同じ。)

[共済年金(私学事業団)の支給停止額]

17,300円×(3,300円/67,300円)=848円

[日本年金機構から支給される厚生年金(月額単位)]

「64,000円−16,452円」(報酬比例部分)+50,000円(定額部分)+32,508円(加給年金額)
 =130,056円(月額)

[私学事業団から支給される共済年金(月額単位)]

「3,300円−848円」(厚生年金相当部分)=2,452円
なお、職域年金相当部分(330円)は在職中(私学事業団に加入中)のため、全額支給停止となる。
職域年金相当部分の取り扱いは政令により、一元化前と変わりません。

 一元化前の支給総額は、合計146,508円支給されていました。

  • 厚生年金146,508円(報酬比例部分64,000円+定額部分50,000円+加給年金額32,508円)。
  • 共済年金0円(厚生年金相当部分3,300円は全額支給停止、職域年金相当部分330円も自制度加入のため全額支給停止)。

 しかし、一元化後の支給総額は、合計132,508円支給されることになります。

  • 厚生年金130,056円(報酬比例部分47,548円+定額部分50,000円+加給年金額32,508円)。
  • 共済年金2,452円(厚生年金相当部分3,300円は一部支給停止、職域年金相当部分330円は自制度加入のため全額支給停止)。

 つまり、一元化前と比べて、月額14,000円支給額は減少することになりますが、それでも本来の在職による停止額より支給停止される年金額が少なくて済んでおり、激変緩和措置によるところが大きいと判断します。
 
 ご質問に対する回答として、十分ではないかもしれませんが、以上のようにお答えさせていただきます。
 来月もみなさまからの質問や疑問を取り上げ回答させていただきます。

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