HOME ≫ 年金広報 ≫ 実務担当者のための年金講座 ≫ ③ 一元化後の経過的寡婦加算の金額は1円単位 〜経過的寡婦加算の算出方法〜
年金広報タイトル

︱2015.10.15 10月号 (通巻676号) Vol.31

掲載:2015年10月15日
年金講座

一元化施行!! 振替加算と経過的寡婦加算は1円単位に! 一元化前に加算されていた加給年金額は?

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員も歴任し、社会保険労務士の資格を有する。2007年に明治大学経営学部特別招聘教授に就任後、現職。主な著書・論文に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『被用者年金制度一元化の概要と制度的差異の解消について』(「浦和論叢」2015年2月号第52号 浦和大学・浦和大学短期大学部)

 一元化の施行日を迎え、年金事務所などでは新様式の書類の入れ替えなど事務作業がたいへんだったようです。
 さて、平成27年9月25日(金)、定例閣議で、一元化に関連する政令として、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備に関する政令」など7本が決定されました。
 厚生労働省では、9月25日に決定された今回の一元化に関係する政令を9月30日以後、順次PDFで公開しています。
 そのうちのひとつ「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備に関する政令−新旧対照表目次−」のPDFデータは、なんと1,000ページもありました。
 見るのもたいへんですが、ダウンロードするのもたいへんです。そして読み込むのは、なおたいへんです。
 しかし、一度は、アクセスしてみることをおすすめします。

一元化後の経過的寡婦加算の金額は1円単位 〜経過的寡婦加算の算出方法〜

(1)中高齢寡婦加算は、100円単位

 中高齢寡婦加算は、厚生年金保険法第62条に規定されています。
 遺族基礎年金の額の4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする。)とされています。
 条文の中に、100円単位にするという規定があるのです。

780,100円×3/4=585,075円

 したがって、100円未満を端数処理し、100円単位にし、平成27年度の金額は585,100円になっているのです。
 ここの条文の規定は、一元化後も変わっていませんので、加給年金額の金額は、100円単位ということになります。

(2)経過的寡婦加算は、1円単位? 100円単位?

 経過的寡婦加算は、一元化後の厚生年金保険法附則(昭60年)第73条第1項に規定されています。附則別表第9には、妻の生年月日に応じて、異なる乗率が定められています。
 経過的寡婦加算の金額は、昭和61年4月1日から60歳になるまで国民年金に加入した妻が、この経過的寡婦加算と妻自身の老齢基礎年金を合わせると、中高齢寡婦加算と同額の585,100円となるように制度設計されています。
 したがって、昭和61年4月1日の時点で30歳であった昭和31年4月2日以後生まれの女性は、60歳になるまで30年間国民年金に加入することができ、780,100円×30/40=585,100円(端数処理後の金額)の年金額、すなわち中高齢寡婦加算と同額の585,100円を受給できるので、経過的寡婦加算は加算されません。

 経過的寡婦加算の算定式は、次のようになります。
 <中高齢寡婦加算の額−老齢基礎年金の満額×妻の生年月日に応じた乗率>で、乗率は、【表2】を参照してください。
【事例】で実際に算定してみましょう。

事例

中高齢寡婦加算が加算されている昭和25年11月10日生まれの女性(平成27年11月9日に65歳)

経過的寡婦加算
=585,100円−780,100円×288/480
=585,100円−468,060円
=117,040円

 経過的寡婦加算を規定したこの条文には、条文の中に端数処理の規定がありません。そのため、一元化後の厚生年金保険法第35条第1項の条文が適用され、1円未満で端数処理がされ、117,040円となります。
 参考までに一元化後の条文を示しておきましょう。
 なお、一元化前については、100円未満で端数処理がされていたため、昭和25年4月2日から昭和25年10月1日生まれの人が一元化前に65歳になり、経過的寡婦加算の受給権が発生した場合には、117,000円の経過的寡婦加算の額になっていました。

一元化後の厚生年金保険法第35条第1項
 保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合において、保険給付の額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする。

それでは、一元化後の経過的寡婦加算の額を一挙掲載しましょう(【表2】参照)。これを契機に、経過的寡婦加算の制度設計についてや算定の過程についても理解を深めましょう。

【表2】一元化後の経過的寡婦加算の年金額

表2 一元化後の経過的寡婦加算の年金額

(3)年金給付額、1円単位と100円単位を整理しよう

 条文の中で、特定の金額が定められている死亡一時金の額(国民年金法第52条の4)など、あるいは、条文の中で、100円未満で端数処理をして100円単位にするという規定がなければ、厚生年金も国民年金も、1円未満で端数処理をし、年金給付額は1円単位になります(一元化後の厚生年金保険法第35条第1項、一元化後の国民年金法第17条第1項)。
 図にまとめました。

一元化後の年金給付額

 一元化後においては、老齢基礎年金の満額は100円単位で変わりません(国民年金法第27条、一元化後も変わっていません)が、納付済月数等に応じた老齢基礎年金の年金額は1円単位になります(一元化後の国民年金法第17条)。また、加給年金額や中高齢寡婦加算も100円単位の年金給付額に変わりありません。しかしながら、振替加算や経過的寡婦加算については、これまで述べた理由により、一元化後は1円単位の年金給付額となります。

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