ついに、10月1日の一元化の施行日を迎えます。
連休明けの9月24日より、一元化に伴うシステムの移行が完了し、新システムが稼働する予定となっています。
政省令は、9月15日の時点では、まだ公布されていませんが、大きなトラブルが起きることなく、一元化の施行日を迎えたいと願っています。そのためには、事前の準備が大切です。
今月は、一元化の日をまたぐ在職年金の支給停止の激変緩和の計算方法と新たな年金コードなど、実務に資する年金情報を提供します。
微妙な時期での情報提供となりますが、9月30日に退職される人は、老齢厚生年金の在職支給停止は、平成27年9月分までとなり、また、平成27年10月分から退職改定後の年金額となる予定です(政省令で規定される見込み)。
一元化前の在職老齢年金・在職共済年金の支給停止について
〜在職老齢年金と在職共済年金の制度的差異を理解〜
一元化前の在職支給停止について 〜共済年金〜
【図1】地方公務員の退職共済年金の名称 〜昭和29年5月10日生まれの地方公務員の場合〜
地方公務員が、60歳の定年後再任用※で、フルタイムで勤務した場合、地方公務員共済組合の組合員になります。共済年金を受給できるようになると、在職共済年金は、年齢にかかわらず、いわゆる低在老(65歳未満の厚生年金保険の被保険者に適用される在職老齢年金の算定式)が適用になります。支給停止の対象となるのは、厚生年金相当部分です(【図1】参照)。厚生年金相当部分を12で除して得た額を基本月額といいますが、これは基本的に、厚生年金と変わりありません。
職域年金相当部分は、給料の多寡にかかわらず、在職中(共済組合の組合員期間中)は支給停止となります。
一方、定年後、短時間勤務の再任用(再任用であっても、勤務時間により、厚生年金保険の被保険者となる)や民間企業に再就職し、厚生年金保険の被保険者になったとします。
在職共済年金の支給停止は、65歳未満であっても、65歳以上であっても、いわゆる高在老(65歳以上の厚生年金保険の被保険者に適用される在職老齢年金の算定式)が適用されます。
職域年金相当部分は、厚生年金保険の被保険者等になった場合は、厚生年金相当部分が全額支給停止になったとしても、全額支給されます。職域年金相当部分の支給に関しては、一元化後も変わらない予定です(政令で規定する予定)。
なお、一元化後は、共済年金は厚生年金となりますので、一元化前の在職老齢年金が適用になります。これをまとめると、【表1】のようになります。
【表1】一元化前と一元化後の在職共済年金の支給停止
一元化前の在職支給停止について 〜厚生年金〜
厚生年金の受給者の在職老齢年金については、あらためて述べるまでもなく、65歳未満が低在老であり、65歳以上が高在老での支給停止となります。
一方、厚生年金を受給している人が、私立学校などで勤務し、私学事業団の加入者となっている場合、一元化前では、支給停止の対象とはなっていません。しかし、一元化後は支給停止の対象となります。これをまとめたのが、【表2】です。
あわせて、一元化後は、地方議会議員等(市議会議員・区議会議員、県議会議員等、町村議会議員等)の現職である場合、厚生年金を受給すると、厚生年金は支給停止の対象となります。なお、共済年金は、すでに一元化前でも、地方議会議員等(市議会議員・区議会議員、県議会議員等、町村議会議員等)になっていると、支給停止の対象となっています(高在老が適用)。
あまり事例があるとは認識していませんが、厚生年金を受給している人が、共済組合の組合員となっている場合も支給停止とはなりません(【表2】参照)。
【表2】一元化前と一元化後の在職老齢年金の支給停止
※地方公務員の再任用制度や地方公務員の共済年金の基礎知識については、拙著『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(年友企画刊)をご参照ください。
▶http://www.nen-yu.co.jp/new_book/index.html#nb201205なお、【地方公務員の再任用制度と加入する年金制度】や【被用者年金制度の一元化で、ココが変わる−チェックポイント】については、拙著『被用者年金一元化ガイドシート』(社会保険研究所刊)にコンパクトにまとめられており、年金相談会にも持参して活用できる年金相談グッズとなっています。
▶https://www.shaho.co.jp/shaho/shop/detail.php?Bc=33700