国民年金の被保険者(第1号~第3号)であるみなさんには、年金手帳が交付されています。

この年金手帳が、2022年4月1日から新規発行は廃止され、「基礎年金番号通知書」に切り替えられます。なぜ廃止されるのか、新たな通知書とはどのようなものなのかについて解説します。

1手帳という形式である必要性はなくなっている

被保険者である証明として交付

 年金手帳の歴史を見てみましょう。
 1954(昭和29)年5月以降の年金手帳の変遷は、図表1のようになります。

【図表1】年金手帳の変遷

【図表1】年金手帳の変遷

(1)厚生年金保険被保険者証

 1954(昭和29)年5月~1974(昭和49)年10月に厚生年金保険に加入した人に発行
 白っぽい紙に緑色の模様が印刷されたカード型の被保険者証で、20年余にわたって交付されていました。

(2)茶色の手帳(※色は数種類あり)

 1960(昭和35)年10月~1974(昭和49)年10月に国民年金に加入した人に発行
 1960(昭和35)年に、自営業者などを対象とした「国民年金」が創設され、国民年金の被保険者証として「国民年金手帳」が交付されることになりました。手帳の色はおおむね5年ごとに更新されており、茶色以外にも、水色、エビ色、薄橙色など数種類あります。
 この手帳には、国民年金保険料を納めたことを示すための国民年金印紙検認台紙が付いていました。この台紙には、5年分の印紙が添付できましたので、5年ごとに手帳を更新していました。

(3)オレンジ色の手帳

 1974(昭和49)年11月~1996(平成8)年12月までに国民年金または厚生年金保険に加入した人に発行

 1974(昭和49)年に国民年金と厚生年金保険などの被保険者証の共通化が図られ、オレンジ色の「年金手帳」に統一されました。これまでの間、厚生年金の被保険者には、(1)の厚生年金被保険者証が交付されているのみでした。

(4)青色の手帳

 1997(平成9)年1月以降に国民年金または厚生年金保険に加入した人に発行
 1997(平成9)年1月から「基礎年金番号」が導入されたことに伴い、新しい年金手帳(青色の表紙)となりました。

 2010(平成22)年1月に日本年金機構が発足してから発行者が「日本年金機構」となりましたが、それより前に発行されたものは、発行者が「社会保険庁」となっています。

なぜ廃止されるのか

 年金手帳は、従来、①保険料納付の領収の証明②基礎年金番号の本人通知という機能を果たしてきました。しかしながら、被保険者情報が既にシステムで管理がなされていることや個人番号(マイナンバー)の導入によって、手帳という形式で果たす必要性がなくなっているのです。

 また、かつては多くの手続きにおいて年金手帳の添付が求められていましたが、現在は、行政手続きの簡素化や利便性向上を推進する観点から、「基礎年金番号を明らかにする書類」をもって手続きが可能となっています。さらに、給与事務で個人番号を確認等している事業者等で、個人番号の記載をして届出をした場合は、基礎年金番号を明らかにする書類の提出も不要とされています。

 こうした環境の変化を踏まえ、事業者の業務の簡素化および効率化などを目的として、手帳という形式やその役割を見直すこととなり、2020(令和2)年6月に関連法案が成立し、2022(令和4)年4月から年金手帳が廃止されることになりました。

point

●年金手帳は、2022年4月に廃止され、新規発行されなくなる

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