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年金・社会保険
掲載:2019年11月15日

“目で見る”年金講座【第14回】
年金の時効とは(もらい忘れの年金はどうなる?)

前回(第13回)の記事で、障害年金は「もらい忘れ」が多いということについて解説したところ、「では、もらい忘れた年金はどうなるのか?」という質問をいただきました。障害年金に限らず、どんな年金も自分で請求しないともらえませんので、もらい忘れは往々にして生じる問題です。今回は、「保険料を納めないとどうなるのか」と併せて、「年金の時効」について解説します。

年金給付の時効は5年

もらい忘れの年金は過去5年分までしかもらえない

 年金の時効には、年金の給付を受ける権利についての時効と、保険料の納付の期限(徴収される期限)についての時効の、2つがあります。
 まず、給付を受ける権利についての時効を見てみましょう。図表1に整理しました。

【図表1】年金給付の時効と実際の運用

 図表1の根拠や背景などを順を追って解説すると、「基本権」とか「支分権」、あるいは「時効の援用」とか「年金時効特例法」など、聞き慣れない言葉が出てきて、かえってわかりにくくなるかもしれませんので割愛します。図表1の内容を押さえたうえで、次のことを理解していただければと思います。

・年金を受ける権利(受給権)には5年という時効があるので、受給権が発生したら忘れずに請求する

・請求を5年以上しないでいても受給権が無くなることは事実上ないのであきらめない(請求以後の年金をもらうことができる)

・もらい忘れ(請求漏れ)の年金は、過去5年分はもらうことができる

・年金記録に誤りがあって増額訂正された場合は、5年より前の分も全額支給される

 なお、年金制度の中には、年金ではなく一時金で支給される「死亡一時金」や「脱退一時金」がありますが、これらの時効は5年ではなく2年とされています。

年金制度に対する誤解によるもらい忘れが多い

 もらい忘れ(請求漏れ)の年金を遡ってもらえるのは過去5年分までということを、事例で見てみましょう。

【事例①】

受給資格期間の勘違いで老齢基礎年金を請求しなかったAさん

Aさんは今年67歳。会社勤めの経験はなく、20歳から60歳になるまでの間で国民年金の保険料を20年分納めています。老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしているので、65歳から老齢基礎年金を受給できるはずですが…。
実はAさん、受給資格期間は25年だと勘違いして、自分には受給権がないと思い込んで65歳になっても請求していませんでした。

(※受給資格期間は、2017年8月1日より25年から10年に短縮されました。)

●年金をもらい忘れた期間

 Aさんが65歳から67歳になるまでの2年間 ⇒ 時効前なので2年分がもらえる

●もらえる年金額(※説明をわかりやすくするため、2019年度価格を用いて例示しています)

※Aさんが70歳で請求した場合は65歳からの5年分をもらえるが、71歳で請求した場合は65歳からの1年分は時効によりもらえない。

【事例②】

特別支給の老齢厚生年金を繰上げ支給と勘違いして請求しなかったBさん

Bさんは今年68歳。60歳で定年退職しました。1951年生まれのBさんは、60歳から65歳になるまで特別支給の老齢厚生年金として「報酬比例部分の老齢厚生年金」を受給できるのですが(Bさんの場合は年額840,000円とします)、Bさんは年金の支給は65歳からだと思い込み、60歳からの年金を受け取ると本来の年金が減額されてしまうと勘違いし、請求しませんでした。
特別支給の老齢厚生年金と65歳からの老齢厚生年金は別の物で、特別支給の老齢厚生年金を受け取っても「繰上げ受給」となるわけではなく、65歳からの老齢厚生年金が減額されることはありません。

●年金をもらい忘れた期間

 Bさんが60歳から65歳になるまでの5年間
 ⇒ 5年以上前の60歳から63歳になるまでの3年分は時効により消滅
 ⇒ 63歳から65歳になるまでの2年分がもらえる

●もらえる年金額(※説明をわかりやすくするため、年金額の改定は無視しています)

 840,000円(Bさんの報酬比例部分の老齢厚生年金の年額)×2年分
 =1,680,000円がもらえる

※時効により消滅した3年分はもらえない。

※特別支給の老齢厚生年金については、第9回『65歳になる前にもらえる老齢厚生年金って?』を参照してください。

※繰上げ受給については、ねんきんABC「年金はいつからもらえるの?」や、ねんきんAtoZ「全部繰上げ受給、一部繰上げ受給はどのような仕組みになっていますか?」などを参照してください。

【事例③】

国民年金加入前の障害でも障害年金がもらえるとは知らずに請求しなかったCさん

Cさんは会社員で今年30歳。小学生のときに初診日のある疾患で障害をもっていますが、国民年金に加入する前の20歳前に初診日がある場合には20歳になったときに障害基礎年金がもらえるということを知らずに、請求せずにいました。先日、そのことを知り請求手続きをしたところ、20歳の時点で障害等級の2級に該当することが認定されました。

●年金をもらい忘れた期間

 Cさんが20歳から30歳になるまでの10年間10年間
 ⇒ 5年以上前の20歳から25歳になるまでの5年分は時効により消滅
 ⇒ 25歳から30歳になるまでの5年分がもらえる

●もらえる年金額(※説明をわかりやすくするため、2019年度価格を用いて例示しています)

  780,100円(2級障害基礎年金) × 5年分 = 3,900,500円 がもらえる

※時効により消滅した5年分はもらえない。

 事例のように、年金制度をよく理解していなかったり誤解していたために請求をしない、その結果、時効になった年金がもらえないというケースはよく見られます。せっかくの権利なのに、実にもったいない話です。年金制度に精通するのは難しいことですが、少しでも気になることがあれば、年金事務所に問い合わせたり、社会保険労務士などの専門家に相談してみましょう。
 年金は請求しないともらえませんが、老齢年金であれば、受給権が発生するタイミングで日本年金機構から「年金請求書」が送られてきます。この時に、「働いているからもらえないだろう」「いま請求すると減額されるだろう」などと思い込まずに、通知内容をよく読んで確認したり問い合わせたりして、絶対に放置しないことが大切です。

point

1.請求手続きをしないでいたために受け取っていない年金は、請求手続きをした時点から原則として過去5年分までしかもらえない

2.年金のもらい忘れ(請求漏れ)がないように、制度を確認したり、年金事務所などに問い合わせたりして、放置しないことが重要である

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◎“目で見る” 年金講座【第13回】『もらい忘れ(請求漏れ)が多い障害年金』

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