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年金・社会保険
掲載:2019年10月15日

“目で見る”年金講座【第13回】
もらい忘れ(請求漏れ)が多い障害年金

②日常生活や仕事にどれだけ支障があるのがポイント

障害等級表にすべてが具体的に書かれているわけではない

 前項では、障害年金の支給のかたち(種類)と、障害年金を受給するための3つの要件について確認しました。3つの受給要件のうち、「初診日要件」と「保険料納付要件」は、言ってみれば形式的な要件ですので理解しやすいものと思います。3つ目の「障害認定日要件」はどうでしょう。これも、要するに一定の期日において「障害等級表」で定められた障害の状態に該当するかどうかということですから、形式的な要件のように見えます。
 それではなぜ、形式的な要件を3つ満たしていればもらえる障害年金のもらい忘れ(請求漏れ)が多いのでしょうか。たとえば、次のような理由が考えらます。

①障害年金は身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などを持っている人がもらうものだと思っている

②障害の程度がかなり重くないと障害年金はもらえないという思い込みがある(障害年金がもらえるような障害とは思わないから請求しない)

③「障害等級表」の内容を知らない

④そもそも障害年金のことをよく知らない

⑤医師に相談したが「障害年金がもらえるような状態ではない」と言われた

 では、「障害等級表」にはどのように記載されているのかを見てみましょう(図表5)。
 ポイントは、下線で強調した箇所で、「前各号と同程度以上と認められる程度」といった、障害の認定に幅がある表現が見られることです。障害の状態は千差万別ですから、あたりまえといえばあたりまえですが、障害年金をもらえる障害の状態が「障害等級表」にすべて具体的に記載されているわけではないということです。限定的な障害をもった場合にしか障害年金をもらえないという誤解が、障害年金のもらい忘れが多い理由の根っこにあるような気がします。

【図表5】障害等級表

*視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によって測定する。

■1級(障害基礎年金・障害厚生年金)

障害の程度 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同定度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

■2級(障害基礎年金・障害厚生年金)

障害の程度 障害の状態
1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平衡機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声または言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢のおや指及びひとさし指または中指を欠くもの
7 両上肢のおや指及びひとさし指または中指の機能に著しい障害を有するもの
8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 1上肢のすべての指を欠くもの
10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 1下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

■3級(障害厚生年金)

障害の程度 障害の状態
1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃくまたは言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7 長管状態に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったものまたはおや指もしくはひとさし指を併せ1上肢の3指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10 1下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
11 両下肢の10趾の用を廃したもの
12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13 精神または神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14 傷病が治らないで、身体の機能または精神もしくは神経系統に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの

■障害手当金(障害厚生年金)

障害の程度 障害の状態
1 両眼の視力が0.6以下に減じたもの
2 1眼の視力が0.1以下に減じたもの
3 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 両眼による視野が2分の1以上に欠損したものまたは両眼の視野が10度以内のもの
5 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
6 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
7 そしゃくまたは言語の機能に障害を残すもの
8 鼻を欠損し、その機能に著し障害を残すもの
9 脊柱の機能に障害を残すもの
10 1上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
11 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
12 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13 長管状態に著しい転移変形を残すもの
14 1上肢の2指以上を失ったもの
15 1上肢のひとさし指を失ったもの
16 1上肢の3指以上の用を廃したもの
17 ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの
18 1上肢のおや指の用を廃したもの
19 1下肢の第1趾または他の4趾以上を失ったもの
20 1下肢の5趾の用を廃したもの
21 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
22 精神または神経系統に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

うつ病も障害年金の支給対象となる

 図表5のとおり、「障害等級表」では1級・2級・3級、および障害手当金の支給対象となる「障害の状態」が定められています。それぞれの「障害の状態」は、どのような考え方で線引きが図られているのでしょうか。図表6に整理してみました。

【図表6】「障害の状態」の基本

年金の種類 障害の程度 障害の状態の大まかな分類
障害基礎年金
障害厚生年金
1級

日常生活において、他人の介助を受けなければほとんど自分の用をなすことができない

たとえば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない(行ってはいけない)

病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られ、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られる

2級

必ずしも他人の介助は必要ないが、日常生活が極めて困難で、 労働による収入を得ることができない

たとえば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできない(行ってはいけない)

病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られ、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られる

障害厚生年金 3級

「傷病が治ったもの」にあっては、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする

「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする

障害手当金
(一時金)

「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする

 図表6は大まかな分類ですから、厳密な線引きはできませんが、基本的な考え方はうかがい知ることができます。障害年金は、「限定的な障害をもったときにもらえる」のではなく、「病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合にもらえる」年金であり、基本的に病名は関係ありません。
 たとえば、気分障害の一種である「うつ病」などで生活や仕事に支障がある場合にも障害年金をもらえる可能性があります。精神の障害は多種であり、その症状は同一原因であっても多様です。精神の障害の程度は、原因、症状、治療、経過、日常生活の状況などから総合的に認定され、図表6のとおり、日常生活のほとんどすべてに介助を必要とするような場合は1級、日常生活が著しい制限を受けるような場合は2級、労働が著しい制限を受けるような場合は3級と見なされます。

専門家に相談するのも一つの方法

 「生活や仕事に支障がある」と本人が申請すれば支給されるわけではない、というのが障害年金のハードルの高いところです。
 障害年金の申請(請求)には、年金請求書のほか、医師の診断書や受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などの提出が必要ですが、わけても重要なのが医師の診断書です。この場合の診断書には所定の様式があり、障害によって8種類に分けられています。障害年金の支給は、書類審査だけで決められるため、「生活や仕事に支障がある」ことが診断書にしっかりと記入されていることがポイントであり、症状が目に見えない、検査数値が基準で決まっているわけではない精神の障害などでは診断書への記入内容がとりわけ重要となります。
 しかしながら、医師でも障害年金の診断書作成に精通していない場合が往々にしてあります。医師に状況をうまく伝えられないなど、自力での請求が難しいと思われたときは、社会保険労務士など障害年金の請求に精通した専門家に相談してみることも検討してみてはいかがでしょうか。

point

1.障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合にもらえる年金である

2.障害年金をもらうには、「生活や仕事など制限されるようになった」ことが認定される必要があり、そのためには医師の診断書への記入内容が重要となる

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