③「免除」「猶予」された保険料は「追納」することができる3「免除」「猶予」された保険料は「追納」することができる

学生には「学生納付特例制度」を適用

 図表4に記載したとおり、学生の場合は、保険料免除制度や保険料納付猶予制度の対象とはならず、学納付特例制度が適用されます。その条件を、図表6に整理しました。

【図表6】学生納付特例制度の適用条件

学生納付特例制度
対 象 者 20歳以上の学生である第1号被保険者

*この場合の学生とは、次の学校の学生を指す。
○大学     ○大学院    ○短期大学
○高等学校   ○高等専門学校 ○専修学校
○1年制以上の各種学校(私立の場合は都道府県知事の認可を受けた学校)
○海外の指定校 ○夜間・定時制・通信課程

申請の条件 次のいずれかに該当すること
①所得が一定以下である人(下記参照)
②障害者または寡婦であって、所得が125万円以下である人
③生活保護法による、生活扶助以外の扶助を受けている人
④次の事由などによって保険料納付が著しく困難になっている人

 ●震災、風水害、火災などの災害によって、財産の価値の概ね2分の1以上の損害を受けた場合

 ●失業
所得の基準 前年所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)が、以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額
所得審査の対象 本人

 学生納付特例制度では、上記の条件に該当していれば、世帯主および配偶者の所得状況にかかわらず、本人が申請することにより、保険料の納付が全額猶予されます。「免除」のような、4分の3、半額、4分の1という段階はありません。
 「猶予」ですので、将来の年金額には反映されませんが、学生は、スポーツやレジャーなどで大きなケガをして障害をもつリスクがより高いので、そうなってしまったときに障害基礎年金が受給できないことがないよう、忘れずに手続きをしたいものです。

失業等による特例免除と産前産後期間の免除制度

 図表1に記載した、「免除」の中の「失業等による特例免除制度」と「産前産後期間の免除制度」にも少し触れておきましょう。
 「免除」の申請をする年度、またはその前年度に退職(失業)した人は「失業等による特例免除制度」を利用することができます。この制度の特徴は、所得審査の対象から「本人」が除外されることです。そのため、世帯主や配偶者の所得が基準以下であれば「免除」が認められることになります。
 また、「産前産後期間の免除制度」は、次世代育成支援の観点から、2019年4月に開始された制度です。これは、第1号被保険者が出産する場合には、出産予定月の前月から4ヵ月間の保険料の納付が全額免除されるというものです。しかも、この免除制度では、通常の「免除」のように2分の1ではなく、全額納付と同じ扱いで年金額に反映されることになります。

保険料は10年以内であれば追納できる

 保険料免除制度や保険料納付猶予制度、学生納付特例制度の利用によって、全部または一部を納付しなかった保険料については、10年以内であれば後からでも払うことができます。これを「追納」といいます。追納した場合、その期間は「納付」期間として取り扱われますので、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能になります。
 なお、追納する場合の保険料の額には、免除・猶予された当時の保険料に一定の加算が行われます。ただし、免除・猶予された月の属する年度の翌々年度以内に追納する場合には加算が行われません。
 将来の年金額を増やすことになりますので、経済的にゆとりができたときには、追納を検討するとよいでしょう。

point

1.学生の保険料納付猶予は、本人の申請により「学生納付特例制度」が適用される

2.保険料免除制度には、失業した人のために審査基準が緩和された特例制度や、産前産後期間の保険料を免除して納付期間に扱う制度がある

3.免除期間や納付猶予期間については、10年以内であれば保険料を追納することができる

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