大江隆史先生

大江隆史先生(NTT東日本関東病院整形外科部長、『ロコモ チャレンジ!推進協議会』委員長)

 いつの頃からか「国民病」とも呼ばれるようになった腰痛。厚生労働省の調査によると、自覚症状のある健康にかかわる問題で、「腰痛」は男性で1位、女性では肩こりに次いで2位となっています(「2016年国民生活基礎調査」より)。ちなみに、15年前(2001年)の調査結果も同じ順位でした。二足歩行をする人類にとって、腰痛は永遠の悩みなのでしょうか。

 そこで、「腰痛」になったときに覚えておきたい対処方法について、NTT東日本関東病院整形外科部長の大江隆史先生に教えていただきました。

性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)

性別にみた有訴者率の上位5症状

ポイント

〇腰痛はどこで診てもらうのが良い?

〇危険な腰痛のサインを知っておこう

〇腰痛になったときの心がけ

1腰痛はどこで診てもらうのが良い?

「腰痛」は整形外科専門医へ

整形外科専門医とは

 医師国家試験に合格し、医師として6年間主に整形外科を中心に研修を修め専門医試験に合格した医師。

 「整形外科専門医 名簿」でインターネット検索をすると、都道府県別の整形外科専門医を探すことができます。

(参考:公益社団法人日本整形外科学会ホームページ

 ひと言で腰痛といっても、ギックリ腰のような急性のものもあれば、鈍い痛みがときどきあるといった慢性的なものもあります。また、筋肉や骨、神経の損傷などによって起きるものもあれば、内臓の病気によって生じるものもあり、原因はさまざまです。

 原因を特定するためにも、「民間療法に頼る方も多くいらっしゃいますが、まずは整形外科専門医を受診して痛みの原因を知ってください。そして、正しい対処をすることが大切」と大江先生は話します。

どんな診察をするの?

診断に使うハンマー

診断に使うハンマー

診断に使う角度計

診断に使う角度計

 それでは、整形外科ではどのような診察をするのでしょうか。

 「外科という名称から、手術をイメージされる方が多いかもしれません。しかし整形外科の初診の患者さんのうち、手術をするケースは約1割。つまり、9割の方は手術をすることなく、主に継続的な治療をしたり、経過をみたりしていきます」(大江先生)

 整形外科は運動器の病気を扱う診療科です。「運動器」とは、身体の芯になる骨や関節などの骨格系と、それを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系の組織や器官のこと。それらの機能的改善を重要視して治療します。「脊椎外科」、「手の外科」、「足の外科」など多数の専門分野があります。

 診察の基本的な内容は、はじめに医師が患者から痛みなどの症状を聞き、それに基づいて身体を診察し、レントゲン撮影と血液検査、場合によってMRI検査を行うといいます。

痛みを正確に伝えよう

 整形外科の上手なかかり方を大江先生に教えていただきました。

 「まず、滅多にないことですが、整形外科を受診したとき、もし最初に患者さんの痛みの訴えにきちんと耳を傾けなかったり、身体診察をしなかったりする医師であるようでしたら、他に行くべきです。きちんと診察してくれる整形外科専門医にかかりましょう」(大江先生)

 受診のときのポイントは、「痛みについて、正確に伝える」こと。痛みのあるときですから、もちろん可能な範囲でよいです。下記にまとめた「伝えたいポイント」を受診前にメモしておいたり、頭の中で整理するだけでも伝えやすくなります。

初診のとき、整形外科で伝えたい5つのポイント(大江先生監修)

①痛みが始まった時期(いつから痛いのか)

(「〇月△日から」、「今年のお正月頃から」、「3年前くらいから」など)

②痛みのきっかけ

(「先週、道で転んだ」、「今朝、重たい物を持った」、「特に、思いあたらない」)など

③痛みの場所・程度

(「腰の上のほうに鈍い痛みがある」、「腰のあたりが重い」、「腰全体が張ったような感じ」など)

④痛みを強く感じるのはどんなときか

(「前かがみになったとき」、「歩いているとき」、「○○の動作をするとき」、「じっとしていても痛い」など)

⑤痛みはずっと続いているのか、一過性か

(「常に痛い」、「歩いているときだけ。立ち止まると痛くない」、「忙しいときに痛い」など)

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