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マネー
掲載:2017年2月15日

退職金をどう使う?
〜住宅ローンの完済だけではない

 

退職金を運用する

安易には飛びつかない

 運用にはリスクがつきものです。退職金は決して余剰金ではなく、退職後の生涯を支える大切な備えですから、いっそうの安全性を見極めたいものです。現役時代にはハイリスク・ハイリターンの商品でも自己責任で購入できたかもしれませんが、高齢の方にとってはリスクが大きすぎることもあります。ですから、「増やす」という目的よりも、「少しでも減らさない」ことを目的に始めるほうがよいでしょう。
 退職後は、退職金を巡ってさまざまな勧誘があるかも知れません。ここで安易には飛びつかないことが大切です。必ずよく勉強して、しばらくは商品の状況を見続けてから判断することをお勧めします。

インフレと年金について

 日銀がマイナス金利政策の導入を決めてから、この間、例えば銀行の預金金利や10年国債の流通利回りは、極めて低い水準で推移しています。その意図は市場にお金を出回らせて、企業の設備投資と労働者の賃上げを後押しし、景気を刺激しようということです。日銀は、2%の消費者物価上昇率を目標としていて、現在のところは実現できていませんが、今後、毎年2%前後ずつ物価が上昇していくインフレの可能性は続いています。
 また、平成28年には改正国民年金法が成立し、年金額改定の新しい2つのルールが採用されました。一つ目は、「賃金・物価スライドの見直し」です。従来は物価以上に賃金が下 落した場合、年金額を据え置いたり、物価に合わせて年金額を改定したりしてきました。2021年度からは、賃金の変動に合わせて年金額を改定するので、賃金が下落する場合でも年金額は減額されます。
 二つ目は、年金額の伸びを賃金や物価の上昇分よりも抑える「マクロ経済スライド」の強化です。これは従来からあった仕組みですが、物価が下落した年度には実施できなかったため、発動されたのは2015年度の1度だけでした。今後は物価が下落する景気後退期には年金額の減額を凍結し、代わりに物価が上がった年度では複数年分をまとめて年金額を減額することが可能になりました。2018年度から導入されます。
 いずれにしても「100年安心」の謳い文句の下、年金額が減額になっていく可能性がこれまで以上に高くなったといえます。

できるだけリスクの低い商品を選択する

 退職後のための金融資産がインフレによって毎年2%程度ずつ目減りしていくこと、そして年金額が減少を続けることというダブルパンチを受ける可能性が高まったということです。そこで、運用して少しでも老後の生活資金を減らさないようにしていきたいところですが、運用にはリスクが付き物ですから注意が必要です。以下に、資産運用の方法別に、その特徴とリスクなどの留意点について簡単に整理しました。

◆投資信託

 小口のお金を多く集め、資産運用の専門家が運用するのが投資信託です。投資信託はいくつかのパターンで分類できますが、まず把握したいのが運用方法による分類で、これにはアクティブファンドとインデックスファンドがあります。前者は例えば、株価指数といった指標とするもの(ベンチマークといいます)を上回る運用成績を目指すもの、後者はパッシブファンドともいわれ、ベンチマークと同じ値動きを目指す運用を行うものです。
 投資信託で運用する際に注意が必要なのは、投資信託にかかるコストです。コストには、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額などがありますが、このうち信託報酬の負担が大きく、一般に年間0.5%〜2.0%を投資家が負担します。先ほどの運用方法による分類でいえば、投資先の選択に手間が生じるアクティブファンドの方が、インデックスファンドよりも高くなります。投資家の収益は当然ながら、信託報酬負担後の運用実績になりますから、特にこの信託報酬の負担に注目をする必要があります。
 また、別の分類としては、収益分配方式(毎月分配型、年複数回分配型、年1回分配型、無分配型)があります。このうち、これまで毎月分配型が人気を博してきましたが、運用収益だけならともかく、投資元本をも取り崩して分配している場合もあります。元本が減少して効率的な運用が困難になるおそれがあるので、気をつけたいところです。

ETFイーティーエフ

 ETF(xchange raded und)は、金融商品取引所で取引される投資信託で、上場投資信託とも呼ばれます。その特徴はコストにあります。上場されている株式の売買同様に株式購入の手数料はかかりますが、投資信託とは異なって投資信託そのものの販売手数料はかかりません。また信託報酬は、上記投資信託のインデックスファンドよりも安くなっています。ただし、ETFはあまり少額の取引をすると、最低売買手数料を支払うだけで手数料率が非常に高くなってしまう場合があり、ある程度の金額をまとめて投資することが必要なので注意してください。
 なお、ETFは、銀行で購入できないため、購入するには証券会社に口座を開設する必要があります。

NISAニーサ(少額投資非課税制度)

 これは、2014年1月から開始された、一定の条件を満たす株式、投資信託、ETFなどに対する投資については、配当所得や譲渡所得(売却益)が非課税になる制度です。現在、NISAの非課税枠は年間120万円で、非課税期間は最長5年間です。NISA口座の開設可能期間は2023年までなので、例えば2017年の口座が5年間の非課税期間を終える2021年12月末に2022年の口座に移行させるといった対応を繰り返せば、今後最長11年間の非課税期間を得ることができます。
 非課税の取扱いはとても魅力ですが、最長11年間では長い老後生活における運用の期間としては短いといえます。また、年度の途中で株式や投資信託を売却した場合は、残りの非課税枠の再利用はできないことや、一般の特定口座からNISAへの株式、投資信託の移動はできないことにも注意が必要です。

◆年金の繰下げ受給

 上記の資産運用とは異なりますが、年金の繰下げ受給にも注目してみてください。既に2016年12月号でお知らせしたとおり、公的年金(基礎年金・厚生年金)には、自らの判断で本来の受給開始年齢を遅らせる、繰下げ制度があります。もし余裕があるのならば、年金受給年齢を70歳にするという選択をお勧めします。
 繰り下げている間に亡くなってしまい、年金をまったく受給できないというリスクはありますが、この超低金利時代に1ヵ月の繰下げで0.7%の増額はとても魅力的といえます。65歳から受け取り始める場合と70歳まで待ってからの場合を比べると、82歳(正確には約81歳11ヵ月)まで生きていると受給総額がほぼ同額になります。65歳時点の平均余命は男性で約19年、女性で約24年ですから、65歳まで生きた人ならば平均すれば82歳よりも長く生きる、と言えます。
 ただし、配偶者加給年金額や振替加算が加算される場合、加算額については繰り下げても増額の対象とはなりません。まだ年金受給開始年齢に達していない読者のみなさんは、ご自身の健康状態等を考慮するとともに、加算額の対象となる場合にはこの点も含めて検討してみてください。

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