2食欲がないから食べられない?

少しずつ増やす努力を

 ここまで紹介した食材と分量を見て「そんなに食べることができない」という高齢者の方は、低栄養に陥っている可能性が大です。しかし「寝たきりにならないためのクスリ」と考えて食べることに積極的になることが重要です。いきなり食べることができなくても、少しずつ食べる量を増やしていくと無理なく食べられるようになります。

 低栄養の状態が続くと、健康で自分の足でどこでも行ける、ということが難しくなります。外出どころかトイレに行くために歩くことが不自由になるのは、とても辛いことです。しっかりと食べていきましょう。

口の中の環境を整える

 食べるためには、入れ歯や差し歯がきちんと自分に合っていることが重要です。また、高齢になると歯茎が弱ったり、歯周病にもなりやすくなります。定期的に歯科を受診して、食べるための環境を整えましょう。

運動も忘れずに

 少ない食事量を増やし、筋肉をつけていくには運動が欠かせません。体を動かすと食欲が湧いて、これまでよりも量を食べることもできます。また、運動が刺激になって体内で新陳代謝が活発になって筋肉がつきやすくなります。

筋肉量をチェックしてみましょう

 まず、筋肉量と筋肉の質をチェックしてみましょう。

 両手の親指と人差し指でふくらはぎの最も太いところを囲みます。指が重なると筋肉量は少ない、指がくっつく程度なら筋肉量はやや少なめ、指がくっつかなければ、筋肉量は多いと判断できます。

 筋肉の質は、高さ40センチのイスから片足を浮かした状態で立ち上がります。立つことができれば、筋肉の質が高く、立てなければ、筋肉の質が悪く、筋力が弱っています

※参考:「今こそ"ロコモチャレンジ!"その②防ごう!ロコモ」(http://kurassist.jp/anshin/anshin53-1.html

ラジオ体操と筋肉トレーニング

 そこで、筋肉をつけ、筋肉に質を高めるためにオススメの運動はラジオ体操と筋肉トレーニングです。特に筋肉の量が少ない、あるいは筋肉の質が悪い人はラジオ体操を中心にし、徐々に筋肉トレーニングを増やしていきましょう。

 ラジオ体操で筋肉をつけていくコツは、はじめの姿勢が大事です。足を肩幅ぐらいに開きます。足裏をしっかりと地面や床にくっつけて、かかとが上がらないようにすることです。(ジャンプなど一部ポーズに例外はあります)下半身はそのままで、正面や横向きなどに上半身をひねります。下半身を動かさないことがコツ。座って行う場合でも、足裏が床につく高さのイスを用意し、足がぶらぶらしないようにします。下半身を動かさないことで逆に足にも力が入り、上半身はしっかりとひねったり回転することができ、効果がでます。ラジオ体操と筋肉トレーニングを兼ねた体操が一度にできるテレビ体操もNHKなどで放送されているようです。

筋力トレーニング

 筋肉トレーニングはダンベル体操やスクワットやもも上げ、つま先あげなどが効果的です。

【スクワット】

 スクワットは腰痛体操にもなるので、体の筋肉が伸びて気持ちいい範囲で行いましょう。1回10〜15回を1日2〜5回行うのが目標です。

 スクワットの方法は、足を肩幅かやや広めにし、軽く膝をまげます。そこから膝を曲げてしゃがむように腰を下ろします。和式トイレにしゃがむようなイメージです。背筋は伸ばし、ひざはつま先と同じ方向に向くようにし、ひざがつま先より前に出ない、内側に入らないように注意します。手を股関節のあたりに置くと、膝の動きがわかりやすくなります。このとき、クチで1、2、3と数を数え、4で一番下に腰が落ちて5から徐々に腰を上にあげて、8で最初のポーズに戻ります。息を止めると危険です。クチにだして数を数えると自然な呼吸で行うことができます。

 スクワットは、正しい方法で行わないとケガの原因になります。病院のパンフレットや専門家が解説した図解本などを利用しましょう

※参考:「今こそ"ロコモチャレンジ!"その②防ごう!ロコモ」(http://kurassist.jp/anshin/anshin53-3.html

【もも上げ】

 もも上げは、イスに座って背筋をのばし、座面を両手でつかみます。その状態で片足のひざを胸のほうに引き上げます。1秒その姿勢を保ってから、元に戻します。

【つま先立ち】

 つま先立ちは、腰幅に足を広げて背筋を伸ばして立ってつま先は正面に向けます。その状態でゆっくりとかかとを上げます。(ふらつくなら片手をイスや机に手を置いて体を支えましょう)1秒その姿勢を保ってから、元に戻します。

最後に

 体を動かすためにも体力が必要です。まずはしっかり食べて体の基本である体力をつけて、筋肉をつけていきましょう。肉のコレステロールや脂質を心配するのは50歳代まで。高齢の方はむしろ積極的に食事に取り入れていきましょう。

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