2抱えている想いを吐露し整理する
亡き人を思い、書き出してみましょう
死と向き合い、悲しみが癒えるには、ひたすら振り返りに時間をかけるのも1つの手かもしれません。そのような時間は、大切な悲嘆の作業(グリーフワーク)ですが、深い悲しみに蓋をして時折噴き出す感情を抱えたまま生活を続けていくことは辛く苦しいものです。時にはそこから解放される時間が必要です。体に不調をきたした場合はなおさらでしょう。そんな時、グリーフケアが大きな助けとなります。
日本ではまだ聞き馴染みのない「グリーフケア」ですが、カウンセリング、電話相談、グループワークと主催者によって様々な内容があります。なかでも宮林先生が主催するグリーフケアは、グループワーク(7〜11人ぐらい)が主体。それぞれが抱えた「グリーフ」の問題をできる範囲でみんなの前で表出し、共有・理解し合うことで、悲しみや辛さを少し楽にして帰宅することができると評判です。
宮林先生からアドバイス
「『悲しみを基軸にした体の不調やある思い(誰にもわかってもらえないことだ…など)が自分だけに出た特別なものではなく、誰にでも起こり得ることなのだ』と理解することがグリーフケアの第一歩。グループワークでは、いくつかの項目が書かれたシートを配り、亡き人との想い出やその方に伝えたいこと、自分の置かれている状況をそのシートに記入してもらいます。それを基にみんなで発表し合い、想いを分かち合う。気持ちを吐き出し、1つずつ文字にして共に情報を交換して整理することで、堂々巡りしていた感情が少しずつクリアになっていくのを感じてもらいます。『この場にたくさんの涙を置いて帰ってくださいね』とお話しします。すると多くの方が泣きながら、思いの丈をお話しされます。話し、お互い聞いて悲しみを理解し合うこと、これこそが今必要とされるグリーフケアであり、グリーフを少しでも和らげる最善の方法だと考えています。」この流れがスムーズなときには、今後の人生への創作場面で物語もさりげない形で盛り込んでいます。悲しみの最中にあっても「希望らしき」面にも心を向けてほしいからです。また、同様の問題については、過去の例などからの提案などを含めてあげることが、知識上のアドバイスよりも重要です。
グループワークで使用する記入シートを見せていただきました。もし今あなたがグリーフを抱えているなら、実際に記入してみましょう(一部抜粋)。
シートに記入することで、自分のグリーフがどれぐらいか、自分の身に起こっていることを客観的に知るいい機会になったのではないでしょうか。"何から頑張ろうかな"の円グラフでは、自分に今足りないこと、必要なこと、頑張れる要素がどこにあるのかを教えてくれます。まずは1つ、自分が一歩前に踏み出すことができそうな要素を決めて、日々の暮らしのなかで意識してみてはいかがでしょう?
言える場をつくる
誰かに抱えている悲しみを話し、聞いてもらい、理解してもらうことこそ、最大のグリーフケアです。グリーフケア専門の講義やグループワークに参加し、正常な反応であることを理解しておくこともいいですが、私達にまずできること、それは"身近な人に話し、聞いてもらうこと"です。時には流れる涙を抑えない機会も有効です。
大切な人を亡くし深い悲しみを背負うことは遅かれ早かれ誰もが経験すること。であれば、まだ経験していない人も、グリーフ反応や起こりうる症状を事前に知って、悲しみを抱えた人がいた時にそっと優しく寄り添えるようにしておくことも、グリーフケアには求められています。まずは悲しみ(グリーフ)を吐き出すことからはじめてみませんか?
宮林先生からアドバイス
「聞く側の心構えや意識も大事です。身近にそういう方がいたら『今まで言えなくて辛かったね、誰にも話さないからここで全部話していいよ』と言ってあげてください。そしてその症状に理解を示してあげてください。それだけで、その方の心がふっと軽くなるはずです。」
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② 抱えている想いを吐露し整理する