2干渉にならない、ゆるやかな見守り
親のプライバシーを尊重
すでにご紹介したとおり、見守りサービスにはさまざまな選択肢があります。サービスを選ぶときには、親子がそれぞれどのような形の見守りを望んでいるのかという点を明確にすることが大切です。では、「みまも〜る」はどのようなニーズに応えるサービスなのでしょうか。サービスの特徴について、引き続き東京ガスの林均さんに伺います。
遠すぎず、近すぎず、ちょうどいい距離感
このサービスの特徴は、親子双方にとって負担にならない、"ゆるやかな見守り"であること。あくまでもガスの使用量を知らせるだけなので、親の感じる束縛感が小さく、子どもにとっても確認が過大な負担になりません。
「見守りといっても、元気な親御さんにとっては束縛に感じられてしまうことがあるかもしれません。ご家族にとっても、情報が多すぎるとわずらわしくなってしまうこともあります。つまり、『元気に暮らしているけれど"もしも"のときが心配。でも、プライバシーには干渉したくない』というご家族にはちょうどいいサービスです」(林さん)。
新しい機器が苦手な高齢者にも
また、子どもの側が気づきにくいのは、高齢になると新しい機器に慣れるのが大変だということ。「ご高齢の方の場合、機器の操作が必要になると、ほんのひと手間でも面倒に感じられてしまうことがあります」(林さん)。「みまも〜る」では、親のほうはいつもどおりにガスを使用するだけ。また、報告はメールで届けられるため(図を参照)、子どものほうも特別なことをする必要がなく、親子双方にとって大きな負担になりません。
図 利用状況をメールで配信(イメージ図)
〈東京ガス「みまも〜る」ウェブサイトより〉
「どの程度の見守りを求めているのか」に注意
利用しやすいサービスである一方で、「みまも〜る」には警察や救急への緊急通報が含まれていないことに注意が必要です。その分、費用が低めに抑えられているわけですが、親の生活の自立度に心配があるときには、見守りの度合いがより強いサービスを選ぶ必要があります。
親子のコミュニケーションの機会に
見守りサービスといっても、親のことをすべて人に委ねてしまうわけではありません。むしろ、親の生活にさらに関心を寄せることにつながり、双方の関係にプラスの変化が生じることも少なくありません。その様子が、サービスの利用者からの声にも表れています。実際に東京ガスに寄せられたコメントをご紹介します。
サービスの利用者から寄せられた声
■子ども(見守る側)
父がガスを使っていない時に、「どうしたの?」と電話をかけることが多くなりました。ガスの利用状況だけでなく普段の会話も増えて父も喜んでいます。
■親(見守られる側)
ちょっと風邪ぎみで寝込んでいたとき、娘や孫が心配して「食事してないみたいだけど何かあったの?」と電話をくれました。見守ってくれるだけでなく、子どもたちの声を聞く機会が増えて嬉しいです。
このように、サービスを通じて「離れて暮らす親もしくは子との会話が増えた」という声が多く聞かれます。「サービスが、"もしも"のときや緊急時だけでなく、日常的な親子のコミュニケーションの機会になっているということがわかりました。これは、利用者の皆様から寄せられた声を聞いて初めてわかったことです」(林さん)。
高齢になった親の"もしも"に備えて安心感が得られると同時に、離れて暮らす親子がゆるやかにつながることができる――それがこのサービスの魅力といえます。
東京ガス「みまも〜る」ウェブサイト
http://home.tokyo-gas.co.jp/mima
次回は、より見守りの度合いの高いサービスを取り上げます。
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