ストレスを解消する2ストレスを解消する

眠って忘れる

 ストレスに強くなるには、対抗するだけでなく、「ストレスを解消させる」ということが重要になってきます。それには熟睡することが必要です。睡眠はストレスを解消させるために非常に大きな役割をもっています。適切な睡眠時間には個人差があります。その日のうちに布団にはいり、翌朝スッキリ目覚められ、日中にうとうとしないような睡眠時間を確保することが目安になります。

 睡眠中は、脳も休息していますが、一部でその日にあった出来事の情報の記憶を定着したり抹消する作業もしています。例えば、読書をしていれば、その内容を憶えておくようにしているのが「記憶」です。一方で、脳が不必要と判断した内容を「忘れる」という作業もしています。この「忘れる」ということで、ストレスが軽減されていくのです。

睡眠を妨げるものは摂取しない

 忘れる作業には「熟睡」することが一番です。疲れていると、つい栄養ドリンクやコーヒーを飲む人もいるでしょう。確かに一時的にシャキッとしてストレスによるイライラや落ち込み、疲労が吹き飛んだ気分になりストレスを乗り越えられるような気分になります。これは多く含まれているカフェインの影響で、脳が覚醒するからです。しかし、カフェインを多くとることは、脳を強引に働かせてごまかしているだけで、本当のストレスを解消したわけではないのです。寝る前の不必要なカフェインは脳を興奮させてしまい安眠を妨げます。飲むのなら就寝する2〜3時間前までにしておきましょう。ただし、カフェインによる影響は個人差が大きいので、コーヒーなどで目が冴えやすい人はコーヒー、栄養ドリンク、コーラ類を飲むことを控えておきましょう。

睡眠前のおすすめドリンク

 寝る前のドリンクでおすすめなのはホットミルクやノンカフェイン飲料、ハーブティーなどです。ハーブティーは、ハーブによって様々な効果がうたわれているのですが、味が好みでないと不快感で逆に自律神経が興奮してしまいます。自分で好きな風味のものを選ぶようにしましょう。

 

お酒の力では解消しない

 眠るためにお酒を飲むことがあります。しかし、お酒は入眠を誘いますが、熟睡の妨げとなります。睡眠の途中で起きてまったり、予想外に早く目覚めてしまったりで浅い睡眠しかとれず、体の休息にも物足りないような状態になります。さらに、アルコールに対する耐性がついて、寝るためのお酒の量が徐々に増えていくのは肝臓をはじめ、全身の健康に悪影響を与えます。ですから、寝酒はストレスを増長することはあっても、解消することはありません。

食事で熟睡は得られるか

 現在、食べただけで直接的に睡眠を促す食品はありません。しかし、食物で睡眠をいざない、安眠を促すことはできます。ストレスの影響を最もうけるのが自律神経ですが、これは脳に対して、その働きを調節しているコントロールタワーのようなものです。ストレスによる胃痛や下痢などは自律神経がストレスに耐えきれずにコントロール不能に陥っているのです。ですから、ストレスから体を守るには自律神経をリラックスさせることが重要です。

 自律神経の緊張を解く身近な食べ物は、「温かいもの」です。特にホットドリンクはその温かさから日中は緊張状態であった自律神経をリラックスさせ、健やかな眠りを誘います。夏期など暑い時期は、暑くなった体温を下げて自律神経を落ち着かせる意味で、冷ためのドリンクでも構いません。ただし、グラスに入れた氷を食べる、ペットボトルごと冷凍して溶かしながら飲むのは冷たすぎて、自律神経が緊張するので逆効果です。夏期でも、夕食に「できたて」「暖めて食べる」ようなシチューや味噌汁を取り入れて、体をあたためることで自律神経が安らぎます。

牛乳の力

 特におすすめなのが暖かい牛乳です。牛乳は、優秀なカルシウム源です。カルシウムが不足すると情緒が不安定になり、イライラしやすくなり、ストレスを溜め込んでしまう原因になります。カルシウムそのものは、骨がカルシウムの貯蔵庫になっているので、不足するとすぐに体は対応するようになっています。しかし、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、日本人は継続してカルシウム不足傾向にあり、平成25年度の結果でもカルシウムはいまだに摂取が不足しています。日々の食生活にカルシウムを補って不足症状を出さないためには牛乳は非常に有効です。

 しかも牛乳はトリプトファンというアミノ酸が豊富です。トリプトファンは神経安定や催眠効果のあるセロトニンの原料になります。セロトニンは別名「脳内幸福物質」と呼ばれ、気持ちを明るくする成分でもあります。このセロトニンが不足しないようにするのもストレスに対抗する力になるのです。

 またトリプトファンは入眠を促すメラトニンの材料にもなるので、寝る前に飲むのにぴったりです。毎日コップ1杯程度を飲んで、セロトニンとメラトニンを体内で合成しやすくしましょう。するとこれらの成分の作用でストレスによってささくれた気持ちを落ち着かせ、緊張している心身を解きほぐすようになってきます。

サプリメントではトリプトファンが摂れない

 サプリメントでカルシウムを補う方法もありますが、トリプトファンなどの成分が摂取できないのでおすすめできません。また、しっかりとカルシウムを取ると、不足症状であるイライラや情緒の不安定が解消されるだけであって、たくさん摂るほど、気持ちが落ち着くものではありません。

クエン酸の力

 ストレスがかかると、心の疲れが体の疲れとして現れることがあります。やる気がでない、疲れやすい、集中力が出ないといったことは誰でも経験しているでしょう。こうしたストレス性の体の疲れに効果的なのが、酢やレモン果汁などに多く含まれるクエン酸です。クエン酸を利用するなら、レモン果汁2個分、酢大さじ1杯程度が目安。クエン酸は疲労回復に貢献する成分で、柑橘系の果物やメロン、苺、キウイなどにも豊富です。このほか酢の物や「飲む酢」などを利用するのも良いでしょう。

サプリメントは期待できない

 サプリメントとしてのクエン酸の効果ははっきりとしていませんので、食品から摂ることがおすすめです。また、クエン酸を多く含む梅干しは、同時に塩分が多く含まれているので疲労回復目的にはおすすめしにくい食品です。

「やけ食い」「やけ酒」にはオレンジジュース

 「やけ食い」や「やけ酒」は、一時的に心情的にストレスを解消します。しかし、これを繰り返すと飲酒量の多い日々やカロリーオーバーや脂質の取り過ぎなど偏った食生活が続いてしまいます。健康を損ねればストレスがさらに増えることになります。そこで、連続して「やけ食い」や「やけ酒」が続くような時には、食前にオレンジジュースを飲んで気持ちを落ち着けることができます。オレンジジュースは市販の果汁100%の濃縮還元タイプで充分です。オレンジジュースには抗ストレスホルモンの材料であるパントテン酸の働きを支え、しかもストレスで消耗しやすいビタミンCが豊富です。約200cc(コップ1杯、紙のミニパック1個程度)を飲むことで約84mgを取ることができます。ビタミンCの1日の推奨量が100mgなので、手軽に推奨量に届く量です。しかもエネルギー(カロリー)が約84Kcalと低めで、お腹に一定の膨満感を与えます。

やけ酒をするならこんな方法で

 お酒と一緒に上記で紹介した肉類の食品を食べることでパントテン酸を補給して、ストレスを緩和させます。しかし、肉類にはビタミンCは含まれていませんので、食前のオレンジジュースを飲むことでビタミンCを補給できますし、また、胃を膨らませておくことで食べ過ぎ、飲み過ぎをセーブすることができます。あるいはナッツ類をオーダーして、ビタミンEを補給できます。またナッツ類は固いので自然に噛む回数が増えます。噛む回数がふえると満腹感を呼び込みやすいので、これも自然に食べ過ぎ、飲み過ぎをセーブしつつ、ストレスに対抗する栄養素を取り込むことができます。

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