2ローン完済後の抵当権抹消をお忘れなく
抵当権とは?
前のページに示した登記簿謄本の例の中に、「抵当権設定」や「抵当権抹消」という項目がありました。通常、住宅ローンを借りる際にはこの契約を交わしているのですが、ここで初めて「抵当権」という言葉を意識された方もいらっしゃるかも知れません。この契約は、『仮に返済が滞った場合、抵当権者(貸し主)が担保の土地や建物につき地方裁判所へ競売手続きの申立てをして、競落代金を第三者に先立って返済に充当することができる』という内容になっています。当然、完済し、債権がなくなれば抵当権自体が無効になります。そのため、放っておいても問題はないのではと考え、実際にそのままになっているケースも少なくありません。しかし、完済後は抵当権は必ず抹消する必要があります。
■丸子先生より一言
「その不動産を売却する際や、その物件を担保に入れてお金を貸して欲しいという場合は、抵当権を抹消するようにと言われます。抵当権が残っていたらまず買ってもらえないし、お金を貸してもらえません。」
抵当権抹消はすぐに行わないと、後々大変
不要になった抵当権登記を登記簿上から消す作業を「抵当権抹消登記」と言います。これは銀行では行ってくれないため、債務者本人が手続きを行います。抵当権を抹消するためには、ローンを完済した後に渡された抵当権抹消登記書類に必要事項を記入し、他の必要書類を揃えて法務局に提出します。この手続きを引き延ばしにすると、トラブルが起こりかねません。少しでも早く手続きしたほうが良いでしょう。
丸子先生より一言
「抵当権の抹消登記をせず、その不動産の持ち主が亡くなってしまうこともあります。財産は次の世代の方に引き継がれ、お子さんなどがその抵当権を持つ金融機関に連絡を取ると、抵当権を設定したのが大昔で既に名前が変わっているとか、銀行そのものが存在しないということも起こっています。なんらかの方法で抵当権抹消はできますが、こうなるとかなり努力が必要です。お子さんなどに迷惑をかけないためにも、ローンが終わったらすぐに抹消登記を行うことをお勧めします。
また、ご本人の場合でも、抹消登記書類が届いてすぐに手続きをせず、書類を紛失してしまう方も見受けられます。そうすると、銀行から実印入りの委任状や印鑑証明書などを取り寄せるなど、手続きがとても煩雑で難しくなってしまいます。抹消登記書類はくれぐれも失くさないようにすること、そして、手続きを早めに済ませることが大切だと思います。」
手続が難しい場合は法律の専門家に相談を
今回は抵当権の抹消を中心にお話を伺いましたが、そのほか不動産登記の変更が考えられるケースに、相続や贈与にともなう名義変更が挙げられます。今年1月の相続税法改正にともない、駆け込みの贈与も多かったといいます。相続の場合は必要書類も多く非常に複雑で、個人で行うにはかなりハードルが高いでしょう。
抵当権の抹消が前述のように困難になってしまった場合など、登記関係で味方になってくれるのが司法書士です。抵当権の抹消登記は、通常のケースで2万円程度で依頼することができるそうです。個人で行うことも可能ですが、手続きが面倒で先伸ばしにした結果、面倒なケースに陥ればそれだけ費用も嵩んでしまいます。
困ったことになる前に、専門家の司法書士の先生に相談すれば、スムーズに手続きを進めてもらえます。マイホーム購入でローンを組まれた方はこれを機に、まずは抵当権について確認してみてはいかがでしょうか。
-
② ローン完済後の抵当権抹消をお忘れなく