3生活のなかで何が変わるか ―受給者の場合

年金額がマイナスに(平成25年10月分〜平成28年3月分)

 現在、支給されている年金額は、本来、法律が想定した水準よりも2.5%高い水準となっています。その理由は、平成11年から平成13年の間、物価の下落にも関わらず、物価スライドを行わずに年金額を特例的に据え置き、その後も物価の下落が続いたためです。こうした特例水準を設けたことで年金支給額は毎年約1兆円の給付増となり、累計で約7兆円にのぼる過剰な給付があったと指摘されています。
 そこで平成25年度(平成25年10月)から平成27年度(平成28年3月)までの間、今の年金受給者の年金額を段階的に引き下げ、この特例水準を計画的に解消する方針が決まりました。平成25年10月からマイナス1.0%、さらに平成26年4月にマイナス1.0%、平成27年4月からマイナス0.5%が予定されています。将来受給者となる現役世代との公平さを図り、年金財政の問題を改善するのが目的です。

図2 特例水準の解消

図2

※物価・賃金が上昇した場合には、引下げ幅は縮小する。

表2 年金額(月額)の推移

年月 老齢基礎年金 老齢厚生年金
(標準世帯平均額)
平成24年4月分〜 65,541円 230,940円
平成25年10月分〜
(▲1.0%)
64,875円
(▲666円)
228,591円
(▲2,349円)
平成26年4月分〜
(▲1.0%)
64,200円
(▲675円)
226,216円
(▲2,375円)
平成27年4月分〜
(▲0.5%)
63,866円
(▲334円)
225,040円
(▲1,176円)

※上記は物価・賃金が上昇も下落もしないと仮定した場合の金額。

所得が低い人に老齢年金生活者支援給付金 (平成27年10月実施予定)

 所得が一定の基準より少ない年金受給者に対して、「老齢年金生活者支援給付金
を支給します。金額は以下の算式で求めます。

※住民税が家族全員非課税で、前年の年金収入+その他の所得の合計額が老齢基礎年金満額(平成27年度で77万円)以下であること。

方法1:給付金額=基準額(月額5,000円)× 納付済み期間(月数)/480
方法2:給付金額=免除期間に対応して老齢基礎年金の1/6相当を基本とする額

*所得の逆転が生じないように、上記の所得基準を上回る一定範囲の年金受給者には、上記の方法1に準じる補足的老齢年金生活者支援給付金を支給します。


70歳以後で繰下げの申し出をすると70歳到達月の翌月分から支給

(平成26年4月実施予定)

 老齢基礎年金の受給開始は65歳ですが、開始年齢を繰り下げる(先へ延ばす)と年金支給額が増える仕組みになっています。70歳を迎えた後、繰下げ支給の申し出をした場合の取扱いが改正されます。

⇒現行では:申し出のあった月の翌月以降の年金しか支払われない。

⇒改正後は:繰下げの申請をした月から70歳までの期間も、さかのぼって年金が支払われる。


障害が悪化した場合は待機期間なしに年金額改定に

(平成26年4月実施予定)

 障害年金を受給する人の障害の程度が進んだ場合も、取扱いが改正されます。

⇒現行では:年金額の改定請求に1年間の待機期間が設けられている。

⇒改正後は:障害がすすんだことが明らかに確認できる場合には、待機期間なしに年金額改定の請求が認められる。

この記事はお役に立ちましたか?

ご評価いただきありがとうございます。
今後の記事作成の参考にさせていただきます。

また、他のページもよろしければご利用をお願いしておりますので、
検索機能」や記事の「 人気ランキング 」をご利用ください。

あわせて読みたい記事

人気の記事