3孤独化しないために出来ること

もう一度働く?趣味を楽しむ?新たな人脈づくり?選択肢は色々

 今までお話してきたような「男性の孤独化」を避けるために自分でできること、それは事前準備です。その時になってから考えればよい、行動すればよい、といった意見もあると思いますが、実際そう思っていても簡単には自分を切り替えられない人が多いからこそ、こうした事態が深刻化していると捉えるべきです。そこで、まずは定年後の人生を楽しく生きている方の意見を参考にしてみてはいかがでしょうか? 自分の趣味を楽しむパータン、別の場所で働くパターンなど、過ごし方は様々です。どの方も仕事場、趣味、金銭的余裕、新たな人脈関係など、どこかに拠り所があるのが生きがいになっているようです。

【Aさんの場合】 アルバイトで働き、社会との繋がりをつくる

 65歳で仕事を定年退職しました。その後しばらくはゆっくりしたいと、数ヵ月間、旅行をしたり、家で読書をしたりしていましたが、それも飽きてきた頃、今までの生活リズムと異なる生活を繰り返していたせいか体調が悪くなってしまいました。やはり働いていた方が健康にも良いと考え、時給850円のアルバイトを週に数回やっています。会社に勤めていたころには考えられない収入ですが、社会と関わることで生活にもメリハリが出て、人と会話する機会も増えました。おかげ様で体調も回復です。

【Bさんの場合】 家賃収入を得ながら、趣味をとことん楽しむ

 定年後はしがらみを捨てて自由奔放に生きたいと考えていました。そこで、事前にコツコツと貯金をし、貸家を2件所有していました。今は年金と家賃収入で現役時代と同様の収入を維持しています。ずっと世界を見てまわりたいと思っていたので、海外旅行に30カ国以上、また国内の温泉巡りをして今は楽しく過ごしています。

【Cさんの場合】 趣味を楽しみながら、体力づくり

 会社経営を68歳でリタイア宣言。あとは会社を家族に託し、やりたいことを中心に新たな趣味を始めました。乗馬です。乗っている時の爽快感は格別ですし、筋肉もつきます。上手に乗りこなすためにも体力づくりは必至ということで、老後の体調管理にもいい影響を与えてくれています。家族とは、引退した会社のことなど共通の話題もあるので、ちょうどよい距離感でコミュニケーションが図れています。

【Dさんの場合】 ボランティアに参加し、人脈づくり

 63歳で現役引退し、家庭菜園をはじめました。その延長で、地域の農業ボランティアにも参加し、週1回外で20人ぐらいのメンバーと畑仕事に精を出しています。今までデスクワークでなまっていた体を動かすいい機会にもなり、何より地域、近隣に住む同世代の人と出会うきっかけにもなりました。仲良くなった数人のメンバーと外食したり、今度車で遠出しよう、という話しもあります。この年齢で新たに人脈関係を築けたことで、生活にもハリが出たような気がします。

家族との会話を絶やさずに

 孤独化を助長させる要因として、先に熟年離婚を取り上げました。それは家庭不和からくる最終形態ではありますが、やはり定年後のライフスタイルを充実させるには、家庭という基盤はすごく大切になってきます。どんなに趣味を楽しんでいても、帰ってくる場所は"家"。その時に家族とどういう立ち位置で接するか、それは早くから考えておいたほうがよいでしょう。また若い段階からすでに会話が少ないのであれば、それはかなりの危険信号。下記のように、65歳以上の人が費やす時間の圧倒的1位が「テレビやラジオ、新聞、雑誌」という調査結果もあります【図7参照】。これは、一人遊びの最たるもの。「うちの旦那、家でゴロゴロしてずっとテレビを見ているのよ」なんて、奥さま方の会話でよく聞く話。こうしたことが孤独化を生むと心得て、積極的に家族とコミュニケーションを図ることで、定年後のリスクを避けたいものですね。

図7 65歳以上の人が余暇に費やす平均時間(1週間あたり)

図7 65歳以上の人が余暇に費やす平均時間(1週間あたり)

<総務省「平成18年度社会生活基本調査」より>

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