2退職後の男性が孤独化する理由

定年後に待ち受けるのは?

 結婚、出産などで環境が変化しやすい女性に比べて、家と職場を往復するだけの傾向が強い男性サラリーマンにおいては、定年後の環境の変化はとても大きく感じることでしょう。なかでも人間関係の希薄さが浮き彫りになるケースが多く、男性の孤独化が進む要因の1つです。女性の場合、仕事仲間に限らず、趣味や習いごと、子育てを通してできたママ友、地域との繋がりで知り合った人などと積極的に遊び、人間関係を広げていく傾向がある一方で、男性は、休日も仕事仲間とゴルフや飲み、といった仕事繋がりの関係性が多いため、定年後にその人間関係が途切れた際の孤独化がより一層深刻になってしまうのです。このように、環境の変化がもたらす影響は多大です。孤独化を避けるためにも、どんな変化が将来起こりうるかを事前に確認してみましょう。

①自由な時間をもてあます

 やるべき目的や目標が明確な仕事で費やす時間が大半を占めていた生活から一転し、自由な時間を与えられることで、その時間をどう使えばいいか見出だせない、また趣味や目的をもった時間を上手に使えず、ひたすら家にこもってしまう人もいます。

②家庭内に共通の話題がない

 職場では通用した価値観や肩書も定年後はただのイチ個人に戻ることで、これまでの言動が他人に受け入れられないケースもでてくるでしょう。肩書きがなければ、人と上手に会話できないという人もいるかもしれません。

③職場での価値観や肩書きが通用しない

 家族との時間が増えることで、今まで知らなかった家庭事情を目の当たりにすることも。仕事中心で普段から家族とのコミュニケーションが少なかった男性であれば、妻や子供から疎まれる存在になっている、なんてこともあるかもしれません。それは家族との会話をより一層億劫にさせ、共通の話題を見出だせず、何を話したらいいか分からないという状況に追い込むことにもつながります。

④地域になじめない

 定年後は、「職場」から「自宅周辺」が活動拠点になります。地域コミュニティーに上手に溶け込めるかどうかも重要なポイントになってきます。近所づきあいや地域活動など積極的に外との交流を図れないと自宅にこもりがちになってしまいます。

⑤収入が減る

 退職金や年金の支給があっても、定年前に比べれば収入は減ることが予想されます。一方、医療費や介護など、思わぬ出費がかさむのもこの年齢。金銭的な余裕がないと思うと内にこもりがちになり、孤独を煽ることにもつながります。

自殺に発展してしまうケースも

 日本では98年以降、12年間連続で自殺者が3万人を超えています。この中で割合が高いのが50代、60代です。原因は人それぞれでしょうが、もし、失業(退職)や、生涯未婚、熟年離婚、家庭不和などの様々な状況からもたらされる社会的孤独が、自殺にまで追い込んでしまう要因のひとつだとしたら、非常に残念なことです。

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