2公的介護保険制度の施設から選ぶ
公的介護保険制度の施設はどの施設も、65歳以上で要介護度1以上であれば、費用の1割自己負担で利用が可能です。要支援1・2の人は利用することができません。施設は利用する人の身体の状況(要介護の程度)によって決まります。費用は1割の自己負担で済みますので比較的低額で利用することができますが、入居希望者が多く、通常は入居までに相当期間待たなければならないのが難点です。
費用は施設サービス費の1割
サービスにかかる費用は1割の自己負担ですが、施設の状況や要介護度、居室のタイプによって金額は異なります(表2)。
表2 施設サービス費の目安
*ユニット型個室の場合(1か月30日で計算)
①介護老人福祉施設 | ②介護老人保健施設 | ③介護療養型医療施設 | ||||
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施設サービス費 | 自己負担額 | 施設サービス費 | 自己負担額 | 施設サービス費 | 自己負担額 | |
要介護1 | 197,700円 | 19,770円 | 236,700円 | 23,670円 | 234,600円 | 23,460円 |
要介護2 | 218,700円 | 21,870円 | 250,800円 | 25,080円 | 267,000円 | 26,700円 |
要介護3 | 240,600円 | 24,060円 | 270,000円 | 27,000円 | 336,900円 | 33,690円 |
要介護4 | 261,600円 | 26,160円 | 285,900円 | 28,590円 | 366,600円 | 36,660円 |
要介護5 | 282,300円 | 28,230円 | 301,800円 | 30,180円 | 393,600円 | 39,360円 |
※加算費用を含まない基本的な費用の目安です。地域によって異なることがあります。
どの施設も居室は4タイプ
介護保険制度の施設の居室は次の4タイプがあります。
○ユニット型個室:共同生活室(共同リビング・食堂)がある完全な個室。
○ユニット型準個室:共同生活室(共同リビング・食堂)がある個室で、可動式の壁などで仕切られている。
○従来型個室:共同生活室のない個室
○多床室:定員2名以上の部屋。
居住費と食費は全額自己負担
居住費(賃料と水道光熱費)と食費は原則として全額自己負担です。食費はどの部屋でも同額ですが、居住費は居室のタイプごとに異なります(表3)。
表3 1か月あたりの居住費の目安
*ユニット型個室の場合(1か月30日で計算)
居室のタイプ | 標準的な居住費 | 標準的な食費 | |
---|---|---|---|
ユニット型個室 | 60,000円 | 42,000円 | |
ユニット型準個室 | 60,000円 | ||
従来型個室 | 50,000円(介護老人福祉施設は35,000円) | ||
多床室 | 10,000円 |
※低所得者の居住費や食費が上限額を超えた場合は、公的介護保険から標準額と上限額の差額が支給されます。
待機期間が長いことが難点
公的介護保険制度の施設は待機者が多く(表4)、入居までに時間がかかるケースが多いのが実情です。なかでも特別養護老人ホーム(特養)と呼ばれる介護老人福祉施設の入居希望者は多く、待機者は全国で42万人以上にも及びます(厚生労働省「平成21年特別養護老人ホームの入所申込者の状況」)。また順番待ちをしていても、介護度の重い人が優先されることも多く※、早期入居は簡単ではありません。
表4 1施設当たりの定員、在所者数、利用率
定員 | 在所者数 | 利用率 | |
---|---|---|---|
介護老人福祉施設 | 71.8人 | 70.7人 | 98.4% |
介護老人保健施設 | 90.0人 | 83.1人 | 92.2% |
介護療養型医療施設 | 44.4人 | 41.7人 | 93.9% |
<厚生労働省「介護施設・事業所調査」(平成23年)より>
※市区町村によっては要介護の程度や家族の状況などで優先条件が設けられていることがあります。
家族の申込み理由は「家族による介護が困難」がトップ
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への入居申込み理由は、「同居家族等による介護が困難になったため」が5割を超えトップになっています。
家族の申込み理由(複数回答)
○同居家族等による介護が困難になったため…55.6%
○介護する家族等がいないため…19.9%
○施設・医療機関から退所・退院する必要があるため…16.5%
○最期まで看てくれるため…10.1%
○現在の居所での認知症への対応が困難なため…7.3%
○入所費用が安いため…6.3%
○不明・その他・無回答…14.5%
<厚生労働省「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究事業〜待機者のニーズと入所決定のあり方等に関する研究〜」(平成23年)より>
公的介護保険制度では通いや短期で入所することも可能
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への入居申込み理由は、「同居家族等による介護が困難になったため」が5割を超えトップになっています。
○通所介護:デイサービスセンターなどに通って介護や機能訓練を受けます。
○通所リハビリテーション:介護老人保健施設、病院、診療所などに通ってリハビリテーションを受けます。
○短期入所生活介護:介護老人福祉施設に短期入所します。
○短期入所療養介護:介護老人保健施設や介護療養型医療施設に短期入所します。
※居住費と食費は全額自己負担です。
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