1年金は早くもらうことも遅くもらうこともできる
年金の受給時期はどう判断したらいい?
自営業者にもサラリーマンにも、すべての国民に共通する老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳まで保険料を払って65歳からもらえることになっている。
この老齢基礎年金、「繰上げ受給」を選択すれば、もらえる額は減るが早くもらい始めることができ、「繰下げ受給」を選択すれば、もらい始める年齢は遅くなるが額は増える、という制度があることはご存じだろうか?
65歳からもらうか、「少なくても早くから」もらうか、「遅くても多く」もらうか、どう考えて選べばいいだろうか? 選択によって損か得かがあるのだろうか?
"無難に"65歳からを選択
昭和27(1952)年生まれで61歳の男性Aさん(会社員)は、老齢基礎年金は原則通り65歳から受給しようと考えている。理由は特になく、なんとなく「65歳受給がいちばん無難だろう」と思ったから。
Aさんは本来なら、60歳から老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)がもらえるはずだ。
しかし働いて給料をもらっているため、年金額が調整される在職老齢年金の仕組みにより、Aさんの年金は全額が支給停止、つまりゼロになっている。
在職老齢年金がゼロになるくらいの給料をもらっている今、額を減らしてまで老齢基礎年金を前倒しでもらう必要性をAさんは感じなかったということだろう。
ところでAさん、「60歳を前にして年金のパンフレットや書類が送られてきたけど、書いてあることがさっぱりわからなくて、何もしないで放っておいた」というが、周りから「年金請求書だけは提出しておいたほうがいい」と勧められたとのこと。
どうせ年金額はゼロなんだから年金請求書を出しても意味がないだろう、とも思ったが、年金事務所に相談に行き、何度も説明を聞いてようやく理解した。年金請求書を提出しておけば、これから給料が下がって年金の全額支給停止が解除されたときに、自動的に年金をもらえるようになるというわけだ。
最近の年金請求書には、本人の名前・住所・年金加入記録などがあらかじめ印字されているので、署名・捺印など簡単な記入をするだけで書類作成は済む。「わからないから」と放っておくのではなく、とりあえずは最寄りの年金事務所や年金相談センターに相談に行ってみたほうがいいだろう。
ちなみに、年金を受けられるようになってから5年を過ぎると、5年を過ぎた分については時効でもらえなくなるので、請求手続きはやはり早めにしておきたい。
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① 年金は早くもらうことも遅くもらうこともできる