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くらしすとEYE
終活
掲載:2017年2月15日

終活、何をすればいいの?①
〜終い支度ではない、元気が出る終活〜

 

 「終活」という言葉がしばしば聞かれるようになり、前向きなものとして捉えられる時代になっています。それでも、やはり「終活」という言葉に抵抗感があったり、取りかかろうと思ってもどんなことをしたらよいのかわからなかったり、というのが現実ではありませんか? シリーズで終活について特集します。
 今回は、「終活」の考え方について、株式会社東京葬祭・取締役の尾上正幸さんにお聞きしました。尾上さんは、『本当に役立つ「終活」50問50答』(翔泳社)などの著書もある葬儀のプロ。これまでにも、葬儀についてお話を伺っています(記事はこちら)。

「終活」って何?

終活は「人生の再起動」

尾上正幸さん

尾上正幸さん

 「終」という文字からの連想で、人生の終わりに向かって所有物の整理をしたり、亡くなった後の希望を書き遺したりするということが「終活」の一般的なイメージではないでしょうか。でも、こうしたいわゆる「終い支度(しまいじたく)」は、終活の第一義ではありません。終活カウンセラー協会は、終活を「誰にでもやってくる終焉を受け入れて、人任せにしない、自分らしく、生き生きと暮らすための活動」と定義しました。一方、尾上さんは、これを「人生の再起動」と表現します。
 「私が考える終活は、『終焉を意識したときに始める人生活性化計画』、リバイバルプランのことです。さまざまなセミナーでお話をすることがありますが、よく目につくのは、終わりのことばかり気にしているために元気をなくしてしまう『終活疲れ』です。終わりが見えてきたといっても、まだまだ人生は続きます。人生を振り返って希望を見出し、そこからの人生を元気に生きるためのエネルギーをつくることが終活の最大の目的です。そのために私は、新しい目標や夢づくりとしての終活、元気の出る終活をご提案しています。」(尾上さん)
 尾上さんが「終活の達人」と称えるのが、エベレストの世界最高年齢登頂記録をもつ三浦雄一郎さんです。若くしてプロスキーヤー・登山家として活躍したものの、その後、目標を見失い、肥満から高血圧、糖尿病に。生活習慣病を克服するため歩くことから生活改善を行った三浦さんは、歩くことを続けるには目標が必要と考え、65歳のときに「5年後にエベレスト登頂」という目標を設定して70歳で見事達成しました。さらに、75歳、80歳と登頂に成功し、記録を更新しています。そして、その姿を目の当たりにした家族は、彼の年齢という心配を超えて、声援を送ることになります。
 「これこそが終活で残して逝くものであり、そこにつながる自分自身の目標や夢づくりであり、そして、終活の究極の形です」と尾上さんはいいます。「今を生き生きと過ごし、自分らしい生き方をした先に、集大成としての『逝き方』があるんです。」

実務の心配よりも、まず「自分とは?」

 終活というと、まず、さまざまな実務をどう片づけるかということを考えがちです。しかし尾上さんは、「その前に人生を振り返り、自分がどんな人間なのかを知ることが不可欠」だと考えています。「死ぬまでに何をしたいのか/しなければならないのか」ということも、残りの人生を楽しむための新たな目標も、自分が本当に好きだったことや子どもの頃の夢などを棚卸しするなかで初めて見えてくるものだそうです。
 「たとえば、自分史や家系図をつくるなどして、それまでの人生を振り返ってみましょう。自分史などが難しいとしたら、葬儀について考えてみるのもよいでしょう。『どんな葬儀をしたいのか』ということを考えれば、『自分はどんなことが好きだったのだろう』『自分らしさって何だろう』というテーマが自然と浮かんできます。こんなふうに、具体的なことから自分を振り返る作業につなげてもよいと思います。
 コストを抑えた葬儀を考えた方は、そのために知恵をしぼることがご自身らしいといえるのかもしれません。自分らしい葬儀プランと予算を前もって残しておきたいという方でも、いざ具体的な話になると『○○さんのご葬儀がいい式だったから、自分も同じようにしたい』とおっしゃることがあります。でも、それは誰かにとってのよいお式であって、ご自身らしい葬儀ではありません。ささいなことでもかまいません。自分らしい終焉のために、まず本当の自分らしさを見つけてください。きっとそれが、残りの時間を生きる力になるはずです。」(尾上さん)

■人生を振り返るためのヒント

●自分史づくり

 生まれてから現在に至るまでの自分の歴史をまとめるもの。履歴書のように学歴〜仕事・資格取得〜結婚・出産〜居住等を年月順に一覧にしたり、「幼年期」「学生時代」「仕事の記録」「仕事以外の記録(趣味など)」「人生について」といった項目別にエピソードや気持ちなどを交えて記録したり、アルバムを整理するなど、さまざまな方式がある。

●自分史グラフづくり

 人生の出来事と、その時の幸福度・不幸度を示したグラフ。縦軸の上向きに幸福度(1から10まで)、下向きに不幸度(マイナス1からマイナス10まで)の目盛りを打ち、横軸に年齢の目盛りを打つ。印象深い出来事のあった年齢(横軸)とその時の幸福度・不幸度(縦軸)が交わるところに点を打ち、線で結んでいく。人生の起伏が図で表現され、当時はつらくどん底だと思ったことでも、その後、克服してきたことが一目でわかる。今後を生きる力になる。

●家系図づくり

 祖父母、叔父・叔母くらいまで、自分が実感できる範囲の簡単な家系図をつくり、生まれ育った環境を見つめ直す。余力があれば、できるだけさかのぼってみるのもよい。ここから先がわからないという場合は、戸籍謄本を取り寄せたり、菩提寺から過去帳を見せてもらったり、墓石の氏名や没年月日を書き写すなどしてもよい。調べるために出かけたり懐かしい人に会いにいったりすることで、アクティブになれるという利点も。

●葬儀のアナウンスのシナリオづくり

 「昭和○年○月○日、故人○○さんは、父○○、母○○の間に生まれました。時はまさに○○の時代のなか、このような少年であったようです。………最期に『○○○』という言葉を残して逝かれました。」葬儀の司会が行う故人の略歴紹介のアナウンスをまねて、今に至るポイントとなった出来事を抽出し、シナリオを自作してみる。最期に残したい言葉も想像しながらドラマチックに演出するなど、楽しみながら振り返り作業ができる。

いまの姿を周りの人に示す

 終活は自分だけの問題ではありません。自分らしい終焉の迎え方が見えてきたら、身近な人たちに伝えておきたいことも出てくでしょう。想いを引き継いでもらうことも、終活の大切な役割です
 尾上さんは、生き方や言葉が周囲に伝える力を重視しています。
 「自分が生き生きできる活動を見つけられたら、それに一生懸命に取り組む前向きな姿を周りの大切な人たちに見せ、学んだことやこれからの希望をどんどん語っていきましょう。こうすることで周囲の人は伝えておきたい想いを自然に感じとることができます。家族が遺言書を見て『まさかあの人がこんなことを考えていたなんて』と驚かされる話をよく聞きますが、そのようなことも防げます。
 また、死後、周囲の人たちの喪の悲しみを和らげるという点でも、自分の生きる姿を見せるのは大切なことです。家族や友人は前向きな姿を通して元気をもらうことができ、故人とのつながりを感じながらお別れを経験することができるでしょう。記憶に残る生き生きした姿は慰めとなって、その後も愛情を感じながら希望を失わずに生きていくことができます。心に刻まれたその方らしい生き方は、残された人の悲しみを癒すのです。亡くなった方が見せた姿や残した言葉は、いつまでも大切な方を支え、励まし続けます。」(尾上さん)
 葬儀から儀式性が失われ、家族葬など、より簡素な形になっていくことは、自分の望む葬儀ができる時代になったという点ではいいことかもしれません。しかし一方で、死を受け入れ、悲しみを癒す力が葬儀から失われつつあることも事実です。尾上さんは、終活のもつ「グリーフケア(深い悲しみを癒す力)」の側面にも注目しています。

■尾上さんおすすめ、理解が深まる"終活映画"①

『四十九日のレシピ』(監督/タナダ ユキ)

四十九日のレシピ

【ストーリー】熱田家の母・乙美は、あまりに突然逝ってしまった。戸惑う夫の良平(石橋蓮司)と娘の百合子(永作博美)。2人の前に少女イモ(二階堂ふみ)が現れ、残された家族がちゃんと毎日を暮らしていけるようにと母が暮らしのレシピを残したことを伝える。

【尾上さんコメント】大切な母(継母)を失い、その言葉や姿を思い出すのですが、断片的でなかなかつながりません。しかし、初めは空白のように見えた母の人生を周囲の人から教えられることになり、その豊かさ、また過去に育まれた幸せを実感することができるようになります。「知っているようなつもりで、意外と知らない」という現実を突きつけられながら、やがて自分以外の家族や故人の人生年表を通じて、失った人とつながってゆく。多くの支えを感じることができる映画です。

発売・販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD¥4,500(本体)+税、Blu-ray¥5,500(本体)+税
(C)2013「四十九日のレシピ」製作委員会

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終活、何をすればいいの?① 〜終い支度ではない、元気が出る終活〜

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