お話しを伺った日本卓球株式会社の村尾英敏氏(渉外部長)〈右〉と、沼田一十三氏(N-iSOプロモーション部取締役部長)〈左〉お話しを伺ったニッタクの村尾英敏氏(渉外部長)〈右〉と、沼田一十三氏(N-iSOプロモーション部取締役部長)〈左〉

 日本卓球人口がここ数十年で劇的に増えてきましたが、年配の方でも無理なく楽しめる「ラージボール卓球」が新たなブームの兆しを見せています。楽しむ方の世代は主に50歳以上で、上は90歳の方もいらっしゃいます。

 若い時分から卓球をしていた人がラージボール卓球に移行するだけでなく、今まで卓球をしたことのない年配層も積極的に参加してプレイを楽しんでいるそうです。人気の秘密は、ラリーが続きやすいから楽しい、体力が落ちてきた人でも無理なくできる、プレイ場所が身近にあるなどがあげられます。また、高齢者がトライしやすいスポーツなのはもちろん、子どもでもプレイしやすいことから孫と一緒に遊べる数少ないスポーツとも言えるかもしれません。

 幅広い層に親しまれ、その人気がじわじわと広まりつつある「ラージボール卓球」の魅力について、専用のボール開発に携わり、現在その普及活動に従事する日本卓球株式会社(ニッタク)の村尾英敏さんと沼田一十三さんにお話しを伺いました。

気軽にスタート!ラージボール卓球で楽しく健康維持 1気軽にスタート!ラージボール卓球で楽しく健康維持

普通の卓球とどう違う?

 "愛ちゃん"の通称で親しまれている福原愛選手をはじめ、オリンピックでの日本選手の活躍は記憶に新しいかと思います。卓球をやったことがない人でもどんなスポーツかぐらいは誰もが知っていることでしょう。そこでまずは、硬式卓球とラージボール卓球の違いをご紹介します。

ここが違う①:ボールのサイズと重さが違う

 卓球とラージボール卓球との一番の違いはボールの大きさです。卓球で使用するボール(硬式球)は直径40mmで約2.7g。ラージボール卓球で使用するボールは直径44mmで2.2〜2.4g。つまり、ラージボール卓球のボールの方が大きくて軽いのです。また、視界に入りやすい目立つオレンジカラーなのも特徴です。

ここが違う②:ラケットのラバーがつぶつぶ

 ボールに合わせて使用するラケットも専用のものになります。硬式では球があたる接地面であるラバーの表面が滑らかなものやつぶつぶのものが使えるのに対し、ラージボール卓球で使用するラケットのラバーは表面がつぶつぶのみになっています。これにより、ラバーにボールがあたったときの摩擦が少なくなり、回転がかかりづらくなります。

左のオレンジ色のボールがラージボール卓球用、道の白いボールが硬式卓球用左のオレンジ色のボールがラージボール卓球用、
右の白いボールが硬式卓球用

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専用ボールとラケットでラリーの楽しさを実感

 何度も開発&試作を重ねて作られたラージボール専用のボールとラケット。これらはラージボール卓球の魅力となり、より多くの人を惹きつけるスポーツへと進化させました。硬式卓球と異なるボールとラケットを使うことで得られるラージボール卓球の魅力とは何でしょう?

魅力その①:未経験でもトライしやすく、ラリーが続く

 ボールを大きくしたのにはワケがあります。ボールのスピードを落とすためです。そして、視力が低い人にも見やすいという利点があります。同時に表面がつぶつぶの専用ラケットを使うことで、ボールに回転がかかりにくくなります。回転が多く、スピードがつくほど、ラリーは続きにくくなり、経験者と初心者の力量の差が出てしまうのがお約束。でもスピードと回転が落ちれば、未経験者でも打ちやすく、ラリーが続き、その分楽しみも長続きする、これがラージボール最大の魅力でもあります。

 また、ボールを軽くした理由には、開発段階の苦労が背景にあります。当初は今よりも重いボールも検討。ところが、打つときに余計な力が入り、肘や肩を痛める可能性もあります。また、重いとスピードが出て、至近距離での打ち合いは危険でもあるため、改良を重ねて今の軽いボールへと進化したのです。

魅力その②:やりたいと思った時、やれる環境が近くにある

 新しいスポーツをはじめるうえで気にかかること、それは「どこでやれるの?」という点です。それ次第では、そのスポーツの敷居をぐっと高くも低くもします。

 ラージボール卓球は、ボールとラケットの用意は必要ですが、卓球台は硬式と同じものを使用します。つまり卓球台があるところであれば、すぐに始められるのがメリットです。

 皆さんのお住まいの市区町村にある会館やスポーツ施設のほとんどで、卓球台が完備されているので、そうした場所でのプレイが可能です。利用料も安く、天候に左右されることなくできるから気軽に行けます。

 硬式卓球をしに来た人が、受付で「卓球ですか?ラージボール卓球ですか?」と尋ねられ、そこではじめて、ラージボール卓球を知った、という人も少なくないそうです。また、ラージボール卓球では、硬式卓球に比べて、少し高めのネットを利用しますが、その点においてもご安心を。大抵の場所において、どちらのネットも準備があるからです。もし、なくても、大会出場を目指そうという段階でなければ硬式の低いネットで楽しんでもよいでしょう。

魅力その③:無理せず健康維持ができる

 多くのスポーツは、激しい運動を要します。ですが、ラージボール卓球は、そもそも、健康スポーツ、生涯スポーツとして開発され、普及してきたスポーツです。自分の体力や年齢、技術、目的に合わせて無理のない範囲で運動ができること、また安全性の高さもメリットです。

 また近年では、卓球をすることで、体力向上や筋力低下予防はもちろん、脳内の血流がアップすることで、認知症予防や心筋梗塞予防にも役立つといった報告もあります。それは、目でボールを追い、飛んでくるボールに合わせて打ち、ラリーの心地よい音を聞く、と五感が刺激されるためです。そのため、医療の現場でもリハビリの一貫で卓球を取り入れる機関も増えてきているとか。より詳しい健康と卓球の関係については次ページをご覧ください。このように、ラージボール卓球は安心して続けられる健康維持の手段としても最適なのです。

魅力その④:競技性もあって、燃える!

 マラソンや筋トレのような1人スポーツとは異なり、2人以上でやるスポーツなので、社交の場としても楽しみが増えます。また、生涯スポーツと競技スポーツを見事に融合させたスポーツであり、勝敗があるのも、楽しみ持続=スポーツ持続のコツ。負けてしまったら、次回こそ!と練習しますし、勝ったらその嬉しさにまた頑張りたくなる、こうした勝敗あるスポーツであることも卓球の魅力です。

 ラージボール卓球は、県大会や全国大会もあります。公益財団法人日本卓球協会(JTTA)が主催する年1回の全国大会には、近年3,000人以上もの参加者が会場に集います。予選無しで誰でも参加できるとあって、実力を試そうとする人、ラージボール卓球仲間と交流を図る人、観光目当ても半分…などといった様々な目的で、幅広い世代がこのラージボール卓球を楽しんでいるようです。

サービスを利用するまずは気軽にレッツトライ! 悩んだら卓球専門店へ

 ラージボール卓球について理解できたら、百聞は一見に如かず。

 まずは、必要な道具、ボールとラケットを揃えて、ぜひお近くのスポーツ施設に足を運んでみてください。服装は、動きやすいものであればOK。靴も専用靴がベターではあるものの、まずは動きやすいスニーカーや上履きなどでOKです。気軽にトライできるのがラージボール卓球の魅力なのですから。また、「一緒にやる相手がいない」という方でも、すでに体育館でプレイしている人に声をかけて、仲間にいれてもらう手があります。

 悩んだら、卓球専門店に行くのもおすすめです。というのも、必要道具について詳しく解説してもらえるのはもちろん、ラージボール卓球をやっている会場や、講師を紹介してくれます。詳しくはニッタクのホームページサイト内にある、「卓球場&ショップ」で検索ができるので、活用してみてください。

http://www.nittaku.com/place/

 

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ニッタクの1階に展示されているボールやラケット

 もっとラージボール卓球について知りたい方は、次ページへ。Q&A方式で、ラージボール卓球の魅力を掘り下げます。

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