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くらしすとEYE
終活
掲載:2013年8月15日

葬儀代だけでは済まないお寺の費用

  お寺の役割ってなに?

お寺とのかかわりって葬儀で終わりじゃないの?

 みなさんは、全国にお寺がいくつあるかご存じですか。
 日本には約77,000ものお寺があります※1。近年は、お寺を支える経済基盤の弱体化や後継者がいないなどの理由で、その2割は廃寺ともいわれますが、それでも都市生活に不可欠とされるコンビニエンスストアの全国店舗数(約47,000)※2を軽く上回る数です。
 しかし、その数に相応するほど、私たちの生活はお寺とかかわりをもっているのでしょうか。
 第一生命経済研究所の調査では、全体の8割近くの人が1年に1度以上お寺を訪れると答えています。目的は「お墓参り」が最も多く、「観光・旅行」「法事」と続きます(図1)。こうしてみると、お寺とのかかわりは意外にも多岐にわたり「葬儀だけでは終わらない」ということがわかります。
 亡くなった人の葬儀を済ませると、四十九日の法要とあわせて納骨した後も、百か日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌……三十三回忌と、弔い上げまで年忌法要は続きます。また、お墓参りの先祖供養も、お盆、春秋のお彼岸、命日、年末・年始と、年に何度もあります。
 日常で特に深くかかわっているわけではないけれども、どこか頭の片隅で意識をしているのが「お寺とのつながり」なのかもしれません。

※1:文化庁「宗教統計調査」(平成24年度)より
※2:日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計年間集計(平成24年1〜12月)より

図1 寺院を訪れた目的(複数回答)

図1


<第一生命経済研究所「寺院とのかかわり〜寺院の今日的役割とは」(平成21年)より>

お寺は教育・福祉・文化の拠点だった

 お寺というと「葬儀を行うところ」といったイメージがありますが、もともとは葬祭や布教の場であるだけでなく、地域における教育や福祉、文化の拠点としての役割を担っていました。江戸時代に生まれた「檀家制度」と呼ばれる仕組みによって、お寺は行政機関の権限をも担うようになり、お寺と地域住民の生活は強く結びつくようになりました。

あなたの家は檀家制度に入っている?

 「檀家制度」は、他の仏教国には例をみない日本独特のシステムです。檀家とは、<お寺に帰属し、施しをする契約を結んだ家>のこと。つまり、特定の寺が葬祭供養を執り行う代わりに、財施(ざいせ。お金や物品の施し)によりお寺を扶助する仏教信者の家を指します。
 檀家制度(寺請制度)の始まりは1638年(寛永15年)。宗教統制政策を打ち出した江戸幕府は、誰もが必ずどこかの仏教寺院に信者として帰属することを義務づけ、現在の戸籍にあたる宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)に各戸の宗旨と菩提寺(信者の帰属寺院)名を記載して、その内容を寺院に保証させました。寺の「檀家」となれば、反体制的キリシタンではない仏教信者として身分を認められたことになります。
 こうしてお寺が獲得した「檀家」に対し、幕府は菩提寺への参拝やお布施を義務づけたため、寺にとって檀家は"顧客"であり、安定した収益基盤でした。
 さて、こうして生まれた寺と檀家の関係ですが、近年はその結びつきが薄れ始めています。
 先祖代々の墓は、いわば「墓質(はかじち)」となって寺の境内にあるため、寺檀関係を解消することは今まではまれでした。しかし昨今、核家族化やイエ意識の希薄化、少子化や都市部への人口流出によって、お寺をとりまく環境は大きく変化しています。
 日本の伝統仏教は、檀家制度という強固な集金システムに守られたため、現在は葬儀だけを執り行う「葬式仏教」と揶揄されるまで形骸化したともいわれます。人々の悩みを聞き、布教するという宗教本来の役目を怠ったお寺は、淘汰される時代を迎えつつあります。

■寺離れと昨今のお寺の経済事情

 文化庁「宗教統計調査」によると、伝統仏教の檀信徒数は、1990年代に比べ、ここ20年で約2,000万人も減少しています。檀家となっている寺から墓を移し、お寺との付き合いを解消する「寺離れ」が進み、寺のお布施収入も減少し始めています。
 檀家の寺離れの背景にあるのは、信仰心の低下に加え、お寺との永続的な付き合いやお布施を通じて寺院経営を支えることが人々にとって重荷となっている点が挙げられます。
 経済的な困難は檀家だけではありません。お寺の側も厳しさを増しています。末寺から宗派への賦課金が減少するなか、離脱する末寺も現れるなど、宗派自体も弱体化の傾向にあります。
 住職を対象にした調査では、こうした経済事情や後継者不足を理由に、このさき20年後の護持・運営を「厳しい」または「できない」と危惧する寺が6割を超えました。

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