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︱2019.3.15 3月号 (通巻717号) Vol.72

掲載:2019年3月15日
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神奈川県横浜市 健康福祉局生活福祉部保険年金課国民年金係

全国一人口が多い都市・横浜市は
広報事業と職員研修に力を入れる
本年最大の業務課題は今年10月施行の
年金生活者支援給付金事務
専任職制度による人材育成や
市民サービス向上に向けて取り組む

 2002年、国民年金保険料の収納事務が国へ移管されたのに伴い、市区町村には事務の効率化が求められ、人事面においては、正規職員の削減、非常勤職員の活用等が進められた。
横浜市は20年以上前から専任職制度を設け、年金業務のスペシャリストが市民サービスの向上に貢献しつつ、市職員の人材育成にも励む。横浜市の国民年金事業について、健康福祉局生活福祉部保険年金課国民年金係の外山伊知郎係長専任職の安室専任職にお話を聞いた。

細分化された大都市の行政サービスを担うスペシャリストに
20年以上前に専任職制度を導入するも年金では現在3名

――国民年金の事務が法定受託事務となってから、国民年金事務については人員削減がなされたのではないでしょうか。

安室専任職 収納業務を国に戻したのが2002年でしたが、それ以降、人員が大幅に減りまして、少規模区だと係長、職員及び嘱託員を含め5名体制で国民年金の事務に当たっている区が多くあります。そうしますと、人事異動の際には、日常的な窓口運営や継続的な人材育成を進めるうえで、とても厳しいものがあります。

――国民年金事務を市民サービスの向上を図りながらも、効率的に対応していくため、人事面で何か有効な手立てを打っているのでしょうか。

安室専任職 横浜市には専任職制度があります。私は今年度から国民年金業務担当の専任職になりましたが、職員Ⅲの職にあり年金の業務を5年間以上経験し昇任選考に合格する必要があります。年金のほか、健康保険、戸籍などの業務において、専任職制度があるのですが、健康保険については各区に専任職が1名程度配置されているのに対して、年金の専任職は少なく、現在は3名です。内訳は、私が市役所の国民年金係にいるほか、もう1名は国に出向、もう1名は区役所に配置されています。
 専任職については、専門的な知識や経験をもとに日々の国民年金の事務に当たっていくとともに、人材育成も大きな役割としてあります。特に年金業務は専任職が少ないので、人材育成が急務の課題です。
 このため、研修には、かなり力を入れています。4月の異動時に新たに国民年金係に配属された職員を対象とした初任者研修では専任職が中心となって講師を務めています。また、この他に、経験年数で分けて、初任者向けのフォローアップ研修と中・上級者向けのスキルアップ研修を行っております。
 フォローアップ研修では、まず研修の企画・運営協力者を区職員の中から募集します。そして、専任職と企画・運営協力者が一緒に研修のテーマ決めや資料作成などを行います。当日は、事例に基づくグループワークにより、参加者全員で、業務対応や解決策等を考えるよう研修に取り組んでいます。昨年11月に実施したフォローアップ研修では、「申請免除における所得判定の計算方法」「死亡に関する届出」「障害基礎年金」の3つをテーマとしました。
 一方、中・上級者向けのスキルアップ研修では、年金制度に精通する外部講師に依頼して、講演会を実施しました。2018年度は「年金が辿った道と今後の展開」を演題に、①国民年金の沿革(地方分権、2000~2002年における国民年金事務の見直し等)、②マクロ経済スライドの改定ルール、③年金制度の改正の方向性(高齢期の多様は年金受給の在り方など)――についてお話ししていただきました。ちなみに2017年度は受給資格期間短縮をテーマとしました。来年度は、例えば外国人の年金制度の取り扱いなど、なるべく旬のテーマで研修を実施できたらと考えています。

――年金はやはり専門的な知識が求められますので、事務対応に慣れたころに他部署へ異動があったりすると、事務が回らなくなってしまいますね。

安室専任職 そうですね、本来は各区に1人、専任職がほしいところです。ほかの市区町村に聞いても、専任職制度を採用しているところはあまり聞きません。この前も湾岸5市会議(横浜市のほか、千葉市、さいたま市、川崎市、相模原市で構成)という、近隣5市が年2回集まって情報共有する会議があるのですが、どこの市からも結構、人材の確保が大変だと聞いています。

――横浜市の専任職制度はどのような制度ですか。

外山係長 専任職制度は、いわゆる係長、課長と昇任していくコースとは別にスペシャリストを育てていく人事制度で、スペシャリストには全庁的な視点を持って人材育成や課題解決等に取り組むことが役割で、いわゆる昇任の複線化ということで導入された制度です。
 特に横浜市は大都市なので一人ひとりが担当する分野が細分化されていることから、部署を異動してしまうと身に付けたスキルが役に立たないということにもなってしまいます。その意味では業務を少ない人数で回していくと、どうしても人材育成して、伝えて行かなければいけない、技術の伝承ということが必要になってきたことから、この制度を導入しました。

――専任職制度は国民年金事業を支えるうえでも効果的な人事制度となっているようですね。

外山係長 年金はなかなか複雑な制度で、過去の経緯もわからないといけませんし、その一方で、オールマイティーに全分野を把握するのも難しいため、年金制度において、専任職は欠かせない存在です。

安室専任職 私が年金業務に携わった平成24年度以降も、「保険料免除の2年遡及」「被用者年金制度の一元化」「受給資格期間10年短縮」などの大きな制度改正がありましたが、今後も、マイナンバーを活用した情報連携や年金生活者支援給付金の実施などを控えております。引き続き、日本年金機構との連携・協力、他都市との協力を深めるなど、本庁と区役所係が一丸となって取り組んでいきたいです。

――年金制度に情熱とスキルを持った職員が横浜市の国民年金制度を支えているというわけですね。今日は取材にご協力いただき、ありがとうございました。

中央が原田正俊保険年金課長、右が外山伊知郎国民年金係長、左が安室専任職。

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