Ⅰ 平成31年度の新年金額情報!
平成31年度の新しい年金額についての情報が、1月18日(金)に公表されました。
毎年1月の最終金曜日ということで、1月25日(金)に公表されると思っていた人も多かったのではないでしょうか?
厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査問題の関係で、1週間早まったという人がありましたが、それはちょっと穿った考え方だと思います。
というのは、年金額の改定額を算出するためには、総務省の公表する「全国消費者物価指数」がわからなければなりません。
総務省のHPによれば、消費者物価指数について、「2018年1月分以降の全国結果の公表を、26日を含む週の金曜日の午前8時30分から1週間早期化した」ということで、「消費者物価指数は、全国の前月分指数を、原則として毎月19日を含む週の金曜日の午前8時30分に公表する」と変更になっているからです。
2019年1月19日(土)を含む週の金曜日というのは、1月18日(金)。その日に、総務省から「平成30年平均の全国消費者物価指数」が公表されたので、厚生労働省年金局では、平成31年度の年金額の改定をプレス発表した、ということになります。
ということで、来々年度・2020年度の年金額の公表がいつになるかということですが、「2020年1月19日(日)を含む週の金曜日というのは、1月24日(金)」になりますので、いまからもう気の早い話ですが、2020年度の年金額の改定額が公表されるのは、2020年1月24日(金)ということになります。
それでは、筆者が確認できた範囲内で、平成31年度の年金額についてお伝えしていきます。 正式には、3月末の政令によることになりますが、年金相談の現場では、「正式に決まっていないので、平成31年度の年金額についてはお答えできません」、というわけにもいきませんので…。
(1)平成31年度の主な新しい年金額
平成31年度の新しい年金額については、【図表2】【図表3】【図表4】【図表5】【図表6】のとおりになります(予定)。
厚生労働省から公表されているように、すでに年金を受給している人は、平成30年度と比べると、原則として、0.1%の増となります。
年額で200万円の年金を受給している人は、単純な話、年間2,000円年金額が増えることになります。
高齢になってくると、働いている高齢者でも、給料が上がるということが難しい時代、働いていないのに、といっては怒られてしまいますが、金融機関の普通預金の金利というか利息が、0.1%付かない時代に、たいへんありがいたいことです。
これがやはり、基礎年金や厚生年金など、公的年金の強みというところでしょうか。
老齢基礎年金の満額は、平成28年度の780,100円と同額!
さて、平成31年度の老齢基礎年金の満額は、平成30年度の779,300円から0.1%増えて、780,100円になります。
この金額、どこかで、見覚えがありませんか? そうです、平成28年度の老齢基礎年金の満額と同じ金額となります。
実は、被用者年金制度の一元化のあった平成27年10月、その平成27年度の老齢基礎年金の満額も、平成28年度と同じ780,100円でした。
つまり、平成27年度と平成28年度の老齢基礎年金の満額が780,100円と2年連続同じ金額で、平成29年度と平成30年度の老齢基礎年金の満額は779,300円で、やはり2年間同じ金額でした(【図表1】参照)。
言葉で説明するよりも、【図表1】を見てもらったほうがわかりやすいでしょう。
【図表1】老齢基礎年金の満額の推移
老齢基礎年金の満額を求めるためには、「改定率」を算出する必要がある!
平成29年度と平成30年度の老齢基礎年金の満額は同じ金額でした。
では、なぜ、平成31年度の老齢基礎年金の満額は、平成30年度の老齢基礎年金の満額と同額にならず、平成28年度と同じ年金額になったのでしょうか?
マクロ経済スライドの「調整率」は適用されたのでしょう? 難しい言葉ですが「キャリーオーバー(未調整分)」はどうなったのでしょうか?
老齢基礎年金の満額を算定するためには、「改定率」という数値を算出しなければなりません。ここに、「調整率」「特別調整率(キャリーオーバーされた未調整分のこと)」が関係してくるのですが、まずは平成31年度の主要な年金額を見ていきましょう(【図表2】参照)。
年金額の算出方法を示してあります。
【図表2】平成31年度の年金額(計算過程も表示)
■老齢基礎年金(満額)
780,900円×改定率(0.999) =780,119.10円
≒780,100円(100円単位)
■障がい基礎年金(1級)
780,100円×1.25=975,125円(1円単位)
■子の加算額
(障がい基礎年金・遺族基礎年金)−1人目・2人目−
224,700円×改定率(0.999)=224,475.30円
≒224,500円(100円単位)
(*子の加算額のうち、遺族基礎年金については、配偶者に支給される遺族基礎年金の1人目・2人目の金額である。)
■配偶者加給年金額
(夫に加給年金額が加算され、夫の生年月日が昭和18年4月2日以後生まれの場合。妻が年上で、妻に配偶者加給年金額が加算される場合も同様。)
224,500円+165,800円×改定率(0.999)
=224,500円+165,634.20円
≒224,500円+165,600円(100円単位)
=390,100円(100円単位)
■中高齢寡婦加算
(遺族基礎年金の4分の3)
780,100円×3/4
=585,075円
≒585,100円(100円単位)
(2)老齢厚生年金の年金額の算定式 −平成31年度の本来水準と従前額保障−
【図表3】平成31年度の年金額の算定式
−老齢厚生年金の年金額の算定式−
(昭和21年4月2日以後生まれの場合)
★老齢厚生年金の年金額の算定式★
(昭和21年4月2日以後生まれの場合)
■報酬比例部分(本来水準)
平均標準報酬月額×7.125/1000×加入月数+
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
=〇〇円(1円単位)
*平均標準報酬月額・平均標準報酬額は平成31年度の再評価率による。
■報酬比例部分(従前額保障)
{平均標準報酬月額×7.5/1000×加入月数+
平均標準報酬額×5.769/1000×加入月数}×0.998(従前額改定率)
=〇〇円(1円単位)
*平均標準報酬月額・平均標準報酬額は平成6年の再評価率による。
**従前額改定率は、昭和13年4月2日以後生まれの人の場合、0.998となる。
昭和13年4月1日以前生まれの人の場合、1.000となる。
■定額部分
1,626円×加入月数(480月が上限)
=〇〇円(1円単位)
*定額単価1,626円は、1,628円×0.999(改定率)による。
■経過的差額加算
(20歳から60歳まで40年間被用者年金保険に加入した場合)
1,626円×480月−780,100円×480月/480月
=780,480円−780,100円
=380円
(3)地方公務員共済組合の経過的職域加算額(退職共済年金)の年金額の算定式
−平成31年度の本来水準と従前額保障−
【図表4】平成31年度の年金額の算定式
−経過的職域加算額(退職共済年金)の年金額の算定式−
(昭和21年4月2日以後生まれの場合)
◆経過的職域加算額(地方公務員の旧3階部分)◆
(昭和21年4月2日以後生まれの場合)
■20年以上組合員の場合(本来水準)
平均給料月額×1.425/1000×組合員期間(入庁から平成15年3月までの組合員月数)+平均給与月額×1.096/1000×組合員期間(平成15年4月から平成27年9月までの組合員月数)
=〇〇円(1円単位)
*平均給料月額・平均給与月額は平成31年度の再評価率による。
*20年未満の給付乗率は、1.425は0.713、1.096は0.548と読み替える。
■20年以上組合員の場合(従前額保障)
{平均給料月額×1.5/1000×組合員期間(入庁から平成15年3月までの組合員月数)+平均給与月額×1.154/1000×組合員期間(平成15年4月から平成27年9月までの組合員月数)}×0.998(従前額改定率)
=〇〇円(1円単位)
*平均給料月額・平均給与月額は平成6年の再評価率による。
*20年未満の給付乗率は、1.5は0.75、1.154は0.577と読み替える。
*従前額改定率は、昭和13年4月2日以後生まれの人の場合、0.998となる。
昭和13年4月1日以前生まれの人の場合、1.000となる。
◎(参考資料)経過的職域加算額の給付乗率
−昭和21年4月2日以後生まれの人の場合−
【本来水準】の給付乗率
【従前額保障】の給付乗率
(4)平成31年度の振替加算の加算額(老齢基礎年金)
【図表5】 平成31年度の振替加算の加算額(老齢基礎年金)
(5)平成31年度の経過的寡婦加算の加算額(遺族厚生年金)
【図表6】 平成31年度の経過的寡婦加算の加算額(遺族厚生年金)