厚生年金は3兆円の黒字、国民年金は493億円の黒字
平成29年8月10日厚生労働省は「厚生年金・国民年金の平成28年度収支決算の概要」を公表した。公表によると、厚生年金の平成28年度収支は、歳入48兆7,555億円、歳出45兆6,595億円となり、差額はプラス3兆960億円であった。前年度比較でみると、歳入はプラス3兆5,911億円、歳出はプラス2兆7,587億円であった。歳入が増加した主な理由は、被保険者数の増加や保険料率の引上げにより保険料収入が増えたこと、被用者年金一元化の満年度に伴い実施機関からの拠出金収入が増えたことである。歳出が増加した主な理由は、年金受給者数の増加により給費が増えたこと、被用者年金一元化の満年度に伴い実施機関への保険給付費交付金が増えたこと、基礎年金勘定への繰入が増えたことがある。
一方、国民年金の平成28年度収支は、歳入4兆4,309億円、歳出4兆3,816億円となり、差額はプラス493億円であった。前年度比較でみると、歳入はプラス1,962億円、歳出はプラス2,627億円であった(表1)。被保険者数の減少により保険料は69億円減少しているが、一般会計からの受入(国庫負担)や年金積立金管理運用独立行政法人からの納付金が増えたことにより、歳入が増加したとみられる。また、給付金も減少しているが、基礎年金勘定への繰入が増加したため、歳出が増加となっている。
なお、平成28年度決算決了後の年金積立金は、厚生年金110兆3,320億円(時価ベースで144兆4,462億円)国民年金7兆3,185億円(同、8兆9,668億円)となり、合計で117兆6,506億円(同、153兆4,130億円)であった。
表1 厚生年金・国民年金における平成28年度収支決算