厚生年金保険の保険給付・保険料納付の特例について法施行状況を報告
国会報告の根拠について
特例法第15条では、政府はおおむね6月に1回、地方年金記録訂正審議会の調査審議の結果の概要と特例納付保険料の納付の状況等法律の施行状況を国会に報告することが求められている。
特例納付保険料とは
特例法により、保険料徴収の2年の消滅時効が成立した保険料分について、被保険者からの保険料天引きの事実があるにもかかわらず、事業主の保険料納付の事実が明らかでないと年金記録の訂正の答申を行った場合、厚生労働大臣は年金記録の訂正を行い、事業主等に保険料納付の勧奨を行うことができる。
厚生労働省は平成29年7月25日、厚生年金保険の保険給付及び保険料納付の特例について、法律(平成19年法律第151号。以下、特例法)第15条に基づいて国会に報告を行った。平成20年7月以降、今回で19回目の報告となるが、平成27年4月1日~平成29年3月31日において地方年金記録訂正審議会が年金記録の訂正の答申を行った事実と、年金事務所で記録訂正が可能と判断した事案、及び平成19年6月22日~平成27年3月31日において、総務大臣から厚生労働大臣に対して年金記録の訂正のあっせんが行われた事案と年金事務所において年金記録の訂正が可能と判断した事案の施行状況が対象となった。
【平成27年4月1日~平成29年3月31日において地方年金記録訂正審議会が年金記録の訂正の答申を行った事実と年金事務所で記録訂正が可能と判断した事案】
○年金記録を訂正する必要があるとみとめられた厚生年金保険関係の件数
全体的な件数は9,156件であった。うち、厚生年金保険関係の答申件数が448件、特例法第1条第1項に基づく答申件数等が1,921件、特例法第1条第2項に基づく訂正件数等が6,908件となっている。
○特例法に基づく答申等により厚生労働大臣が記録を訂正した件数
件数は8,829件であった。
○特例納付保険料の納付の状況等
特例納付保険料の総額は956,034,485円であった。件数は、年金事務所が納付を勧奨した件数が8,274件、事業主から納付の申出があった件数が7,532件、納付が行われた件数が6,861件(648,712,339円)などとなっている。
○事業主が納付に応じない場合であって、一定期間経過後に国が負担した特例納付保険料の額に相当する額の総額等
特例納付保険料相当額が国を負担した件数が61件、国が負担した特例納付保険料相当額の総額が20,643,906円となっている。
【平成19年6月22日~平成27年3月31日において総務大臣から厚生労働大臣に対して年金記録の訂正のあっせんが行われた事案と年金事務所において年金記録の訂正が可能と判断した事案】
○年金記録確認第三者委員会における調査審議結果について
厚生年金保険関係のあっせん件数は105,928件、特例法に基づくあっせん件数等(事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案、事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案)が92,538件であった。
○特例法に基づくあっせん等により厚生労働大臣が記録を訂正した件数
件数は92,538件であった。
○特例納付保険料の納付の状況等
特例納付保険料の総額は9,692,374,274円であった。件数は、年金事務所が納付を勧奨した件数が85,241件、事業主から納付の申出があった件数が74,297件、納付が行われた件数が66,188件(6,701,580,979円)などとなっている。
○事業主が納付に応じない場合であって、一定期間経過後に国が負担した特例納付保険料の額に相当する額の総額等
特例納付保険料相当額が国を負担した件数が8,590件、国が負担した特例納付保険料相当額の総額が3,705,240,959円となっている。