長野北年金事務所(長野県長野市)
「牛にひかれて善光寺参り」の言葉で知られる善光寺(長野市)。長野五輪の開会式では「平和の鐘」として善光寺の鐘が開会の合図を告げた。
北陸新幹線開業に伴い、善光寺の門前町をイメージする駅舎にリニューアルされた長野駅。
栗の産地であり、葛飾北斎が過ごした小布施町。道は花や緑でいろどられ、趣のある街並みに整備されている。
岩松院(小布施町)には、葛飾北斎の晩年の傑作といわれる天井画「八方睨み鳳凰図」や、小林一茶が「痩せかえる 負けるな一茶 これにあり」と詠んだといわれる「蛙合戦の池」がある。
建立600年以上になる浄光寺(小布施町)。自然石の石段に圧倒される。
まずは土地を理解することから適用調査をスムーズに
高野勇樹厚生年金適用調査課長は、東京都の港年金事務所国民年金課、千代田年金事務所の国民年金課長を経て、平成28年12月に長野北年金事務所に着任した。「雪国への赴任は初めてで、雪かきも初めて経験しました(笑)」(高野課長)。
管内の事業所数は約4,500件。特徴としては、家族経営の小規模な事業所が多いことと、農業経営者が多いということが挙げられる。法人化はしているけれど、実態は「お父さんが社長で、お母さんや子ども、おじいちゃん・おばあちゃんら家族が社員となってキノコ栽培をしています」というような事業所も多い。
「社員として働いている家族の中には70歳を超えたおじいちゃんとかもいて、適用にしようにも『もう年金をもらっているのに加入するの?』ということになる。国の一律の基準に当てはめようとすると無理が感じられる事業所も多いですが、適用しなければいけないというのが難しいところです」(高野課長)。
調査に関して苦労しているのは、家族経営のため帳簿や出勤簿を付けていない事業所もあること。「出勤簿を見せるように言ったところ『俺が毎日店番しているんだから、出勤簿なんかなくてもわかる』『出勤簿は俺だ』と答えた社長さんもいらっしゃいました(苦笑)。『出勤簿は俺だということでしたら、手書きでもいいのでノートに書いて出してください』とお願いしました」(高野課長)。
また、農業には繁忙期と閑散期があり、事務所に来てもらう必要があっても「繁忙期だから行けない」と言われるのが難しいところである。
赴任して半年ということもあり、いまはまず管内の土地を理解することも課題。「小布施(おぶせ)」「上水内郡(かみみのちぐん)」「下水内郡(しもみのちぐん)」など読み方が難しい地名も多いため、地元出身の職員に教えてもらったりしながら覚えている。
管轄地域は新潟県との県境にまで及ぶため広く、遠いところは車で片道約2時間かかる。さらに、冬は積雪のためなかなか行きにくい。訪問はなるべく夏のうちに行いたいと考えている。
今後の目標については、「行動計画を年度末に達成しなければいけませんが、適用と調査の両面で努力し、後半の早い時期に達成したいです」と語る。