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年金広報タイトル

︱2016.12.15 12月号 (通巻690号) Vol.45

掲載:2016年12月15日
年金講座

受給資格期間の短縮、黄色い封筒で郵送!
短マークの年金請求書!
-平成29年2月末頃から5回に分けて発送予定-

筆者プロフィール 長沼 明(ながぬま あきら)

浦和大学総合福祉学部客員教授。志木市議・埼玉県議を務めたのち、2005年からは志木市長を2期8年間務める。日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員を歴任する。社会保険労務士の資格も有する。2007年4月から1年間、明治大学経営学部特別招聘教授に就任。2014年4月より、現職。主な著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(2015年、年友企画)、『年金相談員のための被用者年金一元化と共済年金の知識』(2015年、日本法令)

 年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されます。これまでは、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」、それに「合算対象期間、いわゆる、カラ期間」(たとえば、任意加入期間であった専業主婦(昭和61年3月まで)や学生の期間(平成3年3月まで)の期間)を合わせて、原則として、25年以上ないと年金が受給できなかったのが、10年でよいことになります。
 施行日は平成29年8月1日で、全国で約64万人の人が、はじめて年金を受給できるようになると見込まれています。(詳細は16年9月号の本誌参照)

▶ http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/vol42/pro-lecture/pro-lecture-01.html

 今月号では、年金の受給資格期間短縮の基本的な事例について、考えていきます。

受給資格期間の短縮、黄色い封筒で郵送! マークの年金請求書!
〜平成29年2月末頃から5回に分けて発送予定〜

(1)

平成29年2月末頃から平成29年7月までに送付 −黄色(レモン色)の封筒に要注意!−

 これまでの国会審議におけるマスコミ報道や『年金実務』(社会保険実務研究所刊)など年金専門誌などで伝えられている情報を総合すると、日本年金機構は、新たに受給資格を満たしたと把握されている人に対して、平成29年2月末頃より、5回に分けて、【年金請求書】を送付し、請求の勧奨を行うという。
 従来の【年金請求書】(ターンアラウンド)と区別するために、濃い緑色の封筒ではなく、黄色(レモン色)の封筒で郵送するという。
 また、【年金請求書】には、の文字が印字され、用紙の表紙の色も黄色で区別するという。
 いずれにしても、色などで区別することにより、問い合わせの際に、まず、「封筒の色」「請求書の表紙(用紙)の色」「請求書にの文字があるかどうか」を確認することで、問い合わせの趣旨を瞬時に察することができます。そのために、このような工夫がなされているものと認識しています。
(注:筆者が現時点で把握している情報であり、実際に送付されるものは、ここに記載した内容と異なる場合があることをおことわりしておきます。)

(2)受給資格期間の短縮となる年金

 本誌16年9月号でも触れたように、『年金制度改正の解説−平成26年4月改訂版』(社会保険研究所刊)等によれば、受給資格期間の短縮となる対象の年金とは、【図表1】のとおりです。

【図表1】受給資格期間の短縮となる対象の年金

①老齢基礎年金
②老齢厚生年金
③退職共済年金(経過的職域加算額)
④寡婦年金
⑤旧国民年金法に基づく通算老齢年金
⑥旧厚生年金保険法に基づく通算老齢年金
⑦旧船員保険法に基づく通算老齢年金
 ※老齢年金(旧陸軍共済組合等の組合員であった期間を有する者)

など

 なお、詳細は本誌16年9月号をご参照ください。

▶ http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/vol42/pro-lecture/pro-lecture-01.html
(3)

受給資格期間が短縮された10年の加入期間で老齢厚生年金を受給している場合、その夫が死亡しても、遺族厚生年金は支給されない!

 【事例A】で考えていきましょう。
 たとえば、国民年金に加入していたときは、すべて滞納で、会社勤めをしていたときの10年間だけ(30歳から40歳まで)厚生年金に加入していた70歳(平成29年8月1日現在)になる男性がいたとします。
 すると、平成29年8月1日に受給権が発生し、平成29年9月分から年金が受給できるようになり、手続きが順調に進めば、平成29年10月13日(金)に、年金が振り込まれることになります。
 年金額の算定については、【事例A】をご参照してください。
 しかしながら、この男性の場合、受給資格期間が10年の短縮で受給権の発生した老齢厚生年金ですので、仮に、年金を受給しはじめて1年あまりが経過した平成30年12月15日に死亡したとしても、生計維持関係のある妻に遺族厚生年金は支給されないということになります。
 このように、長期要件の遺族厚生年金の受給要件は、法改正前と変わりありませんので、注意が必要です。
 年金相談の際は、受給できると勘違いしては困りますので、相談者には、その旨、伝えておいたほうがいいかもしれません(縁起でもないことを言うと怒られるかもしれませんが、伝えておかないと、あとで、遺族から何も聞いていなかったとか、何も言われなかったので、当然、遺族年金をもらえると思っていたとか、後日、トラブルのもととなっても困りますので、その場の雰囲気を踏まえ、じょうずに説明してください)。
 なお、詳細は本誌16年9月号をご参照ください。

▶ http://kurassist.jp/nenkin-kouhou/vol42/pro-lecture/pro-lecture-01.html ケーススタディ

昭和21年11月30日生まれ。男性。70歳(平成29年1月15日現在)。

■30歳から40歳まで、厚生年金保険に加入。
 (平均標準報酬月額:15万円)
■20歳から30歳まで、40歳から60歳まで国民年金滞納。

☆老齢厚生年金    150,000円×7.5/1000×120月×0.998
(①報酬比例部分)  =134,730円

☆老齢厚生年金    1,626円×120月−780,100円×120月/480月
(②経過的差額加算) =195,120円 −195,025円
           =95円

☆老齢基礎年金    780,100円×120月/480月
 (③)       =195,025円

〇支給される老齢厚生年金(年額) 
  ①+②=134,825円

〇支給される老齢基礎年金(年額)
   ③ =195,025円

●受給資格期間短縮で支給される年金額
  年額 329,850円(月額約27,487円)


 ただし、25年間の受給資格要件を満たした老齢厚生年金ではありませんので、この夫が死亡し、生計維持要件を満たす妻がいても、妻には遺族厚生年金は支給されません。

(注:平成28年度の年金額をもとに、従前額保障で算定しました)

(4)

脱退手当金を受給している女性に、老齢基礎年金は支給されるのか?
−脱退手当金はどのような場合にカラ期間となるのか−

 【事例B】をご覧ください。
 【事例B】の女性の年金加入歴については、スライドに記載したとおりです。
 国民年金に加入中、国民年金の保険料を納付した期間は5年しかありません。あとはすべて滞納です。
 夫と結婚後(妻25歳のとき)、夫がもしもサラリーマンで、妻が専業主婦であれば、その後、昭和61年3月までの期間については、妻は保険料を納付していなくとも、合算対象期間(カラ期間)として受給資格期間に算入できます。
 しかしながら、【事例B】の場合、夫婦とも自営業でしたので、国民年金の保険料を納付するようになった昭和60年4月前の期間は、すなわち、結婚(25歳・昭和47年4月)後から昭和60年3月までの期間は、滞納期間となります。
 結婚前に脱退手当金を受給した期間が7年間あります。これが、合算対象期間(カラ期間)として算入できるのであれば、

7年(合算対象期間)+5年(保険料納付済期間)=12年≧10年

 

 ∴ 受給資格要件を満たす
 ⇒ 5年間分の老齢基礎年金が受給できる


 支給される老齢基礎年金の年金額
 780,100円×60月/480月=97,513円(年額)

 (注:平成28年度の年金額をもとに算定しました)

 ということになり、平成29年8月1日に受給権が発生し、平成29年9月分からは、老齢基礎年金を受給できるということになります。
 さあ、考えてみましょう。どうでしょうか?

事例B 脱退手当金を受給している事例 -昭和22年4月15日生まれの女性。現在(平成29年1月15日現在)、69歳-

【脱退手当金のポイント】−この事例の場合−

  • 昭和61年3月31日までの厚生年金保険の脱退手当金の支給の基礎となった期間は、保険料納付済期間から除かれる。
  • しかしながら、昭和61年4月1日から65歳に達する日の前日までの間に、保険料納付済期間または保険料免除期間を有することになった人については、昭和36年4月以後の、その脱退手当金の基礎となった期間は、20歳未満であったものも含めて、合算対象期間として、扱われる。

 【脱退手当金のポイント】を参照してください。
 ①昭和61年4月1日から65歳に達する日の前日までの間に、
 ②保険料納付済期間または保険料免除期間を有する
 ということがポイントなります。

 Bさん事例の場合、この要件を満たしていますので、脱退手当金を受給した期間は、合算対象期間に算入され、国民年金の5年間の保険料納付済期間と合わせて、10年に短縮された受給資格要件を満たすことになります。
 したがって、前述のとおり、年額97,513円の老齢基礎年金が受給できるということになります。
 このような方にも、日本年金機構から、黄色の封筒にと記された【年金請求書】(ターンアラウンド)が送付されてくるものと認識しています。

(5)

納付済期間1年、カラ期間9年、受給資格期間10年短縮で、70歳の妻(昭和21年11月30日生まれ)に振替加算(約10万円)は加算されるのか?

 このテーマを考えるにあたり、「事例C」と「事例D」の2つの事例を考えてみましょう。
 まず、【事例C】をみていきましょう。
 加入歴等はスライドに記載してあるとおりです。

納付済期間が25年なくても、振替加算は支給されるのか?

 【事例C】で気をつけるところですが、従来の年金相談の対応と基本的に変わりありません。
 すでに述べているとおり、国民年金法第26条が改正されており、受給資格要件は25年から10年に短縮されています。
 妻が65歳になったときに、振替加算が支給されるかどうかですが、国民年金法の昭和60年改正法附則第14条の規定に基づき、【事例C】の妻に振替加算は加算されると、筆者は認識しています(必要な規定が整備される見込み)。
 この【事例C】の場合は、夫に配偶者加給年金額が加算されていますので、受給資格期間が25年から10年に短縮したことと生計維持関係に気をつければ、大丈夫だと思います。
 つまり、夫は昭和16年11月30日生まれで、厚生年金保険の加入期間が20年以上あります。妻は昭和27年9月30日生まれで、納付済期間が15年間しかありませんが、受給資格期間が10年に短縮されていますので、平成29年9月29日に65歳に達した日に老齢基礎年金の受給権が発生し、生計維持要件も満たしていますので、生年月日に応じた振替加算が加算された老齢基礎年金が支給されることになります。
 年金額は、次のとおりとなります。

15年(保険料納付済期間)≧10年

 

 ∴ 受給資格要件を満たす
 ⇒ 15年間分の老齢基礎年金と
   振替加算が加算された年金が受給できる


 支給される老齢基礎年金(振替加算を含む)の年金額
 780,100円×180月/480月+生年月日に応じた振替加算
 =292,538円+68,922円
 =361,460円(年額)

(注:平成28年度の年金額をもとに算定しました)

 月額3万円程度の年金額が受給できることになります。

 次に、【事例D】の場合はどうでしょうか?
 【事例C】の変型バージョンです。
  少し設定が変更してあります。

改正法施行日に妻が69歳の場合は、振替加算は加算されるのか?

 【事例D】の場合、昭和61年3月以前の専業主婦の期間は、任意加入期間ですので、合算対象期間(カラ期間)となり、受給資格期間に算入されます。43月が合算対象期間(カラ期間)となります。
 したがって、保険料納付済期間の77月と合計すると、120月となり、受給資格要件を満たすことになり、老齢基礎年金を受給できることになります。
 【事例D】で気になるのは、妻がすでに69歳になっていることです。夫に加算されていた配偶者加給年金額も、妻が65歳になり、すでに失権してしまっています。このような場合にも、夫が20年以上厚生年金保険に加入していれば、妻に振替加算は加算されるのでしょうか(生計維持関係はある)。

 平成29年8月1日の施行日の時点で、すでに65歳を超えている妻について、受給資格期間が短縮された10年の受給資格要件を満たしていることにより、平成29年8月1日で老齢基礎年金の受給権が発生する場合については、その妻が65歳に達した日の前日に、夫の加給年金額の対象となっており、かつ、施行日(平成29年8月1日)の時点で加給年金額の加算要件を満たす夫に生計を維持されているのであれば、受給権の発生にあわせ、振替加算が加算される、と筆者は認識しています。
 なお、この場合の法的な根拠ですが、国民年金法の昭和60年改正法附則第18条ではなく(同条文は、65歳時点で資格要件を満たさない者が、任意加入などによって受給資格を満たす場合の規定)、年金機能強化法によって改正された昭和60年改正法附則第14条を根拠とし、必要な規定が政令等で整備されるものと筆者は見込んでいます。

 したがって、この【事例D】の場合、平成29年8月1日の改正法の施行日に、老齢基礎年金の受給権が発生し、振替加算も加算されるものと認識しています。
 なお、【事例D】の妻が受給できる年金額は以下のとおりとなります。

43月(合算対象期間)+77月(保険料納付済期間)≧120月

 

 ∴ 受給資格要件を満たす
 ⇒ 77月分の老齢基礎年金と
   振替加算が加算された年金が受給できる


 支給される老齢基礎年金(振替加算を含む)の年金額
 780,100円×77月/480月+生年月日に応じた振替加算
 =125,141円+98,780円
 =223,921円(年額)

(注:平成28年度の年金額をもとに算定しました)

 さて、(5)の小見出しのタイトル


[ 納付済期間1年、カラ期間9年、受給資格期間10年短縮で、70歳の妻(昭和21年11月30日生まれ)に振替加算(約10万円)は加算されるのか?]


 ですが、もう読者のみなさんにはおわかりいただけたことと存じます。
 次号では、引き続き、受給資格期間の短縮の事例について、取り上げていきたいと考えていますので、読者のみなさんが取り組まれた相談事例等を編集部に送っていただきますとたいへん参考になります(下の送信欄にご記入ください)。
 あわせて、年金受給者と生活保護との関係についても触れていきたいと考えています。

【お知らせ】

『受給資格期間の10年短縮』のセミナーが都内で開催されます。 平成29年1月26日(木)午後1時15分から4時15分までです。場所など詳細については、HPをご覧ください。

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