中福岡年金事務所 福岡県
お客様の立場に立ち、手続きの後のプロセスも丁寧に説明する
お客様相談室の職員は9名。坂下秀子お客様相談室長は宮崎年金事務所を経て昨年4月より現職を務めている。
商業地域に位置するため個人の住民からの相談は多くない同事務所ではあるが、地下鉄駅から遠くなく交通の便が良い場所にあるため、管轄外の区に住む住民からの相談が多い。「1日60名後ある相談者中、半分近くは他区の方です。当事務所が担当事務所だと思っている方も少なくないかもしれません」と坂下室長。
また、午前中ではなく午後にお客様が多いのも同事務所の特徴で、午後1時〜2時台が最も多い。待ち時間は平均すると長くはないが、相談者が同じ時間帯に集中することが多いため、ときには30分以上の待ち時間になることもある。
相談者のなかには、制度について事前にインターネット等で調べてから窓口に来る方も多い。しかし、インターネットで公表されている情報はすべてではなく、なかには誤った情報を信じている人もいる。また、相談者が口にする単語が、年金事務所で使っている単語とは違う意味で使われている場合も少なくないため、相談者がどういう意味でその単語を使っているのかを把握し、正しい情報を提供することも必要になる。
「例えば、相談者の方が『満額もらえるんですよね?』と尋ねてきた場合。私どもの言う『満額』というのは40年保険料を納めてもらえる金額のことを指しますが、相談者は定額部分が発生するときのことを『満額』と言う方が結構おられます。ですから、『この年数では満額にならないのですが』と私どもが伝えると、相談者の方は『え? 満額もらえるはずでしょ』とカチンとこられることがある。初動を誤ると話がこじれてしまいますので、相手がどういう意味でこの単語を使っているのかをまずさぐるようにしています」(坂下室長)。
心がけているのは、お客様の立場に立って説明すること。いま必要な情報だけでなく、「こうしたら次はこうなる」ということについても伝え、後にトラブルが起きないように努めている。「ただ、わかりやすく丁寧に説明しようとすればするほど、相談時間が長くなりほかのお客様を待たせてしまうことになる。かといって焦れば情報を提供しきれず、後で電話をして伝えることになる。そのバランスをとるのが難しいですね」(坂下室長)。
障害年金受給の相談についてはこれまで、診断書など費用がかかるものなのでじっくり話を聞き、受給できそうだと判断すれば申請書類を渡してきたが、いまは機構本務からの指示もあり、申請書類がほしいと言う方には費用がかかることや申請手続きのプロセス・順番などを伝えたうえで渡すようにしている。またその場合は、「この確認ができたら、次に進みましょう」と段階を追って対応するようにし、最も費用のかかる診断書の提出は後のほうで行うなど、費用負担がなるべく無駄にならない方法を心がけている。
「今後もお客様の立場に立った年金相談ができるよう、職員で一致団結して取り組みたいと思います」(坂下室長)。