中福岡年金事務所 福岡県
全職員が社会保険の相談に対応できるよう勉強会をスタート
同事務所では国民年金保険料の納付率向上にも力を入れている。福岡県は国民年金の保険料の納付率が全国のなかで低い県に位置している。それでも2012年、13年、14年と徐々に納付実績は上がって来ていたが、昨年2015年は情報セキュリティ体制の立て直しの関係で督促の停止もあり、九州においては福岡県の納付実績が最も低下した。そこで昨年から、福岡県事務センターと県内に11ある年金事務所の計12拠点のセンター長・所長で新たに国民年金部会、適用徴収部会、相談部会を設置し、県全体の現状分析や課題対応策の検討などを毎月実施。このうち、国民年金部会の部会長を山口所長が務めている。
「国民年金に関する各地域の状況も毎月分析し、未申告者が多い地域に対しては『ある地域でこうしたら効果的だったので、この地域でもこうやろう』などと、県全体のレベルアップに取り組んでいます。機構の組織改編によりブロック本部は地域部になり各現場で事業分析が求められるようになるので、その足掛かりとするためでもありますし、所長全体の意識向上やレベルアップを図るためでもあります」と山口所長。
「所長がレベルアップすれば、所長は職員からの報告を聞くだけでなく、『ほかの事務所はこうしていると聞いたけど、うちの事務所はどうしてる?』などと所長から職員に質問や確認ができる。人事異動したばかりで不安を抱いている職員も、他の事務所に聞かなくても所内で協議できるようになるので安心です。職員に対して積極的に質問等ができる所長でないと組織は変わらない。部会を立ち上げてからは所長全体の意識も高まってきていると思いますし、私自身も職員に自分から積極的に質問や確認をするようにしています」と語る。
地域年金展開事業については、管内に大学がなく、教育機関自体の数が少ないため、学校を対象にした年金セミナーの実施は多くない。それでも、昨年度は専門学校や高校において計6回のセミナーを開くことができた。
機構が進めている組織改革により、厚生年金適用調査課、厚生年金徴収課の業務は将来、博多年金事務所に集約され、中福岡年金事務所が行うのは国民年金課、お客様相談室の業務のみになる予定。しかし、商業地域に位置する年金事務所である以上、事業所からの相談は引き続き寄せられるだろう。そのため同事務所では、国民年金課、お客様相談室のみとなっても全職員が厚生年金適用調査・徴収に関する相談に対応できるよう、今年10月21日から年金相談の勉強会にプラスして社会保険関連の勉強会も始め、スキルアップを図っている。
「組織改編後、当事務所がどうなるか詳細はまだわかりませんが、相談に来たお客様に対してワンストップに対応できる体制をつくろうと検討しています」(山口所長)。
今後の抱負については「まずは国民年金の納付状況を最高だった2014年度のレベルに戻していくことが最優先。受給資格期間が10年に短縮される話など、さまざまな制度改正が予定されていますが、納付が進むよう引き続き勧奨に力を入れていきます。また、組織改編がされた後も、お客様からの相談に対して職員がわからないということがないよう、どんな相談にもきちんと対応できる組織をつくっていきたいと思います」(山口所長)。