広島東年金事務所(広島)
障害者対応に積極的に取り組む
広島東年金事務所の管轄地域は、広島市中区、安佐南区、安佐北区の3区(人口は計約24万人。平成28年6月末現在)。職員数は計60名。内訳は正職員29名、准職員2名、有期職員28名、アシスタント職員1名で、非正職員が正職員を若干上回る。
山本千年所長は、広島県福山市出身。三原年金事務所など広島県内の年金事務所に勤務した後、日本年金機構発足後は島根県の浜田年金事務所所長、中国ブロック本部厚生年金徴収支援グループ長を経て、平成27年4月に広島東年金事務所に着任した。
同年金事務所の特徴は、障害者対応に力を入れていること。月1回、第2水曜日には手話通訳者を配置した「手話による年金相談」を行っている。
山本所長は30年以上手話通訳の経験があり、広島県認定手話通訳者、福山市手話通訳者の肩書きを持っている。機構発足前は自身も手話で年金相談に応じていたが、異動すると聴覚障害のお客様が異動先についてくる状況だったため、「手話通訳を必要とする方が身近なところで年金相談が受けられるように」と中国ブロック本部に働きかけ、手話通訳者団体の協力も得て、広島県内の2カ所(東部は福山年金事務所に、西部では広島東年金事務所)に手話通訳者のいる相談日を設けることを実現した。それが、広島東年金事務所で行われている「手話による年金相談」である。また、現在日本年金機構のホームページで見られる手話通訳による制度説明動画も、山本所長の働きかけで設置され、動画設置当初の監修にも山本所長はかかわった。
「手話通訳は年金のことがわかる人が行えばより相手に伝わりやすい。『手話による年金相談』を始めたときも、手話通訳者の方には年金制度について理解していただき、この内容はどういう手話で表現すれば伝わりやすいかなども検討しました」(山本所長)。
また、広島東年金事務所では現在、毎週火曜日の朝礼で、山本所長が職員たちに対し、簡単な手話の挨拶などの研修も行っている。
手話通訳だけでなく点字の知識も山本所長は持ち、点字の導入にも取り組んできた。浜田年金事務所に着任したとき、島根県西部視聴覚障害者情報センターの協力を得て浜田年金事務所の封筒に点字を付けるようになり、その後、中国ブロック本部管内の年金事務所の封筒についても点字化、日本年金機構が発行するパンフレットについても点字版が作成されるに至っている。
障害者雇用への姿勢も積極的で、今年6月、広島東年金事務所では車いすの職員を採用。所長室のいすやテーブルなどの配置も、車いすの職員が気軽に入って来られるよう変更した。