第18回社会保障審議会企業年金部会が開催
平成28年6月14日、厚生労働省による第18回社会保障審議会企業年金部会が開催された。この日の議事は(1)確定給付企業年金のガバナンスについて (2)確定給付企業年金の改善の現状について (3)確定拠出年金法等の一部を改正する法律等について (4)厚生年金基金の特例解散に関する専門委員会における議論の経過についての4項目。
【確定給付企業年金のガバナンスについて】
総合型DB基金では企業間の結びつきが脆弱で加入者等の意思が基金運営に反映しにくいことが問題であるが、代議員の定数が基金の規模に見合った一定数以上とし、代議員の所属企業に偏りが生じないように専任基準を設けることで解決を図る。
また、DBの資産運用については、現状、規約型は基金型に比べて資産規模が小さく、どちらの型も3兆円超のDBの大部分は2種類以上の資産への分散投資を行っているが、すべてのDBに運用の基本方針及び策定的資産構成割合の策定を義務付けることが提案された。
【確定給付企業年金の改善の現状について】
前回(第17回)の企業年金部会で課題となっていた「将来の財政悪化を想定した、計画的な掛金拠出を可能とする『リスク対応掛金』の仕組み」と「運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合う仕組みである『リスク分担型DB』の導入に向けての進捗状況確認を行った。これについて、厚生労働省では「確定給付企業年金法施行令の一部を改正する政令案等」についてパブリックコメントの募集を実施し(5月27日~6月26日)、企業会計基準委員会でも「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」を公開し意見募集を行っている(6月2日~8月2日)。
【確定拠出年金法等の一部を改正する法律等について】
働き方の多様化等に対応し、企業年金の普及・拡大を図るとともに、老後に向けた個人の継続的な自助努力を支援するため、個人型確定拠出年金の加入者範囲の見直しや小規模事業主による個人型確定拠 出年金への掛金追加納付制度の創設、個人型確定拠出年金の実施主体である国民年金基金連合会の業務追加等の措置を講ずる。その内容と施行期日は表1のとおり。
■表1 確定拠出年金法の一部を改正する法律等の概要と施行期日
【厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について】
平成26年3月18日の第3回企業年金部会において、厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会が設置された。専門委員会は平成27年10月1日~平成28年3月31日の間に計5回開催、延べ26件の審査を行い、それらについて特例解散の承認が妥当とされた(表2)。
■表2 厚生年金基金の特例解散に係る専門委員会の議事概要