兵庫県宝塚市 市民交流部市民生活室窓口サービス課
社会保険労務士も配置し、フロントラインを強化
― 2015年4月からは、兵庫県社会保険労務士会に依頼して、社会保険労務士も毎日1~2名配置しているとのこと。ここからは、そのうちの1人である矢野恵理子さんにも同席いただいてお話をうかがってまいりますが、矢野さんは、市役所で相談業務に就くようになって、どのようなことを毎日心がけていらっしゃいますか。
矢野 やはり相談に来られた方との受け答えには気をつけていますね。相談者が何かに怒って来られた場合は、たとえそれがこちらにとっては不本意な内容であっても、相手の方の怒りの気持ちを少しでも減らせるような話し方、なんというか「角を丸くして言う」という感じでお話しするようにしています。たとえ相手の方が10割ご自分が正しいと思っておられても、その10割のなかにどこか怒りを収めていただけるような糸口がないかを少しずつ探っていって、最後には1割2割でもその方が「市役所の人の言うこともわかる」という気持ちになって帰っていただけるようにしたいなと思っています。
― ほかにも気を付けていることはありますか。
矢野 離婚した方やDV被害を受けられた方の対応については特に気を付けるようにしています。DVの被害者等の場合、加害者が被害者を探そうとして必死になっている場合があるので、ふとしたことで加害者に情報が漏れないようにと細心の注意が必要になります。「こういうことはしないように注意して」と担当職員同士でも情報を共有し合っています。
年金事務所でも相談業務に当たっているのですが、市役所で相談業務を行うようになって思ったことの1つは、より丁寧に説明をしなければいけない、ということです。というのも、年金事務所から「市役所に行くように」と言われた方が、なぜ市役所に来ているのかわからない、私どもにもよくわからないということがありまして、そういう状況に接すると、私も年金事務所で相談に当たるときは、「なぜ市役所に行っていただく必要があるのか」を丁寧に説明しなければいけないんだなと思うようになりました。
また、どこまでを市で対応して、どこから年金事務所で対応してもらってくださいと言うかの線引きにも迷います。年金事務所の相談業務でも「市に行ってください」とは安易に言えないなと思うようになりましたね。
― 最後に、お二人それぞれから一言ずつ、今後の抱負などを聞かせていただけますか。
矢野 若い方のなかには「年金は高齢になってからもらうもので自分には関係ない」と思っている方や、「年金は将来破綻してどうせもらえないんでしょ」と思っている方もいらっしゃるので、「消費税が10%に上がったら、それが年金の財源にも当てられる」といった身近な話題などもお伝えして年金が受け取れることを説明し、年金制度への理解を広げていきたいと思っています。
橋本 年金業務は、何かを1つ間違えば、後々積もり積もってくるものなので、こわいものだといえます。でも一方で、対象が若い人から高齢者までと幅広いので、こわいと言いつつも興味深い。フロントラインで働くことにもやりがいを覚えます。これからも、カウンターの内と外を行き交いながら、年金受給権の確保と地域経済の発展を下支えできるように業務に当たっていきたいです。